投資初心者にとって、最初の学びはとても重要です。本選びを間違ってしまうと、投資が嫌になったり結果が出ないと悩んだりすることにもなりかねません。今回は、2024年最新の投資初心者におすすめの投資本を厳選しました。自分のレベルに合わせて選ぶことで、納得できる本と出会えるでしょう。
【超初心者レベル】お金について学びたい人向け
まずは、投資の前に「お金」「資産」について学んでおきたい人向けの本を紹介します。
こんな人におすすめ
- 「資産運用」について一度も考えたことがない
- 株式投資に興味はあるが全く知識がない
- 預貯金だけに頼るのはイヤ。でも“投資”はなんだか怖い
本当の自由を手に入れるお金の大学
「本当の自由を手に入れるお金の大学」は、お金に関する知識本です。YouTube大学でも紹介されている、90万部を突破した売れ筋の本です。「貯める」・「稼ぐ」・「増やす」・「守る」・「使う」の5つの力を身につけることができ、初心者でも真似できそうなノウハウがもりだくさん!
さらにインデックスファンドや高配当株式、不動産投資などの資産運用についても解説されているため、初心者だけでなく上級者にもおすすめ。末長く手元に置き、読み返すことができる本です。
誰も教えてくれないお金の話
「誰も教えてくれないお金の話」は、筆者である子持ちの主婦の体験談を元にして書かれた本です。イラストが多くて読みやすく、また専門的な用語も登場しません。これからお金に関して学びたいという初心者にはピッタリの本です。
家計・住宅ローン・保険・年金・資産運用・出産・子育てなど誰もが直面しうるライフステージを切り口にした解説になっているので、自分が今まさにそのステージにいる場合は、より手助けになってくれる1冊になっています。
新版 知らないと損する 池上彰のお金の学校
「新版 知らないと損する 池上彰のお金の学校」は、テレビでもおなじみ、有名なジャーナリストの池上彰さんが書いたお金に関する本です。お金のことだけでなく社会や経済のことも解説されています。
キャッシュレスや仮想通貨などのちょっと踏み込んだ話題まで網羅されており、お金に関してともかく幅広いことについて学びたいという方におすすめできる本になっています。ただ幅広く網羅した分、個々の解説が少し物足りないと感じるといった感想を持つ人もいます。ただ、お金に関して基礎知識を増やすために「まずは広く浅く学びたい」という方におすすめです。
全面改訂 超簡単 お金の運用術
「全面改訂 超簡単 お金の運用術」は、お金の運用術に関する本です。著者の山崎さんは東京大学を卒業しており、国内外の金融機関で活躍をされている方。NISAなどについても解説されていますが、出版は2013年と古いため、情報が一部古い部分も。とはいえ、解説されている運用のコツなどは現在でも使えるものも多く、ノウハウを知るという意味では2024年時点でもおすすめできます。
アベノミクスやバブルなど金融の歴史の転換についての解説もあるため、初心者が金融に関する激動の歴史を学び、運用術を身につけられる本となっています。
おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密
「おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密」は、小説形式で金融や経済の知識を学ぶことができる本です。主人公は、中学2年生。「そろばん勘定クラブ」というクラブの中で様々なことを学んでいき、そのお話を読むことで読者も一緒に学んでいけるという内容です。
お金や経済に関する全般的なリテラシーを学ぶことができます。「読み物だからわかりづらい」という評価もありますが、一方で「読み物としても面白いと」いう評価も。普段から小説などをよく読む方には、おすすめの一冊です。
臆病者のための億万長者入門
「臆病者のための億万長者入門」は、「確実に儲かる話はない」という現実を理解することができる本です。株式だけでなく、生命保険や投資信託、年金や宝くじに至るまで幅広いお金の仕組みに関する内容を解説していますので、株に対して不安、ネガティブな考え方を持っている方にぜひ読んでほしい本となっています。
お金に関する知識を身につけると共に、投資に関する心構えも一緒に身につけることができますよ。ただ著者の主張の中には、やや社会批判的な部分もあることに注意。純粋に株を学びたい方には少し不向きな面もあるかもしれません。
となりの億万長者 成功を生む7つの法則
