「じゃらん」「ホットペッパー」「受験サプリ(スタディサプリ)」「ゼクシィ」「Airレジ」「Airペイ」など、誰もが一度は聞いたことのある事業を展開しているリクルート。単なるサービス提供だけでなく、テクノロジーとデータの活用による、企業と顧客とのマッチング等に力を入れている会社です。
本記事では、そんなリクルート従業員のボーナスや平均年収、新卒初任給や福利厚生、働き方など「仕事」「お金」にまつわる内容について紹介します。
リクルートの平均年収は997万円!コロナの影響は?
株式会社リクルートホールディングス発表の有価証券報告書(2024年3月・第62期)によりますと、平均年間給与は9,976,816円、平均年齢は38.9歳です。従業員数は136人、平均勤続年数8.34年とのデータがあります。
連結会社の従業員数は、51,757人であり、その内訳はHRテクノロジー13,161人、メディア&ソリューション21,526人、人材派遣16,934人となっています。もう少し具体的な例を挙げると、HRテクノロジーはRGF OHR USA,INC、メディア&ソリューションは、株式会社リクルート、人材派遣はRGF Staffing B.V.の管轄です。
東京商工リサーチの調査による2024年度上場企業(3213社)の平均年収は605万円のため、リクルートの年収はかなり高額な部類に入ると言えるでしょう。
ここで気になるのは、コロナの影響の有無です。
2024年3月期連結決算では、リクルートホールディングスの売上高は2兆2693億4600万円(前期比5.4%減)、当期利益は1313億9300万円前期比27.0%減)と、大きく落ち込みました。
しかし、2024年3月期連結決算の売上高は2兆8717億円(前期比26.5%増)、純利益2968億円と、かなり好調です。この理由として、海外での求人・人材採用の需要の高まりが挙げられます。まだ先行きが不透明な部分はあるものの、かなり持ち直してきたと言えるでしょう。
ボーナスに関しては3〜4ヶ月分との口コミが多いものの、会社の業績により左右される面もあります。また、リクルートホールディングスと子会社では、条件も異なるため、転職の際には注意が必要です。
リクルートの新しい働き方「SE社員」とは
2024年度より、リクルートでは地域・職種限定正社員「SE社員」という働き方を導入しています。SE社員とは、Specific社員の略。ちなみにこれまでの働き方である総合正社員はGE社員です。
GE社員 | SE社員 | |
期間の定め | なし | なし |
地域限定 | なし | あり |
職種限定 | なし | あり |
職種と地域(勤務地/ブロック)が決められているため、決められた地域・職種で働きたい人向けです。
ただ、勤務地はあくまでブロック割です。次の10ブロックに分けているため、ブロック内での転勤の可能性がある点に注意が必要です。(例/岡山→高知、宮城→青森など)
- 北海道
- 東北
- 北関東
- 首都圏
- 甲信越
- 東海
- 関西
- 北陸
- 中四国
- 九州
また、職種限定の意味は「顧客接点職」です。いわゆる営業職であり、配属可能性のある事業は2024年9月時点で次の通りです。スタッフなどの仕事に就きたい場合は、GE社員を志望する必要があります。
- リクナビ
- リクナビNEXT
- リクルートエージェント
- じゃらん
- SUUMO
- ゼクシィ
- カーセンサー
- スタディサプリ
- ホットペッパー
- ホットペッパービューティー
- Airレジ
また職種限定とはいうものの、事業間での異動の可能性もある(例/じゃらん→ゼクシィなど)ことも、理解しておきましょう。給与の面においては、GE社員よりもやや低く設定されているものの「自分の好きな地域で働きたい」「好きな仕事をし続けたい」といった思いがある人にとっては、理想的な働き方と言えるでしょう。
リクルートのSE社員の年収・ボーナス
リクルートのSE社員の年収やボーナスに関しては、公式の記載がありません。ただ、求人情報を見ると、大阪や首都圏のタウンワーク・リクナビNEXTのクライアントサクセスSE社員の想定年収は、400万~421万円と書かれています。
これらがスタート時点での年収であり、インセンティブによりプラスされていくイメージを描いておくと良いでしょう。
リクルートのSE社員も年に2回(6月・12月)の賞与が支給されます。査定により決まるため、個人差が大きく、目立った業績を上げた場合には1回100万円程度が支給されることも珍しくないようです。
リクルート新卒の初任給は?福利厚生は?
