資産運用

【FXが副業の会社員向け】確定申告のやり方から節税ポイントまで紹介

FX取引をしている会社員の方が避けて通れないのが、確定申告です。やるべきことはたくさんあるのに全然準備が進まないとお困りではありませんか。

本記事では、副業でFXをしている会社員向けに確定申告書類の書き方について解説します。

FXとは?FXは確定申告が必要?

FX(Foreign Exchange・外国為替証拠金取引)とは、FX業者に預けた証拠金を担保として “証拠金”で行う外国為替取引のことをいいます。株取引と異なり時間の制限がないため、会社員の副業としても人気を集めています。

確定申告の必要性は、年間損益により異なります。

年間損益確定申告
利益必要
損失原則として不要。
損失を繰り越す場合(損失の繰越控除)、必要

またFXには、株取引のような特定口座制度はありません。FX取引で得た利益は「雑所得」となります。

FXの課税対象は「為替差益+スワップポイント」から必要経費を引いた金額です。

【必要経費とは】
FXの必要経費とは、利益を出すために必要としたものです。例えば、下記のような内容は必要経費として計上することが可能とされています。ただし、必要経費としての最終判断は各税務署により行われるため、必ず領収書をもらった上で、あらかじめ税務署または税理士に確認することを推奨します。

通信費
FX取引に利用した、インターネットプロバイダーの使用料金や電話料金等

セミナー受講費
FX取引に関わるセミナーに参加した際の受講費やコンサルタントを受ける費用等

交通費
FX専門家や同業者との打ち合わせ、セミナー等に行く時にかかった移動・交通費

新聞、書籍費用
FX取引のために使用した新聞代、関連書籍・雑誌代

手数料
FXのトレード時に発生する手数料等

減価償却分
FX取引に使用するパソコン購入費

FXの確定申告で必要な書類

FXの確定申告で必要な書類は、利益が出た場合、損失が出た場合それぞれ異なります。

利益が出たとき・確定申告書B(第一表、第二表)
・申告書第三表(分離課税用)
・先物取引に係る雑所得などの金額の計算明細書
損失が出たとき・確定申告書B(第一表、第二表)
・申告書第三表(分離課税用)
・先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書
・所得税の確定申告書付表(先物取引に係る繰越損失用)

確定申告書B(第一表、第二表)は、FX取引の有無関係なく申告時に必要です。したが
って「申告書第三表(分離課税用)」「先物取引に係る雑所得などの金額の計算明細書」の2点がFX取引申告のために必要な書類です。

申告書に添付するもの
・給与所得の源泉徴収票(勤務先の会社が発行)

2019年4月1日より確定申告時に特定口座年間取引報告書、支払通知書等の添付が不要となりました。

確定申告書類の作成手順

FXの確定申告をする際には、あらかじめ、FX(為替取引)業者が発行する「特定口座年間取引報告書」と会社が発行する「給与所得の源泉徴収票」を準備しておきましょう。

確定申告書類作成の際に、役に立ちます。

申告書B(第一表)の書き方

申告書B(第一表)は、FXの申告の有無を問わず確定申告に必要な申告書です。源泉徴収票に記載されている数字をそのまま書き写します。

1.収入金額等
2.所得金額
3.所得から差し引かれる金額
4.税金の計算
5.その他

ここで注意したいのは、FXの申告に関係はないからと、節税として役に立つ控除を見落としてしまうことです。

・源泉徴収額
・医療費控除
・寄附金控除(ふるさと納税など)
・生命保険料控除
・住宅借入金等特別控除

先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書の書き方

先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書は「年間取引報告書」さえあれば、ほぼ内容を転記するだけでO Kです。必要経費を記載する欄があるため、記入忘れがないよう気をつけましょう。

【手順】
1.用紙上部に書かれている「雑所得用」を丸で囲み、氏名を記入
2.取引の内容の「種類」の欄に「外国為替取引」、「決済」の欄に「仕切」と記入
3. FX会社のサイトからダウンロードした「年間損益報告書」の「損益合計金額」を「総収入金額等」の「差金等決済に係る利益又は損失の額」に記入
4.「必要経費等」の欄には、FXに関する経費の項目と金額を記載する(例:セミナー代 50,000円)
5.「総収入金額」から「必要経費等」を引き、金額を「所得金額」の欄に記入

