FXよりも資金効率のよい金融商品「ノックアウトオプション」の名前を聞いたことはありませんか?ただ、ノックアウトオプションを取引できるネット証券会社は少なく、どのようなメリット・デメリットのある金融商品かはわかりにくいのではないでしょうか。
今回は、ノックアウトオプションの概要と、取引をするメリット・デメリットについて解説します。
ノックアウトオプションとは
ノックアウトオプションとは、エントリー時に損切ポイント(ノックアウト価格)・損切額を決定してポジションを保有する金融商品です。事前に設定したノックアウト価格に達すると自動的にポジションは決済(ノックアウト)されます。
ノックアウトオプションの証拠金はノックアウト価格に達した場合の損切額とイコールです。エントリーポイントとノックアウト価格が近ければ近いほど必要証拠金は少なくて済み、FXよりも少ない証拠金での取引が可能です。つまり、FXよりも資金効率のよい取引ができます。
日本国内でノックアウトオプションを提供しているネット証券会社は、現在のところIG証券とFOREX.comの2社のみです。ノックアウトオプションを取引したい場合は、どちらかの会社で口座開設が必要となります。
ノックアウトオプションのメリット
ノックアウトオプションで取引をするもっとも大きなメリットは、資金効率の高さにあります。日本国内のFX個人口座では、FXのレバレッジは25倍までです。ノックアウトオプションの場合、理論上は数百倍ものレバレッジで取引することもできます。投資できる金額が少額で大きく取引をしたい人は、ノックアウトオプション向きです。
事前に必ずノックアウト価格と損切額を設定するため、逆方向に根が動いたとしても、損切額以上の損失を被らない点もメリットのひとつです。一度決めたノックアウト価格は動かせないため、ついつい損切りポイントを動かしてしまって損失を大きくしてしまう、といった失敗も予防できます。
エントリー後は、ノックアウト価格以外にも損切りポイントや利益確定ポイントを設定できます。もちろん、ノックアウト価格に達する前に決済することも可能です。
また、FX以外にも、株価指数や商品などを取引対象にできる点も、ノックアウトオプションの魅力です。
ノックアウトオプションのデメリット
メリットの多いノックアウトオプションですが、いくつかのデメリットもあります。大きなデメリットは、一般的なFX取引と比較して、スプレッドが広い点です。IG証券を例にとると、米ドル円は一般的なFXでは0.2pipsのところ、ノックアウトオプションでは0.6pipsとなります。
新規注文時に指値注文ができない点もノックアウトオプションのデメリットです。常に相場を見てエントリーポイントに達するかを見ていなければならない点に不便さを感じる人もいるでしょう。また、ポジションの保有期間は最大1年です。スワップポイントを狙って数年単位で保有したいと考えていても、1年経過すると決済される点には要注意です。
少額の資金で効率良く資産を増やしたい人は試してみよう
ノックアウトオプションは、高レバレッジで資金効率の良い金融商品です。少額の資金でこまめに利益を確定しながら、効率良く資金を増やしたい人には、有効な投資手段のひとつとなります。デメリットを理解した上で、少額からノックアウトオプションを試してみてはいかがでしょうか。
文・藤森みすず
大手Slerにてシステムエンジニアを経験後、フリーランスのライターに。金融記事をはじめ旅行や時事ネタなど多くの記事を執筆。