ボーナスシーズン到来! 夏と冬、年2回の賞与は会社員や公務員ならではの楽しみです。気になるのは金額。会社の業績や景気によって左右されるボーナスですが、有名企業や官庁ではいくらくらい支給されているのでしょう? 調べてみました。
そもそもボーナスとはどういう意味?
ボーナス(賞与)とは、毎年、月給とは別に夏と冬に支給される一時支給金のことです。語源は英語で臨時支給金を意味する「bonus」で、さらに遡るとラテン語の「bonus=良い」という単語に行き着きます。
日本にボーナスの習慣ができたのは江戸時代。商家や武家では、毎年、薮入りの時期(正月とお盆)に奉公人に着物や金銭を渡したり、また武士の場合は主家から「四季施」と呼ばれる季節ごとの衣服が支給されたりしていました(「お仕着せ」という言葉はこの「四季施」からきています)。
はっきりと制度化されて現金給付が始まったのは明治時代のこと。明治9年(1876年)に大きな売上をあげた三菱商会が、社員に報いる意味で「賞与候」と謳った臨時金を支給したのが最初だといわれています。
以後、これを真似て各企業が賞与を支給。大正時代には「ボーナス」という呼び方もされるようになり、戦後は日本経済の成長とともに支給額が上昇、現在の、毎年7月、12月というボーナス制度が定着しました。
日本のボーナスの特徴は金額が大きいこと。これをありがたいと思うか思わないかは人によって変わるでしょう。ボーナスのない国だったら同じ年収を単純に12ヶ月で割ってもらえるのに、日本の場合はそれが普段の給料とボーナスに分けられて支給されます。しかも、もし業績が悪かったらボーナスががくんと下がってしまう可能性もあるのです。
もっとも、これだけ文化として定着していると、やはり年2回のボーナスはありがたいもの。ボーナスを楽しみにしている人が大半ではないでしょうか。
国家公務員のボーナスは「期末・勤勉手当」と呼ぶ
もし自分が就活生だったり、転職を考えていたりするなら、ボーナスがいくらもらえるかは気になるところです。そこで今回は一般企業よりも支給時期の早い国家公務員のボーナスに焦点を当ててみます。
日本の公務員の数は約348万人。そのうち国家公務員は約59万人います。日本でもっとも従業員数の多いトヨタ自動車は約7万8000人、ダイハツや日野自動車などを含めたグループ全体の連結従業員数でも約36万4000人ですから、並の大企業よりもずっと多いことがわかります。これだけ大勢の人がもらっているボーナスの中身はどうなっているのでしょう。
国家公務員のボーナスは、正確には「期末・勤勉手当」と呼びます。支給されるのは毎年6月と12月。支給額は毎年変わり、2024年はいまのところ年間で月給の4.3ヶ月分とされています。これを夏と冬で分けると2.15ヶ月。1回の「期末・勤勉手当」で月給の2倍強のお金が支給されることとなります。
なお、ここでいう月給とは、月額基本給と地域手当、扶養手当などを足したものになります。
国家公務員のボーナスはいくら?
国家公務員のボーナスは、年齢はもちろん、職種によって変わります。
2024年だと平均値は約150~176万円。金額に差があるのは職種によって平均額が変わるためです。
たとえば行政職(事務職など)だったら、1回のボーナスの額は以下のようになります(※金額は例年の支給額に基づいたおよそのイメージです)。
- 20代(20~29歳) 40~55万円
- 30代(30~39歳) 57~74万円
- 40代(40~49歳) 76~87万円
- 50代(50~60歳) 88~96万円
税務職(税務署職員など)の場合は少し多くなります。
- 20代(20~29歳) 45~62万円
- 30代(30~39歳) 64~81万円
- 40代(40~49歳) 83~96万円
- 50代(50~60歳) 97~105万円
公安職(刑務官など)は以下となります。
- 20代(20~29歳) 41~55万円
- 30代(30~39歳) 57~74万円
- 40代(40~49歳) 76~89万円
- 50代(50~60歳) 90~97万円
ボーナス以外の収入も含めると、国家公務員の平均年収は約650万円。会社員の平均年収が約430万円であることを考えると、かなりの高収入といえます。
国家公務員のボーナスは指定職である事務次官、本府省局長、審議官クラスになると一度の支給が400万円以上。まさにエリートといった感じです。
他にも国家公務員には、医療職や専門行政職、研究職、専門スタッフ職などがあり、それぞれ支給額が定められています。いずれにしても、業績好調な大手企業並のボーナスが期待できます。
普通の会社員から見ると、ちょっと羨ましい気もする国家公務員のボーナス。とはいえ、最近は減少傾向がつづいています。日本経済の低成長やコロナ渦の痛みを感じているのは民間だけではない、公務員のみなさんも痛みを分け合っているのです。
文・中野渡淳一
文筆業者。著書に『怪しいガイドブック~トラベルライター世界あちこち沈没記』『漫画家誕生 169人の漫画道』。この他「仲野ワタリ」名義で『海の上の美容室』「猫の神さま」シリーズ等小説作品多数。『moneycat』では生活者目線で最新トレンドの記事を中心に執筆。