最近、ニュースやネットでもよく目にすることが増えた「つみたてNISA」。国も投資を薦めているけれど、「初心者が投資するのはやめたほうがいい」「投資って怖い、危ない」と思っていませんか。もちろん、理由や根拠なく大事なお金を投資することはおすすめしません。
ただ、内容を知ろうとせずに怖がって手を出さないのは、あまりにもったいないとも思います。本記事では、投資初心者が最もスタートしやすい「つみたてNISA」について詳しく説明しています。
投資初心者でもちゃんと知れば怖くない!「つみたてNISA」って何?
まず、つみたてNISAとは、簡単に言いますと「節税&資産形成」が同時にできる嬉しい制度です。
通常であれば、投資から得た利益のうち、約20%を税金としておさめる必要があります。10万円の利益が出たとしても、手元に残るのは8万円。これは辛いですよね。
一方、つみたてNISAであれば、丸々10万円が手元に残ります。これを「非課税制度(※)」といいます。
※最長20年間、年間40万円まで
- つみたてNISAのポイント
- 金融庁が厳選した投資信託である(安心!)
- 換金が自由(急に現金が必要になったときも便利)
- 年間40万円以下、非課税期間20年間(長い!)
- 積立で購入できる(コツコツ投資!)
「つみたてNISA」「一般NISA」の違いは?投資初心者に向いているのは?
「つみたてNISA」以外に「一般NISA」や「ジュニアNISA」があります。さらに、2024年からは「新しいNISA」も始まります。ここで内容について簡単におさらいしておきましょう。
※ジュニアNISAは2024年での終了が発表されたため、ここでは解説していません。
2023年まで
一般NISA | つみたてNISA | |
年間非課税枠 | 120万円 | 40万円 |
非課税となる期間(最長) | 5年 | 20年 |
投資方法 | スポット購入・積立方式 | 積立方式 |
対象商品 | 上場株式・ETF・公募株式投信・REITなど | 国が定めた基準を満たした投資信託 |
2024年から(対象者が20歳→18歳へ)
新しいNISA | つみたてNISA | |
年間非課税枠 | 2階部分 102万円 1階部分 20万円 | 40万円 |
非課税となる期間(最長) | 5年 | 20年 |
投資方法 | スポット購入・積立方式 | 積立方式 |
対象商品 | 2階部分:上場株式・ETF・公募株式投信・REITなど 1階部分:つみたてNISAと同条件 | 国が定めた基準を満たした投資信託 |
簡単に言いますと、つみたてNISAは「積立投資」のみ、かつ国の基準を満たした銘柄しか投資できません。元本保証がない点に変わりはないものの、安心度は高いでしょう。一方、投資したいと思う銘柄が選べないケースもあり、自由度は下がります。
それでは、具体的に自分が「つみたてNISA」「一般NISA(新しいNISA)」どちらに向いているのかをチェックしてみてください。
つみたてNISA向きの人 | 一般NISA(新しいNISA)向きの人 |
コツコツ少額から投資したい 自分で銘柄を選ぶのは自信がない 長期投資を始めたい 時間を使わず投資をしたい | 年間40万円以上投資したい 自分で銘柄を選びたい 投資の知識に自信がある |
投資初心者はつみたてNISAをやめた方がいい?!