「となりの億万長者 成功を生む7つの法則」は、投資で成功を生むための7つの法則をまとめた本です。この7つの法則は、1万人以上の億万長者にインタビューやアンケートを実施し、それを元に導き出したものだそう。
富裕層と呼ばれる人々は、多くの人と変わらず家庭や仕事を持っています。では富裕層とそうでない人達の違いは一体どこにあるのでしょうか。多くの人が気になる、この疑問。この本を読むことによって新たな「価値観」を学び、それを投資に活かす。投資への心構えなども知れる1冊です。
マーケットの魔術師
「マーケットの魔術師」は、投資で成功したトレーダー達の共通点を知ることができます。成功者16人に行ったインタビューを元にお金や投資などを学ぶというよりは、そもそもの考え方や心構えを知るための本になっています。
ただ本書は短期的・中期的、裁量取引(任意のタイミングで人が行う取引)などの内容が多め。長期的に安定した投資を考えている方の参考にはなりづらいかもしれません。あくまで資金管理や心構えについて勉強する本として考えるとよいでしょう。
改訂版 金持ち父さん 貧乏父さん アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学
「改訂版 金持ち父さん 貧乏父さん アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学」は、投資家であり、起業家でもあるロバート・キヨサキさんが書いたお金に関する本です。
本書は2013年に発行され、お金に関する本の基本図書と言われるほどのロングセラー。くわえて51ヵ国語に翻訳され109ヵ国で読まれており、全世界で4,000万部の売上を記録する大ベストセラーなのです。会社で働くだけでは、安心して生きていけない今だからこそ読みたい本です。
【投資初心者】株式投資の基本を知りたい人向け
次は、株式投資の基本について知っておきたい人向けの本を紹介します。
こんな人におすすめ
- 株式投資の基本用語は知っている
- 株取引を始めたが、この方法で正しいのか不安
- 株式投資に特化した本が読みたい
マンガでわかる株式投資! 女子高生株塾
「マンガでわかる株式投資! 女子高生株塾」は、女子高生に株を教える設定のマンガです。「マンガで学べるの?」とあなどってはいけません。
株の裏側の世界、株で利益を出すための秘訣、金融世界の最先端情報など、株式に関する情報がたくさん掲載されています。株式投資とは何かを学ぶための入門本としておすすめです。
世界一やさしい株の教科書1年生
「世界一やさしい株の教科書1年生」は、まさに本のタイトルの通り、教科書として使える本です。投資の基本的な考え方を学べるほか、「グランビルの法則」など、一見わかりにくい用語の解説もきちんと記載されています。
最初に基礎を押さえたい!分かりやすい内容を求めているといった方には、ピッタリの一冊です。
いちばんカンタン!株の超入門書 改訂3版
ベストセラー「「いちばんカンタン!株の超入門書」の改訂3版。2024年発行のため、ポイント投資や東証再編にも対応済です。
「株とは何か」の基本情報から取引の方法まで、初心者が知っておきたい株式投資について、幅広く網羅している本です。単なる成功例を取り上げるのではなく、分散投資の重要性、金融危機への対応なども書かれているのは、さすが初心者向きの本といえるでしょう。長期投資を考えている、できるだけ安全に資産を増やしたいと考えている人におすすめです。
【脱初心者を目指す人】具体的な内容に特化した本
最後に紹介するのは、投資を始めているがもっと具体的な内容を知りたいと考えている人向けの本です。まだ初心者のくくりには入るものの、そろそろ脱初心者と言えるレベルの人向けです。
こんな人におすすめ
- すでに投資を始めている
- より具体的な内容を知りたい
つみたてNISAはこの8本から選びなさい
「つみたてNISAはこの8本から選びなさい」は、初心者にわかりやすく投資信託や積立NISAについて解説している本です。投資の中でもハードルが低いと言われている積立NISAに特化。投資信託160本の中から著者が厳選した8つの銘柄が紹介されています。
年齢を問わずわかりやすい内容となっており、具体的な銘柄も示されているためこれから積立NISAを始める方にはおすすめです。余談ですが、著者が別途執筆している「投資信託はこの9本から選びなさい」はベストセラーになっており、本書も第2弾の刊行が予定されているという噂です。
ETFはこの7本を買いなさい 世界No.1投信評価会社のトップが教えるおすすめ上場投資信託
