シンプルで無駄のない暮らし、憧れますよね。いま、そうした生活を実践しているミニマリストに注目が集まっています。ミニマリストとは「必要最小限の物」だけを持って暮らす人のこと。ミニマリストの人々は口をそろえて「物を持たないことで、かえって心豊かに暮らせる」と言います。お手本にしたいミニマリストのライフスタイル。まずはできることからはじめてみましょう。
そもそもミニマリストとは何?
ミニマリストという言葉が人々に知られるようになったのは1960年代。この頃、芸術の分野で起こったミニマルアート/ミニマリズム(最小限の芸術)を実践する芸術家たちのことを指していました。1980年代にはアメリカを中心に文学の世界でも流行。ミニマリズムの代表的作家であるレイモンド・カーヴァーの作品は村上春樹が翻訳したこともあり、日本でも広く読まれました。
時代は変わって、現在の日本でミニマリストというと、一般にはシンプルで丁寧な暮らしをしている人々というイメージで捉えられています。「ミニマリスト」で検索すると、そこには自らの生活を綴ったミニマリストの先駆者たちのブログや動画などがたくさんあって参考になります。
ミニマリストの特徴
ミニマリストのみなさんに共通していえるのはこれらのことです。
- 部屋がシンプルできれい
ミニマリストの基本です。持たない生活をしている人たちの部屋は家具も極端に少なく、壁や床がよく見えます。 - 節約上手
物を持たないだけでなく、日々の出費を抑えるのもミニマリストの得意とするところ。ガス、電気、水道の使用は抑えて、食費もメニューを工夫することで最低限の出費で賄っています。 - 料理上手
料理上手な人が多いのもミニマリストの特徴。限られた食材でおいしい食事を作ることで無駄な出費がはぶけるからです。 - 買物上手
ミニマリストはケチとは違います。日々の暮らしに本当に必要なものであれば、多少高くても購入します。そして長く愛用します。いっぽうで、100均や中古品でお役立ちグッズを探すのも得意です。 - お金をためるのが上手
節約生活を送っていれば、当然ながらお金は貯まります。ミニマリストの中には「10年で〇千万円貯めました」という人もざらにいます。最近は貯めるだけでなく資金を賢く投資にまわすのがトレンドです。 - デジタルに強い
極端なミニマリストのなかには「スマホは持たない」といった人もいますが、たいていのミニマリストはスマホやパソコンを活用して生活に役立てています。買物、家計、貯蓄、投資の管理などはこれ1台で、という人が少なくありません。 - 暮らしを楽しんでいる
ミニマリストの人たちは、誰もが幸せそうに見えます。なぜかといえば、生活を楽しんでいるからです。自分がしたい生活を送るのであれば、普通なら億劫な掃除や片付けも苦ではありません。節約生活をゲーム感覚で楽しんでいる人が多いのが特徴です。
初心者が実践すべき10のこと
ミニマリストは今日なろうと思っても急にはなれるものではありません。一人暮らしであればすぐにも挑戦できるけれど、同居する家族やパートナーがいれば、なおのこと難しいでしょう。
実際、素敵な暮らしを送っているミニマリストの人たちも、少しずつ試行錯誤を重ねて自分なりのライフスタイルを築いていったという人がほとんどです。細かく分けたら多岐にわたるミニマリストへの道。そこで初心者におすすめの10のアイディアを並べてみました。
①家の一部でいいからすっきりと片付ける
ワンルーム住まいならまだしも、いきなり家全体を片付けてきれいにするのは至難の技です。でも、たとえばキッチンだけ片付けるとか、ベッドルームだけは物を持ち込まない、といったことならチャレンジできるのではないでしょうか。同時に行いたいのは押入れやクロゼットなどの収納スペースの再点検。よく見るともったいない使い方をしていませんか?
②衣服は半分に減らす
自分が毎日着ている服を見てください。実は限られた数着の服だけを着まわしていませんか? 残りの箪笥に眠っている服は不要な服です。まずは半分を目標に減らしてみましょう。まだ使えそうな服ならメルカリや買取業者で売るといいし、使えない服なら資源ごみに出す。Tシャツなどはハサミで切ってウエスにするのがおすすめです。
③紙類は週に一度は捨てる
気がつくとたまってしまうのがチラシやDMなどの紙類です。学校関係の書類なども放っておくとどんどんたまってしまいます。紙類は一箇所にまとめ、週に一度は選別して捨てましょう。所要時間は5分で済みます。
④1ヶ月の食費を決める
ミニマリストのなかには「家族4人で月の食費は2万円台」といった猛者もいます。そこまではハードルが高いけれど、いまよりも2~3割減らした食費を設定し、それを目標としてはいかがでしょう。家計簿をつけるのもおすすめ。昔ながらの紙の家計簿でもスマホの家計簿アプリでも、自分に合ったものを選びましょう。
⑤ふるさと納税を食費の助けに
食材などの返礼品がもらえるふるさと納税はぜひとも活用したいところ。米や肉などはそのまま食費の節約につながります。
⑥出費ゼロの日をつくる
お金は使わなければ貯まります。月に一度、週に一度、という割合で「お金を使わない日」を設定しましょう。食事も1日くらいなら冷蔵庫や棚のストックでどうにかなるもの。サバイバルゲームの一種として楽しんでみるといいのでは?
⑦ポイントはひとつに絞る
種類がたくさんあるポイント。できればひとつにまとめたいところです。お金に賢いミニマリストはアプリや関連するサービスを利用することでどんどんポイントがたまっていく「楽天経済圏」や「PayPay(Yahoo!)経済圏」の住人となっている人が多いようです。
⑧外出には水筒を持ち歩く
出かけた先でいちいちペットボトルの飲料を買っているのはもったいない。いますぐにでも水筒のある生活に切り替えましょう。これだけでかなり出費が減らせます。
⑨旅行はオフシーズンに早期予約を
小・中学生の子どもがいる家庭だと難しいかもしれないけれど、できれば旅行はオフシーズンに。同じ旅先、同じ宿なのに、費用が半分以下で済みます。ネットの早期割引などを使えばさらにお得に。
⑩家とクルマにはお金をかけない
人生で最大の買物といえば、やはりマイホーム。次はクルマでしょう。逆に言えばこの2つにお金をかけなければ貯蓄は増えます。購入するときは新築や新車ではなく中古物件や中古車を検討してみてはいかがでしょう。古い家を安く買って自分好みにリフォームするというのも楽しいものです。
ここに挙げたのはほんの一例。自分なりの発見を繰り返して、快適で楽しい暮らしを実現してください。
文・中野渡淳一
文筆業者。著書に『怪しいガイドブック~トラベルライター世界あちこち沈没記』『漫画家誕生 169人の漫画道』。この他「仲野ワタリ」名義で『海の上の美容室』「猫の神さま」シリーズ等小説作品多数。『moneyscience』では生活者目線及び最新トレンドの記事を中心に執筆。