3分で読める

中古物件を買ってリフォームしてみた リフォーム編その⑩

築20年近い中古の戸建て(要リフォームのボロ物件)を購入した夫婦。内見から契約、リフォーム業者の手配と、あっという間に半年近くが経ち、引っ越し前のリフォーム工事はいよいよ佳境へ突入しました。最大の予算を投入した水回り4点の交換工事もスタート。次に待ち受けるはボロ物件をボロ物件たらしめていた壁のリフォーム。工事は滞りなく進むのでしょうか。

ネコが消え、ゴミが残った

ジャングルのようであった庭の草刈りをしていたら、生まれたばかりの子猫たちを発見した話は前回書きました。危険を察知した親猫が子猫たちを連れ去り、あとにはドクダミを中心に、刈った草を詰めたゴミ袋が残りました。その数11個。

水回り工事の初日は、燃えるごみの回収日でした。娘を保育園に送った筆者はその足で新居に寄り、ゴミ袋を3回に分けてゴミ捨て場に出しに行きました。ちょうど収集車が来る直前で、かろうじてセーフといったところ。新居があるエリアのゴミ回収は、同じ区内でもいままで住んでいた地区よりも収集が2~3時間早いことに気がつきました(寝坊ができなくて残念)。

家の中では職人さんたちがさっそく風呂場のパネルを外し始めています。梅雨明け前の7月、エアコンのない家の中はけっこうな蒸し暑さです。かねてからそうしようと思っていたとおり、そのままクルマでスーパーに行き、スポーツ飲料やジュースを大量購入。氷と一緒にクーラーボックスに入れて、職人さんたちへの差し入れとしました。

家に帰ると、妻が「やっぱり一階の壁の奥の部分やカウンターまわりの色をブルーにしよう」と言い出しました。壁屋さんに「いくら増しでできますか?」とメールを送ると「費用は見積もりのままで大丈夫です」と返信がありました。塗料代や手間がよけいにかかるはずなので、それでいいのですか。念のために確認すると「大丈夫です」と即レス。なんとありがたいことでしょうか。

妻のところには筆者が家に帰るまでの間に水回り業者のMさんから電話が入っていました。職人さんたちが確認したところ、風呂場の床下部分の配管などが「腐っていた」とか。修繕費は1万5000円。もちろん、お願いするほかありません。築20年近い物件だけに、他にもまだまだこういうことはありそうです。

水回り工事、無事終了!

翌々日は、新居にネットで購入したエアコン3台が届く日です。午前勤だった妻と合流して新居に行きました。妻が水回り工事を見るのはこの日がはじめてです。

行ってみると、台所のシステムキッチンが丸ごとなくなっていて、リビングは資材置き場と化していました。「いい感じじゃない」と妻は満足そうです。

しばらくして佐川急便が到着。2階の3室に取り付けるエアコンがやって来ました。とりあえず1台ずつ2階に運んでそれぞれの部屋に置いておきました。

工事は引っ越し前の予定です。気になるのは工事費。エアコンは「標準工事付き」で購入しているけど、3部屋中1部屋だけはそういきそうにないのです。他の2部屋は外側のベランダに室外機が置けるので標準工事で済むはずだけど、残る1部屋にはベランダがありません。室外機は外カースペース(駐車場)に置いて、そこまで給排気ホースを延ばさなければならないのです。

しかもエアコンの直下だと、ちょうどカースペースの入口にあたるためクルマの出し入れに邪魔となります。置くならば、さらに何メートルか奥にしなければなりません。そうなると、7、8メートル分のホースが必要となります。

追加でいったいいくらかかるやら。へたをすると本体よりも工事費が高いなどということになりかねません。

とにかく、ここでやきもきしたところでいいことはないので、取り付け工事当日まで忘れることとしました。

エアコン搬入のあとは妻と2人で横浜駅前の高島屋で買物。引っ越しの挨拶でご近所の皆さんにお渡しするタオルなどを購入しました。

暦は7月の半ばです。次の日は次の日で、NHKに電話して契約変更をしたり、借りている家の火災保険を解約したりと細かい仕事が次々に発生します。

すでに一部の郵便物は新居に届いているので、それを取りに行くと水回り業者のMさんが来ていました。

「いちおう工事は終わりましたので、明後日に立ち会って確認ということでよろしいでしょうか」

その言葉に、工事が終了したことを知りました。

「脱衣所とトイレの床も換えておきました」とMさん。これは前にも書いたように、Mさんがご好意から無料でサービスしてくれたものです。

「ありがとうございます」と礼を言う筆者の目には、ちょっと強面のMさんが七福神の誰かのように見えました。

引っ越し準備、スタート!

