個人事業を営んでいて一定以上の所得を得ると、仕事の種類によっては個人事業税を収める必要があります。ほとんどの職種は個人事業税の課税対象ですが、非課税の職種もあることはご存じでしょうか。本記事では、個人事業税の概要と課税される業種・課税率、個人事業税のかからない業種を解説します。
個人事業税とは
個人事業税とは、個人事業にて収入を得る際に課税される税金です。個人事業税のかかる事業は地方税法などで定められた事業は法定業種と呼ばれ、都道府県ごとに決められています。
個人事業税には事業主控除として1年で290万円が認められているため、事業所得から必要経費を差し引いた金額が290万円までは非課税です。また、営業期間が1年未満のケースは、事業主控除は月割額となるため注意しましょう。個人事業税の納付月は、原則として8月と11月の年2回です。
個人事業税のかかる業種と課税率
個人事業税のかかる業種は、東京都で70業種あり、ほとんどの業種を網羅しています。以下は、東京都の定めている法定業種と税率の一覧です。
区分 | 税率 | 事業の種類 |
第1種事業 | 5% | 販売業 運送取扱業 料理店業 遊覧所業保険業 船舶定係場業 飲食店業 商品取引業金銭貸付業 倉庫業 周旋業 不動産売買業物品貸付業 駐車場業 代理業 広告業不動産貸付業 請負業 仲立業 興信所業製造業 印刷業 問屋業 案内業電気供給業 出版業 両替業 冠婚葬祭業土石採取業 写真業 公衆浴場業(むし風呂等)電気通信事業 席貸業 演劇興行業運送業 旅館業 遊技場業 |
第2種事業 | 4% | 畜産業 水産業 薪炭製造業 |
第3種事業 | 3% | あんま・マッサージ又は指圧・はり・きゅう・柔道整復その他の医業に類する事業装蹄師業 |
5% | 医業 公証人業 設計監督者業 公衆浴場業(銭湯)歯科医業 弁理士業 不動産鑑定業 歯科衛生士業薬剤師業 税理士業 デザイン業 歯科技工士業獣医業 公認会計士業 諸芸師匠業 測量士業弁護士業 計理士業 理容業 土地家屋調査士業司法書士業 社会保険労務士業 美容業 海事代理士業行政書士業 コンサルタント業 クリーニング業 印刷製版業 |
業種は第1種事業から第3種事業の3種類に分類され、第1種事業は税率5%、第2種事業は税率4%です。第3種事業は、業種により税率3%と5%の2種類に分かれます。
個人事業税のかからない業種とは
個人事業性のかからない業種とは、法定業種に記載されていない業種のことです。具体的には、文筆業・翻訳業・漫画家・画家・音楽家・スポーツ選手・芸能人などは、法定業種に定められていません。農業や林業も法定外の業種です。
システムエンジニアやプログラマーなどIT系の業種も、法定業種には定められていません。しかし仕事を請け負っている場合は第1種事業の「請負業」に相当するとみなされ、課税される場合もあります。
また、複数の事業を行っている場合は、所得金額を各事業の所得に合わせて按分し、それぞれの事業に個人事業税が課税されます。
開業届職業欄に書く職種は提出前に確認を
個人事業税の概要と法定業種、個人事業税のかからない業種を紹介しました。個人事業主として税務署に開業届を提出する際は、職業欄に記載する業種が自分の事業に合致しているかどうか、個人事業税の課税対象かどうかを忘れず確認しましょう。
文・藤森みすず
大手Slerにてシステムエンジニアを経験後、フリーランスのライターに。金融記事をはじめ旅行や時事ネタなど多くの記事を執筆。