資産運用

仮想通貨投資の億り人が税金地獄に陥る理由と注意点【対策】

一世を風靡した仮想通貨での「億り人」。しかし、多額の利益を得たはずなのに税金が払えなかった人が多数存在します。納税地獄に陥った理由と対策、今からでも億り人を狙うための「草コイン」の特徴や選び方について解説します。

仮想通貨「億り人」とは

「億り人」とは、株式投資やFX、仮想通貨の取引により、億単位の純金融資産を得た人のことをいいます。2008年に公開された映画「おくりびと」と掛け合わせて誕生した言葉です。

株式会社野村総合研究所が2020年12月に発表した資料によりますと、1億円以上の純金融資産を持っているのは、133万世帯。これらは仮想通貨だけで得た資産ではないものの、想像以上に多いと思いませんか?

特に2017年には仮想通貨は大幅に値を上げました。ビットコインはもちろん、アルトコインの中にも価格が高騰したケースがあります。仮想通貨の投資により、億を超える資産を手にした人が存在するのは事実です。

ただし、「仮想通貨の億り人=1億円の資産を築いた人」ではありません。なぜなら、仮想通貨への投資で得た所得は、確定申告が必要です。もちろん、所得税の支払い義務も発生します。

国税庁では、暗号資産に関する税務上の取り扱いについてのFAQを発表しています。

基本的ルールを知らずに仮想通貨投資を始めた人が「税金を払えない」事態に陥っているというわけです。

仮想通貨の億り人なのに税金を払えない!3つの理由

仮想通貨の億り人が納税に困るケースについて、理由を3つにまとめました。これから仮想通貨で億り人を狙う人は、反面教師とするため参考にしてください。

1.仮想通貨の最大税率が高い! 

仮想通貨で得た利益は、原則「雑所得」に分類されます。雑所得とは、次のいずれにも含まれないものです。

  • 利子所得
  • 配当所得
  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 給与所得
  • 退職所得
  • 山林所得
  • 譲渡所得
  • 一時所得

雑所得の場合、他の所得(給与所得など)と併せて課税される仕組みです。また「累進課税」(高額所得者ほど、税率が高くなる)のため、最大で所得の45%を所得税として納める必要があります。

課税される所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万円を超え330万円以下10%97,500円
330万円を超え695万円以下20%427,500円
695万円を超え900万円以下23%636,000円
900万円を超え1,800万円以下33%1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下40%2,796,000円
4,000万円超45%4,796,000円

さらに一律10%の住民税も納める必要があるため、仮想通貨の最大税率は55%にもなります。

仮に1億円の所得を得た場合、翌年の納税額は5500万円です。さらに翌年に収入がゼロ円だとしても、納税は発生します。手元に資金がなく支払えないケースが想定されます。

2.「他の仮想通貨への両替」のつもりが利益確定!

仮想通貨の税務知識が乏しい人の場合、仮想通貨の利益確定は、売却または商品購入時点のみと思っているかもしれません。

しかし、実は「他の仮想通貨への両替=利益確定」です。

国税庁の見解では両替ではなく、他の仮想通貨を購入する際の決済に使ったと判断します。決済時点での「他の仮想通貨の時価」と「保有する仮想通貨の取得価額」との差額が所得となります。

2017年に億り人となった人の多くは、2018年の暴落時にこのルールを見落とし、他の仮想通貨に両替、手元資金がないにもかかわらず、納税が発生したケースが考えられます。

3.自己破産しても税金の支払い義務は残る

多額の借金をした場合「自己破産」という方法があります。自己破産とは、裁判所に「借金の返済見込みがない」ことを認めてもらうことです。高価な財産は処分されるなど、さまざまなルールはあるものの、返済義務がなくなることで生活は楽になります。

しかし、仮想通貨で多額の納税義務が発生した場合には、自己破産という方法は使えません。税金は借金ではないため、仮に自己破産したとしても、税金の支払い義務はそのまま残ります。

