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かわいい犬と暮らしたい。愛犬と暮らす費用の総額はいくら?

猫と並んで人々に愛されているペットが犬です。人懐こいワンちゃんとの暮らしは生活に潤いを与えてくれます。犬を飼うのに必要なお金はいくら? どのタイミングでいくらかかる? 簡単にまとめてみました。

1匹の犬を子犬から飼う。費用の総額は?

みなさんは犬派でしょうか、猫派でしょうか。最近は「両方好き」というハイブリッドな方も多いと思います。

よく「犬は猫に比べて手がかかる」と言われます。実際、そのとおりです。犬は猫と違って外での散歩が必要だし、家の中でもかまってあげないと寂しがります。おしっこや人と接する際の躾もしなければなりません。

かかるのは「手」だけではありません。お金もかかります。

犬の寿命は10数年。いまの日本で犬を1匹、子犬のときから飼うとしていったいいくらかかるのでしょうか。相場は約300万円~500万円と言われています。

かりに300万円だとして、15年飼育したとしたら、1年平均で20万円。1ヶ月だと約1万6,700円。これはもう立派な固定費といえます。

「犬ってそんなにお金かかるの?」

驚かれた方もいるでしょう。でも、考えてみてください。犬は生き物です。命です。飼っている人にとっては家族です。大事な家族にかかるお金が月に1万6,700円。そう考えると、安いような気がしませんか。

ここで「やっぱり高い!」「出せない」と感じる人は、犬を飼うのはやめましょう(もしくは、もっと経済的に豊かになってから飼いましょう)。犬はお金がかかるだけでなく、手もかかります。日々の散歩には自分の貴重な時間を割かねばなりません。飼い主の時間や労力を奪うのが飼い犬というものです。

逆に「うちはそのくらい出しても全然平気」「むしろ犬といる時間こそ貴重な時間」「金じゃない。かわいいから飼うんだ!」という人は大丈夫。安心して犬を迎え入れてください。

犬にかかる費用の内訳

犬にかかる費用を項目別に見てみます。ここでは愛犬をペットショップで購入したと想定します。購入時、購入直後の出費としては以下のようなものが挙げられます。

  • 生体価格:約15万円~35万円
  • 畜犬登録費:約3,000円
  • 混合ワクチン接種費用:8,000~1万円
  • 狂犬病予防接種:3,500円
  • 飼育グッズ(ケージ、トイレ、マットなど):3~5万円
  • 去勢手術(オス):3~7万円
  • 避妊手術(メス):4~8万円
  • ペット保険加入費:1万5,000円~2万5,000円

毎月の固定費として確実なのはエサ代。これは1ヶ月で2,000~1万円かかります。

他にトリミング代が1回あたり5,000円前後。シャンプーや爪切りなども月に1,000円~3,000円程度。ウェットティッシュやおしっこ用のシート、消毒剤などの消耗品代もあります。合計1万~2万5,000円といったところです。

病気や怪我をしたら、言うまでもなく治療費がかかります(動物には健康保険がないのでペット保険への加入がおすすめ)。しつけのためにドッグスクールを利用したら、1時間5,000円前後の費用がかかります。

旅行に出た際に利用するペットホテルは、1泊2,000~5,000円程度。もし2泊3日の旅なら、4,000~1万円。朝早くの出発で、前の晩から預けるとなると6,000~1万5,000円を支払うことになります。

また犬は犬種やその犬の寿命によってかかる費用に差が出てきます。飼い主の考え方や接し方によっても変わってきます。小型犬か大型犬か。病気や怪我をしやすい犬種か。トリミングがどれだけ必要かなど、飼う前にその犬ごとの特徴を把握しておいた方がいいでしょう。

ことに注意したいのは医療費です。手術や長期間の治療が必要な場合の治療費や薬代は数十万円に達します(場合によってはそれ以上のことも)。

日本の犬の平均寿命は、小型犬で15歳、中型犬、大型犬で14歳弱。ペット先進国であるアメリカやヨーロッパに比べて短いと言われていますが、それでも年々延びています。もちろん、大事に飼われた健康な犬は長く生きします(ギネス記録では29歳まで生きた犬がいます)。寿命が長くなれば、当然、それだけお金がかかります。

愛犬と暮らす 費用を安く抑える方法

犬を飼うのに費用を安く抑えるにはどうすればいいでしょうか。考えられる方法はいくつかあります。

①ペットショップで購入しない
知り合いから譲ってもらう。保護犬の里親になる。こうした方法で犬を迎えれば購入費用がかからずに(または安く)済みます。ペットショップで購入するにしても、値引き価格になっているワンちゃんを選べば購入費用を抑えられます。

②動物病院を比較する
去勢手術や避妊手術などはペット保険が使えません。病院ごとに料金は違うので見比べてみるといいでしょう。その他の病気などの治療でも病院によってペット保険が使えたり使えなかったりします。ここも要チェックポイントです。

③食事をコントロールする
犬は一生同じエサを与えていればいいというわけではありません。年齢に応じたドッグフードを与えることで健康な状態を長く維持することができます。健康寿命が長ければ長いほど、結果的に費用は安く済みます。

④適度な運動をさせる
犬種にもよりますが、1日1~2回、10~15分程度の散歩をするだけでも犬の健康を維持できます。適度な散歩はストレス防止にもなります。

⑤定期的に検診を受ける
人間と同じで、犬も健康診断を受けることで病気の予防や早期発見ができます。

わかりやすく言うと、どれだけ犬の健康を維持できるか。ここがポイントとなります。愛情を込めて大事に飼われた犬は、それだけお金もかからないということです。

絶対にNGなのは人間の食べ物を与えること。人間の食べ物は塩分が多いだけでなく、犬の健康を害する成分が含まれていることがあります。一度与えてしまうと味や匂いを覚えてしまうので気をつけてください。

犬には、そのときどきによって人気や流行があります。最近、よく見かけるのはトイプードルやチワワ、ミニチュアダックスフンドなど。これらの犬は見かけのかわいさや性格だけでなく、実は大きな病気をしにくいという点でも人気があるようです。

費用の話ばかりしてしまいましたが、犬を飼うのに必要なのはお金だけではありません。犬はいったん飼い始めたら10数年という長いつきあいになります。その間、ずっと愛情を注いでいられるか。飼う前にまずは自分に問いかけてください。その覚悟と自信があれば、きっといまよりも心豊かで素敵な毎日を送れるはずです。

文・中野渡淳一

文筆業者。著書に『怪しいガイドブック~トラベルライター世界あちこち沈没記』『漫画家誕生 169人の漫画道』。この他「仲野ワタリ」名義で『海の上の美容室』「猫の神さま」シリーズ等小説作品多数。『moneyscience』では生活者目線で最新トレンドの記事を中心に執筆。