急激な円安が進む現在、資産を守るにはどうすればいいのかと戸惑う人もいるのではないでしょうか。また、世界的にインフレが進んで、原材料高で生活必需品の値上げが続いているため、生活面で不安になる人も少なくありません。今回は、円安とインフレの基本についておさらいした後、現在の状況を踏まえた資産運用の考え方について解説します。
円安とは?基本を確認
2024年3月1日時点では、米ドルの対円相場は115.28円でした。しかし2024年6月24日時点では135.22円と19.94円も円安が進んでいる状態です。
例えば、3月1日に100米ドルの商品を購入した場合は11,528円必要でしたが、6月24日では13,522円が必要ということになります。つまり同じ100米ドルのものを買うのに、1,994円も余分に円が必要ということになります。製造業で海外から原材料を輸入している場合、円安時には原材料が高騰して製品自体の値上げをせざるを得ません。
現在の日本は、アメリカやEUなどと金利格差が広がり、さらなる円安が予想されています。では、なぜ日本と他の先進国の間で、金利格差が広がっているのでしょうか。その理由は、世界中で進むインフレにあります。
インフレとは?基本的を確認
インフレとは「インフレーション」の略語で、モノの値段が高騰し続ける状態のことを指す言葉です。逆に言えば、インフレ時には、お金の価値が下がります。現在、ロシアのウクライナ侵攻により、ウクライナの小麦やロシアの原油・天然ガスなどの輸出が大きな影響を受け、世界ではインフレが進んでいる状態です。
インフレが進み過ぎると、各国はインフレ抑制のために金利を上げる政策を取ります。アメリカやEUなどの先進国では、どこも政策金利を上げる政策に転じました。しかし、日本はなかなかデフレから脱却できないため、ゼロ金利政策を継続中です。
では、円安かつ今後インフレが進みそうな日本では、どのようにして資産を守ればいいでしょうか。
円安&インフレ時代における資産運用の考え方
今後も円安が進むと見込まれる現状の日本では、日本円を外貨に換えておくのが基本的な考え方です。例えば外国の株や債券を購入したり、外貨預金をしたりすることで、円の価値が下がっても資産を守れます。
また、インフレが進みそうな場面では、お金を価値のあるモノに変えることで資産の目減りを防止可能です。株や貴金属、高価な時計や不動産などは、インフレ時の投資先としてよく選択されます。
現在、アメリカは政策金利を引き上げてインフレを抑制する方向に動いているため、米国株は下落基調です。しかし、長期的に円安基調が続くのであれば、長期的に高いリターンを出している米国株への投資は、円安&インフレ時代にも合致した選択肢のひとつと言えます。
世界情勢は常にチェック!適切な投資で資産防衛を
円安が進み、今後インフレも進んでいくと見られる日本での資産運用の考え方を見てきました。各国の政策と日本の政策、デフレとインフレなどの状況は常に変化し、為替や株式の市場は敏感に反応します。世界の状況は常にアンテナを張って注視し、適切な投資を進めて大切な資産を守りましょう。
文・藤森みすず
大手Slerにてシステムエンジニアを経験後、フリーランスのライターに。金融記事をはじめ旅行や時事ネタなど多くの記事を執筆。