仮想通貨で利益を生み「億り人」になる見通しがついたとしても、その段階で喜んではいけません。

  • 納税するまでは自分の利益とは考えない
  • 仮想通貨の税金関しては常に最新情報を入手する

最低でも次の2点を理解した上で、仮想通貨で投資することが大切です。

まだ間に合う!?仮想通貨で億り人になる方法

2017年に起きた仮想通貨バブルは、2018年に一旦弾けています。しかし、2024年11月には、再び1BTC=700万を超えたこともあり、今後の可能性は果てしないものがあります。国内最大手のコインチェックも、2024年中に米ナスダック市場の上場を目指すと発表したことも仮想通貨市場の追い風といえるでしょう。

日本では、仮想通貨の対する評価が一般的にも広まっているとは言い難い状況ですが、海外に目を向けると全く異なる状況が見えてきます。仮想通貨をこれから始めるという人にも、億り人になるチャンスはあるといえるでしょう。

億り人を目指せる「草コイン」とは?

億り人を目指すための、具体的な方法のひとつが「草コイン」です。草コインとは、アルトコインのなかでも、特に知名度が低い仮想通貨を示す言葉です。ビットコインなど華やかな仮想通貨を「花」とするなら、その周囲にある名もしれない「草」というところからこの通称が生まれました。

【草コインの特徴】

  • 市場の規模が小さい
  • 知名度が低い
  • ビットコインや主要なアルトコインに比べ、現在の価格が低い
  • ハイリスク、ハイリターン
  • 流動性が低く、ボラティリティ(相場変動)がしやすい

草コインで「億り人」を狙える理由

草コインは、アルトコインの中でも1通貨あたりの値段が低いです。そのため、多額の資金を用意できない場合も、枚数を購入することが可能です。

また草コインの一番の魅力は、一時的に価格高騰する可能性がある点です。

例えば、ビットゼニーの場合、2015年 7 月約 0.016 円→2017 年 12 月約 46 円と高騰。当初の価格が、約2,800倍になりました。また、バージは、2014 年 10 月約 0.0012 円→2017 年 12 月約 29 円と高騰。約 24,000 倍もの利益を叩き出しています。

ここまでの高騰が、ビットコインや一般的なアルトコインで起きる可能性は限りなく低いです。ハイリターン、一発逆転が狙えるのは草コインならではと言えるでしょう。

知名度が低い草コインの中から、将来的に知名度が高くなる見込みのある草コインを見つけ、低価格で購入。将来的に価格が上昇したタイミングで売却することで利益が出る仕組みです。

【重要】草コインで億り人を目指すための選び方

草コインの魅力を解説しましたが、全ての草コインが価格高騰するわけではありません。選び方を失敗すると、投資が無駄になる可能性もあります。

草コインの発行事業体のレベルは、大小さまざまのため、信用力・開発力も異なります。開発を順調に続け「花を咲かせる」までに至る仮想通貨がある一方、枯れてしまった「草コイン」も無数に存在します。

必ず、開発者の情報、開発の進捗がしっかりと公開されているかをチェックしましょう。英語で書かれていることも多いため、語学力も必要です。英語スキルを持ち合わせていない場合は、翻訳ツールを活用します。

また、残念ながら資金調達をゴールと捉え、開発がストップする事業体も存在します。コインの用途が明確に書かれているか、既存の仮想通貨にはない目新しい視点があるかどうかも、見極めるポイントです。

そして最後に重要となるのが「取引所選び」です。草コインは無数にあるため、全ての取引所で扱っているわけではありません。また、国内・海外共にさまざまな取引所がありますが、投資初心者であれば国内取引所を選ぶことをおすすめします。

世界的にもますます注目が集まる仮想通貨

ロシアによるウクライナ侵攻により、改めて注目されている仮想通貨。ウクライナ政府が暗号資産での寄付を募ったことも記憶に新しいのではないでしょうか。2024年3月20日時点、約6,063万ドル(約72億円)の仮想通貨による寄付が行われています。

仮想通貨への注目が集まり、利便性が高まれば高まるほど、新たに仮想通貨投資に参入した人が「億り人」になる可能性も高まるもの。一方で、税金対策や仮想通貨のルール、草コインに関する情報収集など、学ぶべき点も多数あります。世界情勢に目を向けることは、億り人になるチャンスを探ることにもつながるといえるでしょう。

文・柚月朋子

フリーランスとしての経験やポイント投資からスタートした経験を活かし、年間200本以上の記事を執筆・監修。投資初心者にわかりやすい記事執筆が目標。