仮想通貨投資では儲けた人がいる反面、大損した人も多数存在します。反面教師にして学ため、本記事では、損をする原因と具体的なケース、実際に損をした芸能人まとめ、仮想通貨で損をした場合の確定申告の方法について解説します。
仮想通貨で大損!4つの原因と具体的ケース
最初に仮想通貨で大損する原因について、4つのケースを用いて解説します。これから仮想通貨を始めたい人は、必ず読んでおいてください。
レバレッジ取引での失敗
まず1つ目は、レバレッジ取引での失敗です。
通常の「現物取引」の場合、自分の資金以上の取引はできません。一方、レバレッジ取引では「証拠金」を担保とし、レバレッジ2倍であれば、2倍の金額が取引できます。
(例)10万円の資金
レバレッジなし | レバレッジ2倍 | |
10%の利益 | 1万円 | 2万円 |
50%の利益 | 5万円 | 10万円 |
(例)100万円の資金
レバレッジなし | レバレッジ2倍 | |
10%の利益 | 10万円 | 20万円 |
50%の利益 | 50万円 | 100万円 |
上記の表からもわかるように、レバレッジ取引の魅力は、利益の大きさです。取引金額が多くなればなるほど、利益も増大になるためレバレッジ取引を魅力的に感じている人も多いことでしょう。
しかし、ここが仮想通貨で大損する可能性が高くなるポイントです。
現物取引の場合、例え購入時よりも仮想通貨の価格が暴落したとしても、そのまま保持した状態であれば、借金となることはありません。
しかし、レバレッジ取引の場合、損失も増大です。先ほどの表を、利益→損失に置き換えてみると、ゾッとするのではないでしょうか。損失がふくらみ、借金を背負ってしまった人もいます。
取引金額が手持ちの資金よりも大きくなる分、利益が出ればその金額も大きくなります。逆もまた然りで損失が出ればその金額も大きくなります。
場合によっては、手持ちの資金以上の損失が出てマイナスとなり、借金を背負う人もいます。「暗号資産で大損した人の中には、レバレッジ取引をしていた人が多い」といえます。
利益が2倍になるメリットがある一方、損失も2倍になるリスクがあります。そのため、仮想通貨初心者には、レバレッジ取引をおすすめしないケースが多いです。取引に慣れてきてから行うようにしましょう。
自分の全財産を仮想通貨に投入
2つ目は「貯金の利率は低いし、年金制度もどうなるかわからない。将来が不安」と考え、全財産を使って、とある銘柄の仮想通貨を買った結果、大暴落し、全財産を失うケースです。
そもそも、仮想通貨は一般的な株式投資と比べ、価格変動が激しい商品です。「絶対値上がりする」「次は、必ずこの仮想通貨が爆上がりする」といった情報を鵜呑みにして、全財産をつぎ込むのは大変危険な行為です。
そもそも、その情報が本当に正しいものかどうか、判断する術はありません。
仮想通貨の基本は「分散投資」であり、「余剰資金」で行うことが必須です。もちろん集中投資によるメリットもありますが、初心者にはおすすめしません。
損切りのタイミングに失敗
仮想通貨は、値上がりすることもあれば、値下がりすることもあります。3つ目は「いつか持ち直すはず」と信じて、保持し続けた結果、下落する一方。タイミングを逃し続けて、小さな損で終わるはずが大損になってしまったケースです。
【損切りとは】
損失が出ていることを理解した上で、値下がりした仮想通貨を売却する行為です。さらに値下がりを続ければ、どんどんと損失額が増えてしまうため、早い段階で売却し、損失を最小限に抑える行為といえます。
また、損切りをせず、そのまま保持し続けた結果、売るに売れない状況になったことを「塩漬け」といいます。もちろん、塩漬け後、価格が持ち直し上昇傾向に入る可能性もゼロではありませんが、できるだけ塩漬けの状況を作らないようにすることをおすすめします。
ハッキングによる資産流出
4つ目は、ハッキングなどセキュリティ面の問題から大切な資産が流出するケースです。
- 2018年:コインチェックから不正流出(580億円)
- 2024年:ポリ・ネットワークから不正流出(660億円)※後に返還
仮想通貨市場では、規模の大小を問わずハッキング事件が相次いでいます。
日本国内の取引所で取り扱っていない仮想通貨を購入したいと考え、海外の取引所を利用。しかし、ハッキングにより資産が流出。取り戻したいが方法がわからないといったケースもあります。
また、物理的にウォレットを入れているスマホの紛失・盗難による資産流出ケースもあり、自身のセキュリティ意識を高めることが必要です。
仮想通貨で大損した芸能人は?
