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会社員こそ株式投資を始めるべき!副業?確定申告は必要?の疑問に回答

会社員としての収入だけでは不安。株式などで投資をしたいと考えている方も多いことでしょう。本記事ではサラリーマンにとって株式投資がおすすめの理由と適切な運用スタイル、副業に当てはまるか、確定申告は必要かなど具体的な内容を解説します。

会社員に株式投資がおすすめの3つの理由

会社員は、株式投資にチャレンジすべきだといえます。まずはその理由について解説します。

スマホさえあれば投資ができる

株式投資と聞くと「常にパソコンと向き合い続ける」「多額の資金が必要」「特別な情報をもつ一部の人だけが利益を出せる」とイメージする方がいるかもしれません。もちろん、こういった投資スタイルがあることも事実です。

しかし、実際には投資をしている人の割合は年々増加しており、投資は特別な人だけのものではなくなりました。

特にサラリーマン投資家と呼ばれる人たちは、スマホを使い、通勤時間や昼休みなどのスキマ時間だけを使って投資を行っているケースも多いです。

今後賃金上昇はあまり期待できない

会社員にとって収入の要となるのが給料です。しかし、ここ20年、労働者賃金はほとんど変化していません。

下記は、2001年と2020年の一般労働者の賃金を比較した表です。女性の賃金はわずかに上昇しているものの、男性に限れば1,300円の下落です。

今後も、急激な賃金上昇を見込むことは難しく、会社員が憧れる「億り人」になることも困難です。

一般労働者の賃金:厚生労働省

 男性女性男女計
2001340,700円222,400円305,800円
2020338,000円251,800円307,000円

副業禁止の会社員も基本的に「投資」は可能

社員の副業を認める会社も徐々に増えつつありますが、それでも副業禁止の会社は少なくありません。

厳密には「副業」に対する定義はないため、個々の会社の就業規則により判断されますが、株式投資は「資産運用」であり、本業に支障をきたさない場合は問題ないとみなされるケースが多いです。

ただし、下記のような場合は就業規則違反などに問われる可能性があるため、注意が必要です。

  • 就業時間中に会社のパソコンや自分のスマホで頻繁に取引を行う
  • 業務中に得た機密情報を投資に利用する(※インサイダー取引)
  • 深夜早朝に取引を行うことにより、本業に支障をきたす

会社員向きの「小型株集中投資」とは?

小型株とは「時価総額」「流動性」が低い銘柄のことをいいます。

東京証券取引所では、東証一部の銘柄をランキング(時価総額の大きさと流動性の高さ)しています。株は次の3グループに分けることができます。

  • 上位100銘柄:大型株
  • 上位400銘柄:中型株
  • それ以外:小型株

小型株のメリット

小型株のメリットは、主に次の3点です。

  1. 10万円までの少額運用が可能
  2. 株価の大幅な値上がりの可能性がある
  3. 個人投資家向け

小型株は、いわゆるプロの投資家、大口投資家である機関投資家が大量に買うケースが少ないため、個人投資家やサラリーマン投資家が参入しやすいです。

大型株・中型株と比べると、株価も低いため少ない資金でも始められます。また、現段階では事業規模が小さい会社が多いため、将来大化けする可能性を秘めています。

小型株のデメリット

小型株にもデメリットがあります。

  1. 流動性リスクがある
  2. 小規模な会社が多いため、業績悪化による株価下落リスクが高い
  3. 取引株数の影響を受けやすい

小規模株に起こりやすい流動性リスクとは、市場に需要・供給がなく、適正な価格で売買できない可能性のことです。早く売却したいにも関わらず、希望価格では売れない、かなり下げた価格で仕方なく売却といったケースが考えられます。

また、小型株に限った話ではないものの、小規模の会社や新規事業の会社が多いため、大型株を有する会社に比べると、倒産や業績悪化リスクがあります。

時価総額が安い分、突然投資家から大量注文が入ったり、大量売却が行われたりすると、大幅な価格の上昇・下落が起こるため、値動きが予測しにくい点もデメリットのひとつです。

小型集中投資を成功させるために知っておきたいポイント

会社員が小型集中投資を成功させるために、あらかじめ知っておきたいポイントをまとめました。

1.無料のスクリーニング(ふるい分け)ツールを活用

小型株は種類も多く、ひとつずつ確認するには時間も手間もかかります。証券会社に口座開設をしていれば、無料で利用できるスクリーングツールが役立ちます。

下記はスクリーング可能な内容の例です。

内容
小型株時価総額501位以下
PER割安性(株価+純利益)
POE収益性(純利益÷自己資本)
自己資本比率財務健全性
過去3年平均売上高成長率会社の成長性

2.「投資しない」判断も重要

株式投資は、買う・売るの二択ではありません。見送る(投資しない)判断も必要です。

「上がるパターン」「下がるパターン」は、経験則で知っていくしかありません。しかし、できることなら最短で利益を出し、損失はできるだけ出したくないと思うのが通常の考え方です。