申告書第三表(分離課税用)の書き方

申告書第三表(分離課税用)は、先ほど「先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」に書いた内容を転記するだけです。

1.先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書に記載した所得金額を「収入金額」の「先物取引」の欄に書き写す
2.「税金の計算」の「総合課税の合計額」に、「申告書B第一表」の(9)「所得金額」を記入
3.税額を計算し記入

損失が出ていない、繰越もしない場合は、書類作成はここで終わりです。

所得税の確定申告書付表(先物取引に係る繰越損失用)

「申告書」と「先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」を用意します。住所、氏名を記入後、「先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」の「合計」蘭の金額を転記し、その他も記載の指示に従い記入を行います。

FXを確定申告すると、会社に副業がバレる?

会社員は、通常、毎月の給与から住民税が天引きされているはずです。これは、会社が従業員の住民税額を納める「特別徴収」を原則としているためです。

住民税の納税額は、前年度の所得によって決定されています。F Xにより収入が増えた場合、住民税額も増え、会社にも必ず通知がいきます。もし会社にバレたくないという方は、申告書の第二表「住民税に関する事項」の欄の「自分で納付」に〇をつけることで、会社に通知がいくことはなくなります。

ただし、FXで得た収入分の住民税は、自分で納めることになります。税務署から、個人宛に住民税の納税通知書が郵送されるため、自分で納税してください。

FXの確定申告で節税する2つのポイント

FX取引で確定申告を行う場合、条件によって節税効果が生まれる可能性があります。ここでは節税として覚えておきたい2つのポイントを紹介します。

損益を合算させて節税できる「損益通算」

複数の証券会社でFX取引を行なっている場合、それぞれの損益の合算が可能です。例えば、Aの取引で利益(譲渡益や配当など)が50万あり、Bの取引で30万の損失が出た場合、損益通算を行うことで、最終的な利益が「20万」となります。

損益通算をしなかった場合は、利益を50万と算出するため、差し引き30万の節税効果が生まれます。

【注意点】
投資信託や上場株式での取引による損益については、店頭デリバティブ取引等と損益通算することはできません。

3年間損失を繰越できる「繰越控除」

FX取引で損失が出た場合、翌年から3年間、繰越控除ができる制度です。確定申告の際には、必ず「所得税の確定申告書付表(先物取引に係る繰越損失用)」を提出してください。

利益が出た年の金額から、損失が出た年の金額を引くことにより利益額を相殺することが可能です。利益を相殺することで、納税額をおさえることができます。

【注意点】
繰越控除を受けるためには、損失が出た年から継続して確定申告をしている必要があります。確定申告をしていない場合、繰越控除はできません。もし、翌年大幅に利益が出たとしても、前年度の損失で相殺することはできないため、毎年確定申告をすることを推奨します。

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FXをしている会社員も簡単に確定申告が可能!

FX取引を行い、確定申告の対象に当てはまっている会社員の方は、必ず確定申告を行いましょう。確定申告には「わかりにくい」「計算が難しい」といったイメージがあるかもしれませんが、FX会社が発行する「特定口座年間取引報告書」と会社が発行する「給与所得の源泉徴収票」を準備することで、スムーズに作成が可能です。

また、国税局の公式サイトからも確定申告書類を作成することができます。給与の源泉徴収をスマホで撮影するだけで自動入力してくれたり、入力した数値を自動で計算してくれたりと、年々操作性が高くなり、FX初心者で初めて確定申告をするといった人にも使いやすい仕組みになっています。

FXの確定申告には「損益通算」「繰越控除」のように損失を補填する優遇措置もあるため、毎年必ず確定申告をしておきましょう。

文・柚月朋子

フリーランスとしての経験やポイント投資からスタートした経験を活かし、年間200本以上の記事を執筆・監修。投資初心者にわかりやすい記事執筆が目標。