ここからは、仮想通貨で大損した芸能人についてまとめました。
平成ノブシコブシ・吉村崇
「ビットコイン:3万円、イーサリアム:300円、リップル:0.3円の時代の話です。リップルのピークが300円くらいになって、そのときは数百万円がとんでもない額になりました。その時はウハウハ」と相当な大儲けになったことを認めた後、「それから違う通貨を切り崩して買ったんですね、そしたら大暴落しました」と儲け自体は激減したと説明。
https://jisin.jp/entertainment/entertainment-news/2031721/
かまいたち・濱家
濱家は「(自分は)損した方で有名」とあっけらかん。「真逆、真逆」と、買い時・売り時を真逆で間違えたと明かし、「ジャンピングキャッチして、底で放してたから」とヤバさを表現した。
https://times.abema.tv/articles/-/10007793
藤崎マーケット・トキ
「ラララライ体操」で一躍ブレークしたお笑いコンビ「藤崎マーケット」のトキ(33才)は、今回の流出事件で被害を受けた1人。貯金すべてをNEMに替えていたというトキは、まさかの“預金消失”をテレビでこう嘆いた。「急に(貯金が)ゼロになるということがこの世にあるんだなと…。所持金は現金6万円とPiTaPa(交通系ICカード)の6000円くらいしかない」
https://news.line.me/articles/oa-newspostseven/c7064094dc1a
ただし、トキさんの場合、流出した一部は無事返金。
流出から約1か月半後、コインチェックからは入金額の7~8割程度が日本円で補償された。「ゼロを覚悟したから嬉しかったですね。投資した元手よりも少ないですがゼロよりはマシです」
https://nikkan-spa.jp/1760993
さらに仮想通貨投資自体も継続中です。大損したことがあっても、やめられないほどの魅力を感じているそう。
おかずクラブ・ゆいP&オカリナ
ゆいPとオカリナは、「私たち、(仮想通貨)やってるんですよ~」と語りだし、2人とも仮想通貨の「NEM」に投資していたという。このロケの2日前、仮想通貨NEMの不正流出問題が発覚したばかりだったため、川合が「(仮想通貨を)持ってかれた?」と聞くと、2人は不正流出問題の当事者だったことを告白。さらに持っている仮想通貨のうち、4割がNEMだったことを明かした。
https://taishu.jp/articles/-/58044?page=1
さまざまな芸能人が仮想通貨で損失を出しているものの、仮想通貨から撤退したという声は少ないようです。
仮想通貨取引で損失!確定申告は必要?
結論から言うと仮想通貨取引で大損した場合、確定申告は不要です。
次のケースでは、確定申告は必要がありません。
- 12月31日、仮想通貨取引で損失が出ている
- 仮想通貨利益―経費=所得が20万円以下
※ただし、仮想通貨で利益が出ていない、大損している場合でも、ふるさと納税などの寄附金控除や医療費控除などをしたい場合は、確定申告が必要なため注意してください。
また確定申告をする際には、20万円以下の所得であっても、雑所得の欄にきちんと書いてください。所得がマイナスになっている場合は、記載は不要です。
仮想通貨の所得は「雑所得」に分類され、次の4点の特徴があります。
- 総合課税(他の所得と合算する)
- 累進課税(収入に応じて税率が上がる。最大45%)
- 損益通算の禁止(他の利益と相殺できない)
- 損益の繰越控除の禁止(翌年に黒字になっても前年の赤字を補填できない)
雑所得は累進課税のため、所得が増えれば増えるほど税率も高くなります。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
参考:国税庁
上記の表に加え一律10%の住民税も課税されるため、最大55%の税金の支払いが求められます。
他の所得(給与所得、不動産所得など)との相殺はできませんが、同じ雑所得内での相殺は可能です。アフィリエイトなどで利益を上げている人は、損失額を計算し、確定申告を行いましょう。
仮想通貨で損をしないためにできることまとめ
仮想通貨は価格変動が激しいため、絶対に損をしない方法は存在しません。しかし、できるだけ損をしないように取り組めることはいくつもあります。
- 現物取引をする
- セキュリティに意識を高める
- 少額から投資を始める
- 分散投資する
- 余裕のある資金で投資する
- 自分の中で損切りルールを定めておく
- 冷静な判断が難しい時には投資をしない
また、投資である以上、損をした場合にも冷静に状況を見て、敗因を分析し、同じ失敗をしないように取り組むことも大切です。芸能人の失敗なども参考にしながら、自分なりの行動指針を決めてみましょう。
文・柚月朋子
フリーランスとしての経験やポイント投資からスタートした経験を活かし、年間200本以上の記事を執筆・監修。投資初心者にわかりやすい記事執筆が目標。