引っ越しまであと2週間。ぼやぼやしてはいられません。そろそろ荷造りをはじめよう、ということで引っ越し業者からもらっていた段ボール箱に本などを詰め始めました。

家には新居用の照明器具なども届いていたので、それを取り付けに行きました。脚立がなかったので、かわりに娘が食事に使う乳幼児用のハイチェアを持って行き、それに乗ってリビングや2階の和室に照明器具を設置。これだけで汗だくです。しかも、つけたつもりがなぜかうまく点灯してくれなかったりとか、精神的にも疲れるようなことが起きてしまったりもします。物事、なかなかスムーズにはいかないものです。

立会いの日がきました。MさんとMさんの会社の建築士さんと3人で必要なチェック(と言っても交換したシステムキッチンやバス、洗面台、トイレ、脱衣所やトイレの床などを見るだけ)を行い、無事に「引き渡し」終了です。代金は190万円に浴室の床下の修繕代金1万5000円を合わせて191万5000円。納得の金額です。Mさんには本当にお世話になりました。

ついでに「そのうちいつかやるつもり」の外壁と屋根の塗り替えについても聞いてみました。

「この家のサイズでしたら、三度塗りして150万円から180万円といったところですね」

Mさんが言うにはそれ以上安い業者もいるけれど、二度塗りだったり、足場代を入れずに見積もりを出していたり、安いには必ず何か理由があるはず、とのことでした。外壁と屋根のおそらく数年以内に塗り直しが必要となるはず。Mさんの話からすると、消費税と合わせて200万円用意すればお釣りがきそうです。

翌日の昼、まだ工事完了後の水回りを見ていない妻と娘が新居をチェック。娘はきゃっきゃと喜んで家中を歩き回り、妻は自分が選んだシステムキッチンがそこにあることに大満足。筆者はうまく点灯してくれなかった照明器具が、今度はなぜかちゃんとついてくれたのでひと安心です。

帰りは家電量販店で、経年劣化でつかなくなっていたキッチンの蛍光灯を買いに行きました。ありがちな話で、いざ店頭に行ってみると、数種類ある蛍光灯のどれを買っていいかで迷ってしまいました。もちろん、そんな事態も想定して古い蛍光灯を外して持って行ったのですが、あまりに古くてタイプを示す文字が消えてしまっていたのです。
「点灯管はついていましたか?」と店員さん。「いや、ついていません」「ならたぶんFLRでしょう」と、消去法で攻めてFLRの蛍光灯を購入。翌朝、娘を保育園に送った帰りに新居に寄ってつけてみると、問題なく点灯してくれました。

なんだかもう、毎日細かいことで頭を悩ます日々です。

7月も20日になりました。引っ越しまであと10日もありません。仕事の合間の空いた時間は本棚の本や小物、服などを段ボール詰めです。使っていない布団は引っ越し業者から借りた布団袋に詰めます。いろいろ考えながらの箱詰めだから時間がかかります。とはいえ、ここでいい加減な詰め方をしていると、あとで泣くのは自分です。

畳屋さんから電話が鳴りました。明後日に予定していた畳の取り外しを明日にしてほしいとのこと。もちろんOKです。明日はエアコンの工事とガスの工事も入ります。こうなると2つも3つも一緒です。

残っている主な作業は以下の通り。

  • エアコン取り付け工事
  • 畳の張り替え
  • リビングの窓ガラス交換
  • 室内壁の塗装・張り替え
  • 都市ガスの引き込み工事
  • インターネット、電話の引き込み工事
  • ハウスクリーニング

これは終われば引っ越し。新居購入のドタバタ劇もいよいよ終盤です。

(リフォーム編その⑪へつづく)

文・中野渡淳一

文筆業者。著書に『怪しいガイドブック~トラベルライター世界あちこち沈没記』『漫画家誕生 169人の漫画道』。この他「仲野ワタリ」名義で『海の上の美容室』「猫の神さま」シリーズ等小説作品多数。『moneyscience』では生活者目線で最新トレンドの記事を中心に執筆。