「ETFはこの7本を買いなさい 世界No.1投信評価会社のトップが教えるおすすめ上場投資信託」は、ETF(上場投資信託)に特化した本です。ETFは1株から取引できるものが多く、少額で投資を始めることができるので初心者でも気軽に挑戦できます。
ETFに関することを学ぶにはおすすめの1冊ですが、発行が2017年と少し前なので情報が古いと感じる人もいるようです。ただETFの基本的な仕組みに大きな変化はないので、入門書としては十分だと言えます。
たった7日で株とチャートの達人になる! 改訂版
「たった7日で株とチャートの達人になる! 改訂版」は、初心者がテクニカル分析を学ぶことができる本です。マネー誌「ダイヤモンド・ザイ」の編集部が手掛けた本で、分析に欠かせないチャートについて図やイラストを使ってわかりやすく解説しています。
ローソク足の成り立ちなどの基本的な内容からウィークリートレード・デイトレードのような短期取引の方法まで解説されている点もポイント。また付録として楽天証券の取引ツール「マーケットスピード」を使用した取引方法も紹介されており、より具体的な実践例を学ぶことができます。楽天証券で口座開設を考えている人は、特に役に立つでしょう。
株を買うなら最低限知っておきたい ファンダメンタル投資の教科書 改訂版
「株を買うなら最低限知っておきたい ファンダメンタル投資の教科書 改訂版」は、テクニカル分析の1つであるファンダメンタル分析を学ぶことができる本です。初心者向けとはいうものの、お金のことをある程度わかっている初心者向けです。
基礎知識が十分ではない人にとっては、専門用語がわかりにくいと感じることも。ただ「売買のタイミングがわかった」のようなポジティブな意見も多いため、他の初心者おすすめ本+αで本書を読むのがよさそうです。
株でゆったり月20万円。「スイングトレード」楽すぎ手順
「株でゆったり月20万円。「スイングトレード」楽すぎ手順」は、デイトレードよりも期間が少し長い「スイングトレード」という手法を解説した本です。内容がシンプルでわかりやすいと高評価。銘柄選びの方法や売買のタイミングまで解説されており実用的な部分もあります。
ただあくまで初心者向けの基礎的な部分に特化している本であり、人によっては「内容が薄い」と感じることもありそうです。発展的な内容を知りたい方は「株でゆったり月20万円。「スイングトレード」楽すぎ手順」に+αでもう1冊「スイングトレード」を解説した本を読むとよいでしょう。
ウォール街のランダム・ウォーカー 株式投資の不滅の真理
「ウォール街のランダム・ウォーカー 株式投資の不滅の真理」は、インデックスファンドを紹介している本です。著者はプリンストン大学教授でアメリカン証券取引所理事などを歴任した経験の持ち主。データなどを用いて「インデックスファンドへの投資が最適だ」ということを説明しています。
様々な分析法などが紹介されていることからも、ある程度知識を持った初心者向けです。ただ「インデックスファンド」以外の商品について否定的な記載もあります。そのため、幅広くまんべんなく情報を入手して学びたいという方にはあまり向かないかもしれません。この1冊だけ読むのではなく、他の本と合わせて参考にするのがおすすめです。
初心者の株式投資!まずやるべきこと
本を読み、基本的な知識を学んだら次はいよいよ実践です。しかし、証券会社や金融商品を選ぶ前にやるべきことがあることをご存知でしょうか。
それが投資環境の整理です。仮に投資で、億単位の資産を得た人の話を聞いたり実例を読んだりしたとしても、自分が同じようにやるべきとは限りません。何事も最初が肝心です。具体的な内容を記載していますので、ぜひ参考にしてください。
1:投資資金の確認
現在の預貯金から、生活防衛費を引き、余裕資金を導き出します。余剰資金と呼ばれることもあります。
生活防衛費とは、長期入院、失業、倒産、リストラ、自然災害などの不測の事態に備えた、生活資金のことです。もし、当然収入がゼロになったとしても、安心して日常生活が送れる資金とも言えます。
少なくとも3ヵ月、個人事業主やフリーランスの場合は半年以上を目安としておきましょう。また、必ず支払わなければいけない出費(例:住宅ローン、自動車保険、車検代、子どもの学費、生命保険代など)も計算した上で考えます。
この生活防衛費は、絶対に投資に使ってはいけません。性格にもよりますが、初心者の場合、うまくいったらさらに多額の資金をつぎこもうとする人もいます。逆に、損失を取り戻そうとやっきになり、生活費や預貯金を投資にまわしてしまう人も存在します。