投資初心者にも始めやすい「つみたてNISA」ですが、「つみたてNISAはやめたほうがいい」という意見も少なくありません。上記で説明した通り、かなりお得な制度なのになぜ?と思うかもしれませんね。
その理由として、次の3点が挙げられます。
つみたてNISAは「保有」が基本だから
「つみたてNISA」は、いつでも換金することができますが、資産運用の面から考えると、運用途中で値下がりしたとしても、保有し続けることが基本です。価格変動に一喜一憂せず、中長期的な視点で見続けなければなりません。
ただ、言葉にすると簡単ですが、投資初心者の場合は、値動きに動揺してしまいがち。耐えきれず売却した人からは「つみたてNISAはやめた方がいい」との声が出ています。
しかし、積立期間が長くなればなるほど、計算上の収益率は高くなります。現実でも必ず利益が出ると断言はできませんが、長期保有することでリスクを避けることは可能です。
貯金ゼロの状態での投資は危険だから
「つみたてNISA」は、運用利益を非課税にできるお得な制度ですが、「投資」であることに変わりはありません。つまり、生活資金にゆとりがある状態で始めるもの。
貯金がゼロの状態で投資を始めることは、おすすめできません。仮に始めたとしても、生活が苦しくなったらすぐに解約することになるでしょう。これでは、資産運用の成果が出ることはありません。
最低でも半年分の生活資金は別に確保しておきたいもの。その上で、余剰資金でつみたてNISAを始めるのが一般的です。
とは言うものの、半年分もの預貯金を蓄えている間に、時間はどんどんと過ぎていきます。そこでとるべき手段は「つみたてNISAをやめる」のではなく、2、3ヵ月分の預貯金ができた時点で、少額の投資を始めることです。
毎月100円、毎月1,000円といった単位で構いません。コンビニに立ち寄る回数を減らしたり、自販機の利用を控えたりした分をつみたてNISAに回すイメージです。
「何となく」で口座開設すると損する可能性があるから
つみたてNSAを始めるにあたり、口座開設が必要です。銀行、証券会社、ネット証券、いずれの場所でもつみたてNISAを始めることはできますが、取り扱い商品や手数料がそれぞれ異なります。
例えば、銀行では個別株、ETF、REITの取引を行うことはできません。
また、つみたてNISAで選択できる投資信託は、購入時手数料がかからないものの、「信託報酬(運用中に発生する手数料)」「信託財産留保額(売却時に発生する手数料)」がかかります。
毎月の最低積立金額も、100円、1,000円、10,000円など金融機関により異なります。あらかじめ、自分が投資に回せる予算を考えた上で、当てはまる金融機関を選びましょう。
「手数料コストを抑えたいなら、ネット銀行・ネット証券」「対面でのやり取りや相談を重視したいなら、実店舗を持つ銀行や証券会社」など、自分が希望する条件をもとに考えていくと、自分に合う金融機関が見つかりやすくなります。
実際に私の友人2人も、それぞれネット証券、実店舗のある銀行でつみたてNISAを始めています。
手数料の安さと普段から楽天経済圏を使っていることから楽天証券を選びました。口座開設もスムーズで、思っていた以上にカンタンでした。
実店舗がある安心感は大きい。20年間と考えると期間も長いので、地元の銀行でつみたてNISAを始めました。個別株の取引を行うつもりもないし、お金のことをまるごと相談できるのはありがたいです。
「つみたてNISA」の金融機関は、1年に1回であれば変更することができます。ただ、手間がかかることや変更期間に縛りがあることから、できれば最初から自分が使いやすい金融機関を選びたいものです。
投資初心者向け!おすすめ銘柄の選び方
つみたてNISAの銘柄を選ぶ際のキーワードは、次の3点です。
- 分散投資
- インデックスファンド
- 信託報酬コスト
特定の国だけに投資した場合、好調なときは問題ありませんが、マーケットが大きく動いたり紛争、自然災害などが発生したりする可能性もあります。影響を受け、大切な資産が大きくマイナスになることも。こういったリスクを減らすため、日本だけ、アメリカだけ、など特定の国ではなく世界中に分散投資しているものを選びましょう。
インデックス運用とは、日経平均株価やTOPIXなどの基準となる指数(インデックスといいます)と連動しながら動く運用方法です。アクティブ運用(インデックスよりも高い利益を狙う)と比較し、安定した利益が出る可能性が高いです。
最後の信託報酬は、運用中ずっと発生するため、注意が必要です。できるだけコストを抑えることが、利益の確保につながります。
ただ、初心者の場合、組み合わせを考える時点でハードルが高いものです。上記のポイントを押さえた「全世界インデックスファンド」を1本購入することから始めましょう。
投資初心者こそ「つみたてNISA」から始めよう
資産運用には、つみたてNISA以外にもさまざまな種類があるものの、投資初心者にとっては、ハードルが高いもの。まずは、つみたてNISAで投資に慣れてから、幅を広げていくのもひとつの方法です。
文・柚月朋子
フリーランスとしての経験やポイント投資からスタートした経験を活かし、年間200本以上の記事を執筆・監修。投資初心者にわかりやすい記事執筆が目標。