3分で読める

利用するなら早いうちがおすすめ。「全国旅行支援」が再開しています

2024年1月10日(火)から「全国旅行支援」が再開されました。前回(昨年)と比べて割引率や地域クーポンの額が下がってしまいましたが、それでもお得に旅行をするチャンスに変わりはありません。利用するなら早めに動くのがおすすめ。冬の旅を満喫しましょう。

「全国旅行支援」でどれだけ旅が安くなる?

国が予算を設定し、各都道府県が実施する「全国旅行支援」。昨年実施されていた県民割(ブロック割)と違って全国どこでも利用できるため、遠方への旅行に利用した人も多いはずです。

今回の「全国旅行支援」は1月10日(火)からスタート。すでに予約を済ませたという人もいることでしょう。

今回の「全国旅行支援」では割引率が20%、割引き上限額が宿泊(1人1泊)、日帰りの場合は最大3,000円、宿泊施設に加えて、新幹線や飛行機、在来線、バスなどの交通機関も含めた交通付旅行商品が最大5,000円となっています。

ちょっと残念なのは、割引率が40%から20%に減ってしまった点。あわせてもらえる地域クーポンも、休日1,000円は変わらないものの、平日3,000円だったのが2,000円に減ってしまいました。

これにともない。割引上限額も1泊あたり5,000円から3,000円に、交通付旅行商品は8,000円から5,000円に、日帰り旅は5,000円から3,000円に変更となりました。

また紙などで発行されていた地域クーポンは原則として電子化クーポンに変更となりました。前回の「全国旅行支援」では宿泊施設にチェックインした際に紙のクーポンを受け取っていたものが、今回はORコードのついた紙が手渡され、regionPay(リージョンペイ)というスマホアプリに付与されるというシステムになっています(一部の都道府県では別方式を採用)。

スマホを持っていない場合はQRコードを直接店舗などで読み取ってもらうことで利用ができますが、対応していない店舗もあるということなので、できればアプリが使える状態で出かけたいところです。

実際、どれだけお得になるのか、一例を挙げてみましょう。

単純に、いちばんお得感が強いのは平日に割引上限額を最大に、割引率も20%になるような旅行をした場合です。

例えば、平日に1泊2日で旅行費用2万5,000円の交通付旅行商品を利用した場合。

25,000×20%=5,000円(割引上限額)で、旅行代金は5,000円引きの2万円。平日だから地域クーポン券は2,000円。合計7,000円が付与されることになります。

宿泊のみなら、1泊1万5,000円の宿泊施設に泊まれば割引上限額の3,000円が適用されます。宿泊代金は1万2,000円となり、地域クーポン券2,000円もつきます。前回に比べると割引率、割引額ともに下がったものの、宿泊施設によっては冬のシーズンオフの間はもともとの宿泊費が安くなっていたりもするので、安く旅をするという観点から見れば、まだまだお得だといえます。

「全国旅行支援」が使える期間はいつまで? 

今回の「全国旅行支援」では大半の自治体が3月31日を期限としています。ただし、予算(2,700億円を47都道府県に分配)に限りがあるため、予算上限に達した自治体ではそれ以前に終了となることがあります。逆に3月31日時点で予算が残っている自治体では4月以降も実施される可能性があります。いずれにせよ、予約は早めに取った方がよさそうです。

なお「全国旅行支援」が利用できるのは1月10日以降の宿泊予約です。「全国旅行支援再開が発表される前に予約を取っていた」という人は、もし「全国旅行支援」を利用したいのであれば、いったん予約をキャンセルして新たに予約し直す必要があります。

その他、注意したいのは、必ずしもすべての宿泊施設で利用できるとは限らないという点です。

ホテルや旅館の中にはフロント業務や事務処理の煩雑さなどを理由に参加していない施設もあります。例えば青森県では、前回は263の宿泊施設が参加していましたが、今回はそれよりも40少ない223施設の参加となっています。ただし、そうした宿の中には独自のおクーポン券を配布するなど、宿泊客に対するサービスの向上に努めている施設もあります。
泊まりたいホテルや旅館などがある場合は、予約の前に一度ホームページなどで参加か不参加か、利用できる割引サービスやクーポン券はないか調べておくといいでしょう。

見逃せない、自治体独自の地域クーポン

割引率の半減に、正直、旅行への意欲が小さくなってしまった……。そんな人もいるかもしれません。しかし、あきらめるのはまだ早いです。

実は多くの自治体では、割引率の半減や割引上限額の減額に対応して、「全国旅行支援」の割引や地域クーポンとは別に、地域独自の割引クーポンやサービスを提供しています。

例えば、東京都民の場合は、東京都が実施している「もっと楽しもう!TokyoTokyo(もっとTokyo)」を「全国旅行支援(「ただいま東京プラス」)」と併用して利用が可能です。「もっとTOKYO」はそれ単体でも宿泊代金が1人1泊5,000円割引。都民ならぜひ利用したいところです。

他に茨城県、埼玉県、千葉県などの首都圏の各県でも全国からの旅行者を対象に2,000円の観光体験チケットや飲食クーポン、地域限定クーポンなどを配布しています。「全国旅行支援」の地域クーポンと合わせれば、平日4,000円、休日でも3,000円のクーポンが利用できることとなります。

こうした地域クーポンは富山県、滋賀県、大阪府、三重県、長野県、奈良県、島根県、広島県、徳島県などでも発行されています。金額は1,000~5,000円。発行条件やクーポンの対象にはそれぞれの自治体で違いがあるので各自治体のホームページなどで確認してください。

一例を挙げると、奈良県では昨年から実施して好評の「いまなら。キャンペーン2022プラス」を現在も継続して展開中。このキャンペーンでは「全国旅行支援」における割引率・クーポン額などに奈良県独自の上乗せを行なっています。これを利用すると、宿泊や日帰り旅行の場合は最大5,000円、交通付旅行商品は最大8,000円の割引が受けられます。他に地域クーポンを平日最大3,000円、休日最大2,000円分発行(奈良県民は3,000円)。利用期間は2024年2月28日(火)までとなっています。

「全国旅行支援」以上の割引が受けられる自治体独自のキャンペーン。旅行先で迷ったら、こうしたキャンペーンの有無を確認したり、比較して選ぶといいかもしれません。

忘れてはならないのは感染症対策。「全国旅行支援」を利用するには、新型コロナウイルス感染症のワクチンを3回以上接種していることが条件となります。まだ、という人はまず予防接種を受けておきましょう。

人気のある旅行先(自治体)は早めに終了してしまうかもしれない「全国旅行支援」。予約は急いだ方が無難と言えそうです。

文・中野渡淳一

文筆業者。著書に『怪しいガイドブック~トラベルライター世界あちこち沈没記』『漫画家誕生 169人の漫画道』。この他「仲野ワタリ」名義で『海の上の美容室』「猫の神さま」シリーズ等小説作品多数。『moneyscience』では生活者目線で最新トレンドの記事を中心に執筆。