投資を始めたばかりの頃は、特に、変化に一喜一憂してしまうものですが、何より大切なのは冷静さです。精神的・金銭的な余裕がない状態では、投資で結果を出すことは難しいでしょう。
だからこそ、投資を始める前に資金の確認が重要なのです。
2:投資の目的・目標を決める
次は、投資の目的・目標を考えます。目的や目標は、必ずしも必要ではないといった考え方もありますが、最初に明確に決めておくことで、より自分に合った投資方法と出逢いやすくなります。
投資の目的として挙げられるケースで多いのは「老後資金」「住宅購入資金」「教育資金」です。合わせて、いつまでにいくら必要かを考えましょう。
(目標金額 - 今の手持ちの中で投資に回せるお金)÷ (これから毎月投資に回せるお金× 12)の式に当てはめることで、運用期間を導くことができます。
ここでの運用期間とは、投資をした際に、利益も損失も生まなかった場合の期間です。
この式を使う理由は、「投資=資産が増える」前提にとらわれないためです。投資の勉強を進める中で、すでに何度も聞いた言葉かと思いますが、投資は必ずしも資産が増えるわけではありません。損失につながるケースも想定されます。
そのため、必ず利益が出る前提で、資金計画を立ててしまうと、予想通り進まなかった場合に、資金が足りないといった事態に陥ってしまいます。一方、利益が出ない前提で考えておくと、うまくいった場合は早期に予算達成できます。そうでない場合も、必要な資金は手元にある可能性が高いため、一種の保険になるでしょう。
3:少額投資で取引を始める
次にやるべきことは、実際の投資経験を積み重ねることです。「投資の正解を知りたい」「儲かる投資方法を知りたい」と考えている方には申し訳ないですが、投資には万人に当てはまる正解は、ほとんどないと言っていいでしょう。
仮に同じ初心者と名乗る人が3人集まったとします。投資の目的・目標も、現在の資産も、さらに性格も異なれば、イメージする投資パターンも異なることでしょう。「ローリスク・ローリターン」か「ハイリスク・ハイリターン」か、どちらを好むのかも、人それぞれだからです。
ただ、ひとつ言えるのは、初心者は必ず少額投資からスタートすべきということです。そもそも、株式投資が初めての場合、取引そのものに不慣れです。今は、簡単に取引できることをどの証券会社もPRしていますが、操作ミスで損失を生んだとしても、責任をとってくれるわけではありません。
まずは画面やアプリの操作に慣れる、株式取引の感覚を掴むといったイメージで、少額取引から始めていきましょう。
Q.「少額投資には意味がない」と聞きましたが本当のところは?
A.きちんと意味はあります。「リスクを抑えつつ、投資スキルを身につけられる」「マネープレッシャーに耐える訓練ができる」のは、少額投資から始める大きなメリットです。
マネープレッシャーとは
マネープレッシャーとは、その名の通り「大切な資金を失いたくない」とのプレッシャーです。プレッシャーによる恐怖、不安から間違った判断をしてしまうケースは少なくありません。
ひとつ例を挙げます。100円を失う恐怖と、100万円を失う恐怖では、おそらく一般的に、100万円を失う恐怖のほうが大きいと答える人が多いはずです。株式投資も同じです。まずは100円、数百円からスタートし、「失うかもしれない恐怖」に打ち勝つ経験を積んでいきましょう。
Q.少額投資は利益が少ないと聞きました。
A.少額投資は、一回あたりの利益も少なくなります。リスクとリターンは比例するためです。ただ、少額投資は永久に続けることを推奨するわけではありません。取引自体に慣れてきたら自分の判断で増額すればいいのです。
まとめ:初心者こそ投資本を読み、準備を進めよう
「投資は不安だけど、今のままじゃダメだと思っている」「投資を始めたいけれど、なんだか怖い」といったネガティブなイメージを抱いている人ほど、投資本を読むことをお勧めします。
なぜなら、不安や恐怖を感じるのは、投資に対して具体的なイメージを描けていないため。人は、よく知らないものに対して恐怖心を感じるものです。
本記事では、投資初心者に向けて現在のレベル別にさまざまな本を紹介しています。気になる本があれば、まずは一度目を通してみてください。初心者向けに書かれているだけあり、どれもイラストや図、マンガなどを使い親しみやすい内容になっています。
基礎知識を増やし理解を深めることで、これまで抱いていた「投資=怖い」のイメージが消えていることに気づくはずです。
文・柚月朋子
フリーランスとしての経験やポイント投資からスタートした経験を活かし、年間200本以上の記事を執筆・監修。投資初心者にわかりやすい記事執筆が目標。