夏休みが終わったばかりですが、早くも秋の旅行シーズンが近づいています。10月10日まで延長された県民割(地域ブロック割)を利用して、同じブロック内の道府県を訪ねてみてはいかがでしょう。
使い方次第では実質50%以上の割引となる県民割(地域ブロック割)
2024年4月から、全国を6つに分けた地域ブロック割となった県民割。すでに利用したという人も多いのではないでしょうか。
県民割は旅行代金(宿泊代金)が最大50%割引、割引上限は5,000円/人泊、それと別に2,000円/人泊の地域クーポン(土産物店、スーパー、専門店などの店舗で使えるお買物券)がつくというたいへんお得なキャンペーンです。対象は地域ブロック内の居住者となっています。
「ぱっと聞いてもよくわからない」という人もいるかと思います。
簡単に言うと、もし1万円の宿に泊まった場合、宿泊費が5,000円になるというのが県民割です。
1万円でなく1万5,000円の宿の場合は、1万5,000円−5,000円で、宿泊代金は1万円となります。
どうです? お得ですよね。
しかもそこに2,000円分のクーポンがプラスされます。このクーポンは、例えば宿の食事の際に注文したビール代などにも使えますから(念のため、事前に宿に確認すること)、チェックアウト時の支払いは5,000円以上の割引となることもあります。
また、宿によっては県民割を対象としたプランや、会員限定のお得なプランを設定していたりします。一例を挙げると、静岡県内のあるホテルでは、会員登録をしているメールマガジン購読者向けにこんな限定プランを用意していました。
<1泊2食付き1万5,500円(平日/和室/2名1室>に対し、
県民割:5,000円
メルマガ限定プラン割引:2,000円
ホテル会員割引:1,500円
が適用され、合計金額は1人1泊7,000円。しかもここに地域クーポン2,000円がつくという大盤振る舞いです。
静岡県では県民割のクーポン券はコンビニで購入するため(チェックイン時にホテル側に渡す)、この限定プランを利用した場合、チェックアウト時のフロントで支払う金額は1人2,000円となります。
これはもう、利用しない手はありませんね。
県民割の利用にはワクチン接種3回の証明が必要
お得感満載の県民割。利用に際して絶対に忘れてはならないのが新型コロナウイルスへの対応です。県民割を利用するには、新型コロナウイルスのワクチン接種歴3回、またはPCR検査等の陰性証明が必要となります。
具体的には、ワクチン接種時に医療機関や接種会場でもらう書類(接種券についている「予防接種済証」)をフロントで提示することになります。
これが1回分でも欠けていると県民割は適用されません。実際、うっかり持ち忘れて仕方なく通常通りの宿泊代金を支払ったという人もいます。
こうした場合、宿泊施設に到着前にコンビニ等で購入したクーポン券も使用できなくなるので、プラス5,000円の出費となってしまいます(期間内であれば次の旅行で利用は可能。またメルカリなどで売ることもできる)。
ワクチン接種証明は、ワクチン接種の対象者であれば全員分が必要です。ただし、対象外の小さな子どもはなくても県民割が利用できます。
万が一、ワクチン接種証明を持ち忘れてしまった場合、試してほしいのが「新型コロナワクチン接種証明書」アプリです。
これはデジタル庁がつくった「日本政府が公式に提供する、新型コロナワクチン接種証明書を取得できるアプリ」で、App StoreまたはGoogle Playでインストールできます(スマートフォンの機種によっては利用不可)。
アプリの利用にはマイナンバーカードと、カード受け取りの際に設定した4桁の暗証番号(券面入力補助用暗証番号)が必要。アプリをインストールしてもマイナンバーカードと暗証番号がなければ「新型コロナワクチン接種証明書」を取得できません。
動作環境は、iOS13.7以上、Android8.0以上。マイナンバーカードが読み取れる端末(現在流通している大半のスマホが対応)が必要となります。
以上の動作環境を満たしたうえで、マイナンバーカードを所持していて、かつ暗証番号を忘れずに覚えていれば、アプリを通してその場で接種証明書が取得できます。通信環境次第ですが、スムーズにいけば数分での取得が可能です。
地域ブロックとは何か
地域ブロック割とは県民割の拡大版。そう解釈すればいいでしょう。現在、ほぼすべての都道府県が隣県やそれに準じて近い地域の道府県を県民割の対象としています。
例えば、北海道だと対象となるのは北海道民の他、東北6県(青森、秋田、岩手、山形、宮城、福島)の居住者となります。
福岡県であれば、福岡県民の他、佐賀、長崎、大分、熊本、宮崎、鹿児島の九州各県に加えて山口県の住民が対象となります。
このように対象の地域は都道府県によって変わるので、自分が住んでいる都道府県がどこの対象となっているか個別に調べておくと、旅行計画を立てる際に間違いを起こさずに済みます。
全国の中で、例外的に条件が厳しいのは、東京都(都民のみ対象)、大阪府(2024年9月10日現在キャンペーンを一時停止中。9月12日に再開の予定)、広島県(県民割終了)、沖縄県(沖縄県民のみ対象)の4都府県です。その他の道府県は隣県や同一地域ブロックの居住者を対象としています。
また、奈良県は全国の都道府県の住民を対象としています(近畿ブロック以外の人でも県民割が利用できる)。
県民割に関する情報は各都道府県ごとに更新されているので、旅行計画を立てるときは事前にチェックしておくことがおすすめです。
県民割終了後は全国旅行支援がスタート
コロナ感染者数の増大で延期となっていた全国旅行支援。県民割の全国拡大版といえるこちらのキャンペーンは10月11日から開始される予定です。
割引率は最大40%と県民割より低い設定ですが、割引上限額は最大8,000円と多め。クーポンは平日3,000円、休日1,000円の予定となっています(平日利用なら県民割の2,000円よりお得)。
県民割との大きな違いは、対象が全国であること(ただし、もし実施を希望しない県が現れた場合は対象外とされる)。また県民割が宿泊代や日帰り利用を対象としていたのに対し、往復の交通などを含むツアーなどで利用できる点です。割引上限額の8,000円はこうしたツアー利用時などにおける交通費を含む割引額で、宿泊のみの場合は県民割と同じ5,000円が割引上限額となります。
全国旅行支援はまだ実施されていません(2024年9月10日現在)が、旅行会社によってはそれを見越したツアー募集などを行なっています。
全国旅行支援でも、新型コロナワクチンの接種証明(3回分)が必要となります。もし接種に対して問題や障害がなく、3回目がまだという人がいたら、早めに接種を済ませておきましょう。
文・中野渡淳一
文筆業者。著書に『怪しいガイドブック~トラベルライター世界あちこち沈没記』『漫画家誕生 169人の漫画道』。この他「仲野ワタリ」名義で『海の上の美容室』「猫の神さま」シリーズ等小説作品多数。『moneyscience』では生活者目線で最新トレンドの記事を中心に執筆。