就職先、転職先を決める際に気になるデータのひとつ「ボーナス」。日本経済新聞発表による2024年夏のボーナス調査では、全産業平均支給額が前年比約10%増、約85万円となっています。本記事では、「賞与額が高い」と評判のトヨタ自動車のボーナスや年収、給与形態について解説します。
2024年トヨタ自動車のボーナスは「6.9ヵ月分」!
自動車業界の中でも高水準と言われているトヨタ自動車のボーナス。2024年は年間6ヵ月でしたが、2024年には0.9ヵ月上乗せの6.9ヵ月に決定しています。
ボーナスの支給は、7月、12月の年2回です。
トヨタ自動車の公式サイトに掲載されている「有価証券報告書(2024年3月・第118期)」によりますと、従業員の平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与は次の通りです。
- 従業員数:70,710人
- 平均年齢:40.4歳
- 平均勤続年数:16.4年
- 平均年間給与:8,571,245円
連結会社の従業員数は、372,817人。平均臨時雇用人員は、87,120人です。連結会社の平均年収、ボーナスは、会社により異なります。
ちなみに2024年3月31日時点で、子会社は559社、関連会社および共同支配企業は169社あります。この数字だけでも、どれだけトヨタ自動車が巨大企業なのかがよくわかりますね。
厚生労働省発表の「令和2年賃金構造基本統計調査」によりますと、自動車業界(輸送用機械器具製造業)の平均年収は、約557万円です。1年前のデータではあるものの、トヨタ自動車は平均よりも300万円ほど高い年収であることがわかります。
トヨタ自動車の年収はなぜ高い?
有価証券報告書を参考に、トヨタ自動車の平均年収の推移を表に記載しました。
2018年 | 2019年 | 2020年 | 2024年 | 2024年 |
852万円 | 831万円 | 851万円 | 858万円 | 857万円 |
2019年のみ約20万円下がっていますが、基本的に850万円台をキープしています。業績と賞与は連動しているため、年収の変動は賞与に大きく左右されると言えるでしょう。
トヨタ自動車の年収が高い理由は、ボーナスの水準の高さと手厚い福利厚生です。もちろん、ボーナスは業績により変動するため一定ではありません。そのため「計画が立てにくい」といった口コミもあります。しかしその一方、2024年も過去最高水準とは言えないまでも、約7ヵ月分もの賞与が支給されているため、概ね満足との声が高いことも事実です。
さらに福利厚生についても、トヨタは日本トップレベルだと明言しています。
トヨタの福利厚生の一部を確認しておきましょう。
- 社員寮・社宅
- 保養所利用サービス
- 社内積立制度
- 従業員持株会制度
- 結婚祝い金
- 通勤費補助
- 事業所内託児施設
- 社内販売制度(トヨタ車の一部)
社員寮や社宅を利用すれば、住宅費を抑えることが可能です。事業所内に託児施設があれば、結婚・出産後、女性が仕事を辞めずに働くことができます。平均年収の高さだけでなく、手厚い福利厚生を活用できることが社員満足度を高めている大きな理由と言えるでしょう。
トヨタ自動車の新卒給与は?年齢別の年収は?
トヨタ自動車の初任給は、職種と学歴により異なります。職種は、大きく「事務職」「技術職」「業務職」「生産関連職」に分かれます。生産関連職は、高卒のみの採用となるため、ここでは割愛します。
事務職・技術職(総合職)
月給 | |
学部卒業相当 | 20万8000円 |
修士修了相当 | 23万円 |
博士修了相当 | 26万4000円 |
高専卒業 | 18万1000円 |
専攻科卒業 | 20万8000円 |
職種による初任給の違いはなく、学歴別に同一賃金が適用されています。
業務職(一般職)
月給 | |
大学卒業 | 18万6,000円 |
短期大学・専門学校(2年制)卒業 | 16万6,000円 |
では、年齢別の平均年収はどうでしょうか。
もちろん個人差はありますが、20代では約530万、30代では約730万、40代では約910万、50代では約1080万円と推測できます。
また、資格別の年収目安は、担当事技職(約500万円〜)、指導職(約700万円〜)、主任職(約900万円〜)、基幹職(約1300万円〜)、幹部職(約1600万円~)です。
トヨタ自動車は年功序列の色が強いといった声があるものの、基本的に実力主義です。中途採用だから出世に不利といったこともないでしょう。ただ、出世を目指すのであれば、30代半ばには管理職のポストに就いておく必要があります。
ちなみにトヨタ自動車の基本給の考え方は、2024年より変更されています。以前は職位ごとの一律「職能基準給」と、個々の評価により決定される「職能個人給」の2種類から成り立っていました。しかし、2024年より「職能基準級」を撤廃。
能力の高い人物が昇格できるスピードが高まる一方、「昇給ゼロ」と判断される可能性も生まれています。「トヨタに入社したから、生涯安心だ」と安易に考えず、求められる以上のパフォーマンスを発揮する必要があるでしょう。
トヨタ自動車は働きやすい会社?残業は多い?
厚生労働省発表の「女性の活躍推進企業データベース」に記載されている、トヨタ自動車の男女別継続勤続年数は、男性が18.7年、女性が14.4年です。男女の差は、4.3年です。
また、トヨタの有給休暇取得率は、93.4%です。令和2年、厚生労働省実施の「就労条件総合調査」の労働者全体の有給休暇取得率は、平均56.3%ですから、トヨタ自動車の有給取得率は、平均に比べ大幅に高いことがわかります。また、法定を超える水準となる最大60日(3年分)の有給休暇の保有・取得が可能となっています。
さらに、対象となる正社員の残業時間(ひと月あたり)は、19.7時間でした。過剰に多いわけではないものの、特別に少ないとも言い難い数字です。ただ、フレックス勤務制度や終日在宅制度なども取り入れ、長時間労働を減らす方向へと進めていることは間違いありません。
トヨタのボーナスに関するよくある質問&まとめ
Q.トヨタのボーナスは、何ヶ月分?2024年は?
A.2024年の賞与は6.9ヵ月支給されることが決定しています。自動車業界の中でも、ボーナス(年間一時金)の額は、かなり高いレベルにあると言えます。
Q.トヨタ自動車のボーナス月は?
A.トヨタ自動車のボーナス月は、7月と12月です。
日産自動車や本田技研工業、スズキ、三菱事業者工業、SUBARU、マツダといった他の自動車関連メーカーと比べても、トヨタ自動車のボーナスや平均年収は、かなり高水準です。
2024年3月期の決算では、売上・利益も過去最高となったことを発表しています。こういった状況が、高水準のボーナス、年収につながっていると言えるでしょう。
ただ、新型コロナウイルス感染拡大の影響やウクライナ・ロシアの情勢、原材料の高騰など、解決の見通しが見えない問題も多数存在している点には注意が必要です。トヨタ自動車に限った問題ではありませんが、こういった状況は、2024年のボーナス、年収に影響を及ぼす可能性があります。
文・柚月朋子
フリーランスとしての経験やポイント投資からスタートした経験を活かし、年間200本以上の記事を執筆・監修。投資初心者にわかりやすい記事執筆が目標。