2024年10月11日から少額送金サービス「ことら送金」のサービスが開始されました。個人の利用者はこのサービスを使ってなにができるのでしょう。さっそく試してみました。
「ことら送金」とは何か?

「ことら送金」は10万円以下の個人間送金を、これまでの銀行振込などにかわって、アプリから送ることができる新スタイルの送金サービスです。
特徴は3つ。
- 相手の携帯番号がわかれば簡単に送れる(口座番号を知らなくても大丈夫)
- 銀行振込に比べて便利でお得(手数料が0円もしくは安い)
- 相手のアプリが何であるか気にせずに送金できる
具体的は送金や受け取りは、BankPayやJ-Coin Payなどの「ことら送金」に対応しているアプリを介してやりとり。送金手数料は提携しているアプリの事業会社によって異なりますが、無料もしくは従来の振込手数料よりも安い料金が設定されています。
10月11日現在で「ことら送金」に対応しているアプリは以下となります。
- ウォレットプラス
- こいPay
- J-Coin Pay
- はまPay
- BankPay
- YOKA!Pay(熊本銀行)
- YOKA!Pay(十八親和銀行)
- YOKA!Pay(福岡銀行)
すでにこれらのアプリをスマホにダウンロードしている人は、アプリを開いてみてください。メニューのどこかに「ことら送金」の表示があるはずです。
日常のお金のやりとりにとても便利

「ことら送金」はどんな場面で使えるでしょう。想定されているのはこんな場面です。
①別口座に振替するとき
例えば、給与振込に使っている銀行の口座から自分が持っている他の銀行も口座にお金を移したいときなど、ATMに行かずにお金を移動させることができる。
②プレゼントなどを共同購入したとき
仲間みんなでお世話になった人にプレゼントを購入。プレゼントを買った係の人に「ことら送金」で自分が出す分のお金を渡す。
③友だちと割り勘するとき
グループ旅行などで誰かが代金を立て替えてくれたとき、「ことら送金」で自分の分のお金を渡す。
④お使いや買い出し費用の支払いのとき
仲間同士のバーベキューなどで誰かが買い出しに行ってくれたとき、手元に小銭がなくても「ことら送金」ならばその場で1円単位まで細かく送ることができる。
⑤夫婦や親子間で送金するとき
いつもはママのお財布から出している子供の習い事などの月謝。今月はたまたまパパが払いました。ママのお財布に現金がなかったので「ことら送金」でパパの口座に送金。
他にも10万円以下の少額送金ならばさまざまな場面で活用が可能。手数料はもちろん、時間や労力の節約になる「ことら送金」は忙しい毎日の強い味方になってくれそうです。
便利な「ことら送金」。使い方はすごく簡単!

「ことら送金」の使い方はとても簡単です。
①「ことら送金」が使えるアプリをスマホにダウンロード。すでに持っている人はログインする。
②受け取り口座と携帯番号を紐付け登録する(口座番号を指定して受け取る場合は登録しなくても=受け取る側がアプリをダウンロードしていなくても利用が可能)。
③「ことら」のユーザー同士で送金(金額を記入してタップするだけ)。一瞬で送金完了!
2024年10月11日現在、「ことら送金」が利用できる銀行は上記のアプリが使用できる以下の銀行となっています(五十音順)。
- 足利銀行
- 関西みらい銀行
- 熊本銀行
- 埼玉りそな銀行
- 佐賀銀行
- 山陰合同銀行
- 十八親和銀行
- 十六銀行
- 常陽銀行
- 南都銀行
- 百五銀行
- 広島銀行
- 福岡銀行
- みずほ銀行
- 三井住友銀行
- 三菱UFJ銀行
- みなと銀行
- 山梨中央銀行
- 横浜銀行
- りそな銀行
この他、2024年10月11日現在、以下の銀行が今後のサービス開始を予定しています。
- 伊予銀行
- 愛媛銀行
- 北九州銀行
- 京都銀行
- きらぼし銀行
- 群馬銀行
- あおぞらネット銀行
- 静岡銀行
- 七十七銀行
- 千葉銀行
- 徳島大正銀行
- 西日本シティ銀行
- 北陸銀行
- 北海道銀行
- もみじ銀行
- 山口銀行
続々と増えつつある金融機関。すでにみずほ銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行などのメガバンクで利用可能とあって、爆発的な普及が期待されています。
まずは試しに自分の口座に送金

この種のアプリのサービスは、最初は面倒に感じても一度使ってしまえばすぐに仕組みが理解できるものです。
おすすめは、試しに自分の口座から自分の口座に送金してみること。もし上記のすでに利用が可能な銀行の口座を複数持っているのなら、一度使ってみるのがおすすめです。
筆者の場合は、はまpayを利用して横浜銀行の自分の口座から、三菱UFJ銀行の自分名義の口座へと100円送金してみました。
自分の口座ということもあって、送金先には携帯番号ではなく口座番号を指定(この場合はBankPayで携帯番号と口座の紐付けをしていなくても可能。筆者はそもそもこの時点でBankPayを自分のスマホにダウンロードもしていませんでした)。
結果は成功! あっという間に100円を横浜銀行の口座から三菱UFJ銀行の口座へと移すことができました。
気になる手数料はというと「無料」。0円です。なにかと手数料がかかるこの時代、0円の手数料はたいへん魅力的です。
はっきり言って、これは相当便利です。この先、どんどん使える銀行が増えることを期待したいところです。
どうして0円の手数料で利用が可能なのか? その秘密はシステムにあります。
「ことら送金」が利用しているのは「J-Debit」です。日本電子決済推進機構(JEPPO)が運営しているこのシステムは。既存のシステムとしてデビットカードで広く利用されています。
J-Debitは構築や運営にかかるコストが銀行間の送金などに使われている「全銀システム」に比べて非常に低く、そのため事業者(金融機関)が利用者に対して安くサービスを提供できるというメリットがあります。「ことら送金」もまたこのシステムを利用することで破格といえる利用料の設定が可能となったのです。
「ことら(COTRA)」というかわいい感じのする名前は、「小口トランスファー」を略したもの。キャッシュレスの時代、またひとつ便利なサービスが誕生したことを歓迎したいと思います。
ことら送金について詳しくはこちら。
文・中野渡淳一
文筆業者。著書に『怪しいガイドブック~トラベルライター世界あちこち沈没記』『漫画家誕生 169人の漫画道』。この他「仲野ワタリ」名義で『海の上の美容室』「猫の神さま」シリーズ等小説作品多数。『moneyscience』では生活者目線で最新トレンドの記事を中心に執筆。