リクルートの新卒採用初任給は、職種により異なります。
例えば、ビジネス総合職/IT総合職の場合、月給:32万6551円(基準給:25万2813円+グレード手当:7万3738円)です。また、特定のプロフェッショナルを目指すエキスパート(エンジニア/データスペシャリスト/デザイン/ファイナンス)の場合、月給:32万6551円〜(基準給:25万2813円+グレード手当:7万3738円)となっています。
グレード手当とは、1ヵ月あたりの超過勤務手当(35時間相当分)を意味します。最初から含まれいるため、実際の残業時間が35時間よりも少なくても、月給が減額されることはありません。また、気になる入社1年目のボーナスに関しては、入社から半年後の1回目のみとなっています。
リクルートの福利厚生
大企業であるリクルートの福利厚生は、次の通りです。
- 社会保険完備(健康保険、厚生年金、雇用保険、労働災害補償保険(労災))
- 慶弔休暇
- 産前・産後休暇
- 育児休暇
- 介護休暇
- アニバーサリー休暇
- STEP休暇
- 部活動
- 定期健康診断
- 過重労働面談
- リフレッシュ(マッサージ
- 社員持株制度
- 退職金制度
- 提携保育園
- 保活相談窓口「保活のミカタ」ベビーシッター法人契約
- 病児保育サポート
STEP休暇とは、在籍3年以上の従業員が取得できる最大連続28日間の有給休暇制度です。ここまで長期的な休暇が取得できる企業は珍しいですね。また、一度取得しても、また3年経てば、新たにSTEP休暇を利用することが可能となります。
ただ、2024年4月に福利厚生は改悪されたとの声も。例えば、2024年4月以降に入社した社員の退職金は、一律最大100万円。以前はSTEP休暇取得時に30万円が支給されていたものの、この制度も廃止に。また、社宅や住宅手当の支給は元々ありません。
長く勤めている人ほど、改悪を肌で感じている模様です。とはいうものの、リクルートの場合、年収自体が高いため、口コミからも不満に感じている人は少ない印象です。
また、働き方改革が進む中で、福利厚生も変化しています。例えば、これまでは通勤費は1ヶ月分の定期代支給でしたが、出社分の実費支給(1日の上限5,000円)が基本となりました。これもリモートワーク(在宅勤務)が基本となったリクルートならではと言えるでしょう。
リクルートの新卒離職率は高い?
2020年度の株式会社リクルートの新卒採用者は473人、離職者は13人のため、離職率は2.8%です。2019年度の離職率11.9%、2018年度の離職率19.6%でした。厚生労働省発表の「令和2年度における新規学卒就職者の離職率」は、新規大卒31.2%のため、リクルートの離職率はかなり低い数字と言えるでしょう。
ただ、平均勤続年数は6.2年、平均年齢33.6歳(どちらも2024年3月31日時点)とのデータもあるため、定年まで勤め上げる人が多いといったイメージは少ないでしょう。
リクルートの今後はどうなる?将来は安泰?
入社した会社が吸収合併、統合といった自体になると、自分の将来についても不安に感じる方がいることでしょう。ちなみに2024年4月には「株式会社リクルート」に次の7社が統合されています。グループ会社ではあるものの、組織の再編が理由です。
- 株式会社リクルートキャリア
- 株式会社リクルートジョブズ
- 株式会社リクルート住まいカンパニー
- 株式会社リクルートマーケティングパートナーズ
- 株式会社リクルートライフスタイル
- 株式会社リクルートコミュニケーションズ
- 株式会社リクルートテクノロジーズ
この組織再編により、従業員の働き方も大きく改革されました。一部を除き、全社にリモートワークを導入したことや、年間所定労働時間や給与はそのままで休日を増やす年間平均週休3日制度もそのひとつです。
働き方改革を進めるだけでなく、利益を生み出し続けている点にも注目です。特に利益を生み出しているのは、HRテクノロジー事業です。2018年3月期と比べると、2024年3月期の収益は約4倍もの8,614億円となっています。この流れは、今後も強まることでしょう。
そもそもリクルートは、これまでも海外企業のM&Aを積極的に進めてきました。テレビCMやネットCMでもお馴染みの「Indeed」も、もとをたどれば2004年に設立したアメリカの会社です。2012年にリクルートが買収し、今や就職・転職活動において、高い認知度を誇るようになりました。
もちろん、リクルートがこのままずっと安泰でい続けるかどうかは誰にもわかりません。有価証券報告書にも記載されているように、気候変動のリスクは、常につきまといます。カーボンニュートラル実現に向けたカーボンクレジット価格の⾼騰、木材や輸送費の高騰などによる影響も否定できません。
テクノロジーの進化等により急速に変化する事業環境に素早く対応する、グローバル市場におけるニーズやビジネス機会をいち早く捉え、迅速な意思決定を行う等の経営戦略に基づき進化し続ける限り、未来は明るいと言えそうです。転職、就職について悩んでいる方は、こういったデータもぜひ参考にしてみてください。
リクルートのボーナス・働き方に関するよくある質問
Q.リクルートはなぜ年収が高いのでしょう?
A.理由のひとつは、利益率の高さです。リクルートのグループ力、総合力、ブランド力などから、業界内で高いシェアを誇っているため、従業員に還元できると考えられます。
Q.リクルートの給与制度は?
A.リクルートでは「ミッショングレード制」を導入しています。業務・職務に等級をつけた上で、給与が決まる仕組みです。
Q.リクルートスタッフィングの就職難易度は?
A.人材派遣業界の中では、難易度は高めです。平均年収も600〜620万円程度と、業界の中でも高めなことから求められるスキルも高いです。リクルートグループ全体に言えることですが、面接がかなり重視されます。
Q.リクルートに転職は、難しいですか?
A.転職の応募要件自体は高くないため、書類審査自体は通りやすいといった声があります。その一方、スキルだけでなく人間性なども深掘りされるため、安易な考えでは転職は難しいでしょう。入念な準備が必要です。
文・柚月朋子
フリーランスとしての経験やポイント投資からスタートした経験を活かし、年間200本以上の記事を執筆・監修。投資初心者にわかりやすい記事執筆が目標。