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子供の習い事にかかる費用はいくら? 人気の習い事もご紹介

進学や進級の時期、学業に合わせて子供に新しい習い事をさせてあげたいという人も多いでしょう。たくさんある習い事のどれをやらせてあげるか、気になる費用はどれくらいか。小学生の習い事に焦点を当てて考えてみました。

小学生の習い事の平均支出は年間約21万円

「子供1人の教育費の総額は約1,000万円」という言葉をよく耳にします。もちろん、これは大雑把な数字ですが、公立学校であっても幼稚園(または保育園)から大学卒業までの約20年間の教育費を考えると、たとえ高校無償化などの支援金制度が利用できたとしても、それくらいの額に達して不思議はありません。

子供の教育費は人生において住宅購入に次ぐ大きな支出。そう言えるのではないでしょうか。「教育費」は大きく「学校教育費(給食費を含む)」と「学校外活動費」の2つに分けることができます。わかりやすく言うと「学費」と「習い事」です。では、学費と習い事はどちらが多くお金がかかるのでしょうか。

答は習い事です(公立校の場合)。文科省が2018年に行った「子供の学習費調査」では、公立小学校の1年生の場合、年間でかかる学習費は平均30万8,000円。このうち学校教育費は5万6,000円、学校給食費が4万2,000円。合計9万8,000円になりました。

30万8,000円(学習費)- 9万8,000円(学校教育費+学校給食費)=21万円

つまり全学習費のうち実に21万円が学校外活動費となっているのです。

小学6年では全学習費は32万1,000円で学校外活動費は21万4,000円。2~5年生もだいたい同じくらいです。

これが私立になると学習費は139万3,000円(1年生)~159万9,,000円(6年生)となり、学校外活動費も56万4,000円(1年生)~64万7,000円(6年生)となります。

いずれにせよ、この調査からは世間で言う「教育費」のかなりの部分が実は「習い事」にかかっているということが見えてきます。

公立に通う小学生では教育費の7割近くを占めている「習い事」。そう考えると、けっしていい加減な気持ちで始めるわけにはいきませんね。

子供に人気の習い事は?


子供の習い事については複数の教育機関が人気ランキング調査をしています。別にみんながやっているからといって我が子にさせる必要はありませんが、参考までに人気の高いものをいくつか並べてみます。なお、ここでは学校の勉強の補習活動である学習塾、受験準備のための進学塾、及び通信教育は取り上げないこととします。

子供に人気の習い事(※ランキングではありません)

  • 水泳
  • 英会話
  • 体操
  • ピアノ
  • 音楽教室(ピアノ以外)
  • バレエ
  • ダンス(バレエ以外)
  • サッカー・フットサル
  • 武道(空手、柔道、剣道、合気道など)
  • 書道
  • プログラミング

このなかで男女ともに圧倒的に人気なのが「水泳」です。2020年に実施された学研教育総合研究所の調査ではアンケート対象者のうち男子で31%、女子で23.3%が水泳教室に通っていました。水泳の場合は子供がやりたがっているという理由の他に、授業で「泳げない」という要らぬ劣等感を抱かないようにと親が配慮して通わせるケースが多いようです。

子供の習い事の月謝はいくら?


どれをさせるか迷ってしまう習い事。例えば、週1回、30分~1時間のお稽古に通わせたらいくらかかるのでしょう?

すべての習い事をいっしょくたにすることは難しいのですが、水泳、ピアノ、ダンス、体操、武道などの場合は、だいたい5,000円~7,000円。高くても8,000円~1万円といったところです。これくらいの金額ならなんとか通わせることができる。多くの人がそう思えるような金額に設定している教室がほとんどのようです。

毎月5,000~7,000円なら、もうひとつくらいはできる。そう考えて、例えば、水泳と英会話の2つに通わせている親も少なくはありません。

教室によっては月謝とは別に入会金をとっているところもあります。ただ、これも月謝以上の金額というのは少なく、また夏休みや年末年始など期間によっては回数が減るため、月謝をその分下げたりしている教室もあります。

年間を通じての習い事の月謝は毎月5,000円なら12月で6万円+α、1万円なら12万円+α。これに塾の費用がプラスされると、前述した21万円程度の学校外活動費になるといったケースが多いようです。

習い事の月謝以外の費用も忘れずに!


習い事にかかる費用には、もちろん月謝以外の支出もあります。水泳なら水着やゴーグル代、サッカーや野球ならユニフォームやスパイク、ボール、グローブ、バット代など、空手や柔道なら道着、剣道はこれに竹刀や防具も必要です。書道も筆や硯は必須でしょう。なかでも「お金がかかりそう」なイメージが強いのがピアノです。

ピアノは本格的に学ぶとなると、どうしても自宅に1台は必要となります。

その場合、新品で揃えたとして、88鍵盤の電子ピアノで10万円~、アコースティックピアノで50万円~の予算はほしいところです。とくにアコースティックピアノは上を見たらきりがなく、グランドピアノはもちろん、個人住宅にも置きやすいアップライトでも100万円以上のものが数多あります。1台買えば一生使えるものとはいえ、自動車購入に準ずる程度の費用は覚悟しておいた方がいいでしょう。

またレベルに応じた教材費、足台(1万円~)、アシストペダル(2万円~)、メトロノーム(3000円~)、椅子(4万円~)なども揃えなければなりません。そしてアコースティックピアノの場合は年に一度程度の調律費用(アップライトで1回1万2000円~)がかかります。

この他、発表会に出るためには通常のレッスンの他に特別レッスンなども受けることになるので、準備期間中は月謝が通常の倍くらいにはなると考えておいた方が無難です。発表会用のドレス代なども捻出する必要があります。

そのうえ、もしも子供に才能があったら、どうでしょうか。私立の音大に進学したり、海外に留学することになった場合、うれしくはあるものの莫大な費用がかかります。親としては嬉しいやらたいへんやらで悲鳴があがることでしょう。

同様のことは、その他のヴァイオリンなどの楽器やバレエなどにも言えます。

子供の習い事に必要なのは子供のやる気


子供は気まぐれです。「やりたい」と言って始めた習い事も、途中で「やめたい」と言い出してやめてしまうことは珍しくありません(むしろその方が多いかもしれません)。

それでも親としては、子供に何が向いているのか、自分が本当は何をやりたいのか、それを見つけてもらうために何かしらの習い事をやらせてあげたいものです。また習い事には、ひとつのことをやり抜く強い心や人前であがらない精神力、学校とは違う人間関係などを与えてくれるメリットがあります。

そうはいえ、お財布とも相談しなければならないのも確かなところ。

とりあえずは毎月の月謝が5,000~6,000円程度のもののうちからどれかやりたいものを子供に選んでもらうなど、「予算」と「子供のやる気」、その両方のバランスをとって検討するといいでしょう。

文・中野渡淳一

文筆業者。著書に『怪しいガイドブック~トラベルライター世界あちこち沈没記』『漫画家誕生 169人の漫画道』。この他「仲野ワタリ」名義で『海の上の美容室』「猫の神さま」シリーズ等小説作品多数。『moneyscience』では生活者目線及び最新トレンドの記事を中心に執筆。