自分の中で「この条件なら買う」「これ以外の条件なら投資を見送る」といったルールをつくっていきましょう。

例えば、下記条件は投資に踏み切るひとつの条件です。

  • 利益倍増に向けたポテンシャルの高さ
  • 商品やサービスのニーズの高さ
  • 継続的な上昇トレンド

会社の業績が高くなれば、必然的に株価も値上がりします。そのためには、その会社の商品やサービスが多くの人に受け入れられる必要があります。

また、理想は株価上昇の一歩手前で購入することですから、売買成立株数が増えつつあり、かつ株価が上昇しているタイミングは「買い」の条件だといえます。

3.投資信託を使う

「スクリーングする時間を省きたい」「自分で選ぶのは手間」と感じる方には、小型株でまとめられている投資信託を選ぶ方法があります。

投資信託の場合、運用のプロであるファンドマネージャーが、運用商品を取引してくれます。そのため、選ぶのは運用方針や商品だけです。

投資信託についてさらに詳しく知りたい方は、下記ページをご覧ください。

サラリーマン投資が失敗する原因とは?

会社員が株式投資をする場合、周囲にバレないようにと独学で勉強し始めるケースが多いです。具体的な失敗例を参考に、同じ失敗をしないためにお役立てください。

損切りが遅く利益確定が早い

投資初心者の多くは、損切りのタイミングを見誤ってしまいます。「そのうち値上がりする」「大丈夫」などと根拠のない自信から保有株を塩漬けしてしまう一方、少しでも利益が出たら「早く売って利益を確定させよう」と焦ってしまう。

これでは資産運用とは言えません。もちろん、誰だって損をしたくないのは同じです。しかし、株価は変動することが当たり前だと割り切る気持ちが必要です。多少の値動きに一喜一憂しないことが、資産を増やすための近道です。

信用取引を始めてしまう

最大、預けた担保の評価額の約3.3倍まで株式の取引ができる方法として「信用取引」があります。
「初心者は信用取引NG」と言われる理由について説明します。

自己資金100万円を例に、現物取引・信用取引の2パターンの例をまとめました。

取引運用条件株価が半額になった場合の損失額残りの資産残った負債
現物取引100万円損失50万円資産50万円負債0円
信用取引保証金:100万円

300万円

損失150万円資産0円負債50万円

現物取引の場合、負債は発生しません。しかし、信用取引の場合、株価の下落により、自己資金以上の負債が残る可能性があります。

株価が上がれば、資産を増やすことができる点はメリットですが、初心者が投資を始める段階では手を出さない方が無難です。

株式投資の成功には、心のゆとりが重要だとお伝えしました。負債を抱えてしまえば、そのことが気になり本業に身が入らなくなる可能性もあります。
投資資金は、生活費以外の余裕のある分から捻出するようにしましょう。

投資のバランスが崩れ冷静さを失う

今、投資を始めようとしている方は「失敗しないように」「堅実に株式投資を行い、資産を増やしたい」と考えていることでしょう。

しかし、少し順調に進んでいくと初心を忘れ「もっと利益が出る銘柄はないか」「リスクがあってもいいから、リターンが欲しい」と、過剰な挑戦を始めてしまうケースがあります。

積極的にリスクを取ることが悪いわけではありません。しかし、安定したリターンと挑戦するリスクのバランスを判断する冷静な視点は、常に持ち合わせておく必要があります。

株式投資で利益を得ても確定申告しなくていい方法がある

最後に、会社員が株式投資をした場合の確定申告について説明します。副業がOKの職場であっても、株式投資をしていることが会社にバレたくないと思う人もいることでしょう。

株式の譲渡益(買った金額よりも高く売れた場合に出た利益)には、税金が発生します。しかし、これは会社の年末調整の対象外です。

そのため、本来であれば確定申告が必要ですが

  • 口座開設時に「源泉徴収ありの特定口座」を選択しておく
  • 売却益を含む給与所得以外の所得が20万円以下
  • 株取引で損失が出た

といったケースであれば、確定申告をする必要はありません。

利益が出るかわからないという方も、源泉徴収ありの特定口座を選択しておくと、その証券会社が代わりに納税してくれるため安心です。

会社員にとっての株式投資は、資産運用の一環

毎月の安定収入がある会社員は、株式投資等の資産運用がしやすい立場です。今回お伝えした小型株集中投資は、あくまで投資のひとつの方法ですが、実際にはさまざまな運用方法があります。

生活費は本業で稼ぎ、サラリーマン投資家として資産運用を始めている人は、決して少なくありません。「億り人」として名を馳せている人の中にも、サラリーマン投資家がいますよね。将来に向けた資産づくりは、動き出した人から成果を上げられるものです。自分のライフプランと照らし合わせて資産運用を検討してみてください。

文・柚月朋子

フリーランスとしての経験やポイント投資からスタートした経験を活かし、年間200本以上の記事を執筆・監修。投資初心者にわかりやすい記事執筆が目標。