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多くの自治体が「10万円現金一括給付」を選択!「子育て世帯への臨時特別給付金」の問題点とは

2024年11月19日の閣議において、「子育て世帯への臨時特別給付金」の給付が決定しました。しかし、この給付金はすべての子育て世帯が受給できるわけではありません。

そこでこの記事では「子育て世帯への臨時特別給付金」の概要や問題点について解説します。

「子育て世帯への臨時特別給付金」の対象世帯

「子育て世帯への臨時特別給付金」の対象となるのは以下の世帯です。

  1. 「0歳から高校生の子ども(※)」がいる ※平成15年4月2日~令和3年3月31日生まれの子ども
  2. 「主に生計を維持する保護者」の年収が960万円以内

原則的には以上の条件をすべて満たさないと10万円給付は受けられません。

出典:内閣府

ただ、複数の自治体は独自の財源から年収960万円以上の子育て世帯への給付を行う方針であり、政府もそれを容認しています。

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「子育て世帯への臨時特別給付金」の給付方法は3種類

2024年12月19日時点において、「子育て世帯への臨時特別給付金」の配布方法は以下のようになっています。

  1. 年内に現金5万円+年明けにクーポン5万円分
  2. 年内と年明けに現金5万円ずつ給付
  3. 年内に現金10万円を一括給付

各自治体は以上の3つから給付方法を選ぶことができます。

子育て世帯への臨時特別給付が決まった当初は2と3の選択肢はありませんでした。1回目と2回目に国が給付を行う目的が異なるからです。

  • 1回目:児童手当の仕組みを活用して子育て世帯への支援を急速に行う
  • 2回目:来春の卒業、入学、新学期に向けた準備金として補正予算案に計上する

しかし、多くの自治体では給付金の早期給付を希望しており、政府がそれに応える形で全額現金給付を容認しました。

それを受け、多くの自治体では「年内に10万円一括給付」を選択しています。

また、その前に5万円の先行給付を始めた自治体は、追加分となる5万円現金給付の準備を急ピッチで進めています。

「5万円クーポン給付」にこだわっていた政府が現金給付を容認したワケ

ところで、政府が当初こだわっていた「5万円現金+5万円クーポン給付」の方針が「現金給付容認」に転じた理由は、クーポン給付にかかる事務費に関する問題が明らかになったからです。

実は、クーポン給付の事務費が現金給付の事務費の3倍もかかることが判明しています。

そのことで野党や自治体などから相次いで批判が出たことを受け、政府が一転現金給付を容認する方向を打ち出した形です。

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10万円一括給付でも批判続出…「子育て世帯への臨時特別給付金」で残る問題点

しかし、それでもなお、この給付金に関しては批判が続出しています。

例えば、給付対象から外れる960万円とは「世帯全体の年収」ではなく、「主に生計を立てている人一人の年収」が960万円である点が批判の対象となっています。

確かに「両親それぞれの年収が960万円以内で世帯年収960万円以上」の場合は給付の対象となるのはおかしな話だというわけです。

また、年収960万円を超える世帯への給付も容認されましたが、給付を行うかどうかは自治体の判断にゆだねられている点でも不公平感がぬぐえません。

そのことから、批判の多くは「そもそも年収制限が必要だったのか?」という点に集約している感があります。

政府が給付金の給付を迅速に決定した点については評価できますが、多くの問題が残る残念な結果となりました。政府はその反省を生かし、次に同じような問題が起こらないために何らかの対策を講じてほしいところです。

文・大岩楓