「積立NISAはやめたほうがいい」「NISAにはデメリットしかない」との言葉を聞いて、戸惑っている投資初心者の方はいませんか。初心者が投資にチャレンジするなら、一度は検討してほしいのが税制優遇制度「NISA」です。本記事では「つみたてNISA」の内容やメリットについて解説します。
NISA(ニーサ)とは?基本をおさらい
NISA(ニーサ)とは、国が定めた「少額投資非課税制度」です。株式や投資信託による値上がり益や配当金のうち、あらかじめ定められた金額が毎年非課税となる仕組みです。
2024年5月28日には、岸田総理大臣が掲げる「新しい資本主義」の実現に向け、政府が個人投資家向けの優遇税制「NISA」の抜本的拡充を目指すとの発表もありました。今後、ますますNISAへの注目が集まると予想されます。
NISAには、2024年時点で「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3種類があります。ただ、ジュニアNISAは2024年での終了が発表されたため、本記事では解説していません。
NISAの種類と対象者などの詳細をチェック
2024年までの「一般NISA」「つみたてNISA」と、2024年からの「新しいNISA」「つみたてNISA」の違いを表でまとめました。
2024年まで
一般NISA | つみたてNISA | |
対象者 | 日本在住 20歳以上(口座開設する年の1月1日時点) | 日本在住 20歳以上(口座開設する年の1月1日時点) |
投資方法 | スポット購入・積立方式 | 積立方式 |
年間非課税枠 | 120万円 | 40万円 |
非課税となる期間(最長) | 5年 | 20年 |
対象商品 | 上場株式・ETF・公募株式投信・REITなど | 国が定めた基準を満たした投資信託 |
非課税対象 | 対象商品にかかる配当金・分配金、売却益 | 対象商品にかかる配当金・分配金、売却益 |
口座開設期間 | 2024年開始分まで | 2042年開始分まで |
金融機関変更 | 年ごとに変更できる | 年ごとに変更できる |
2024年から
新しいNISA | つみたてNISA | |
対象者 | 日本在住 18歳以上(口座開設する年の1月1日時点) | 日本在住 18歳以上(口座開設する年の1月1日時点) |
投資方法 | スポット購入・積立方式 | 積立方式 |
年間非課税枠 | 2階部分 102万円 1階部分 20万円 | 40万円 |
非課税となる期間(最長) | 5年 | 20年 |
対象商品 | 2階部分:上場株式・ETF・公募株式投信・REITなど 1階部分:つみたてNISAと同条件 | 国が定めた基準を満たした投資信託 |
非課税対象 | 対象商品にかかる配当金・分配金、売却益 | 対象商品にかかる配当金・分配金、売却益 |
口座開設期間 | 2024年~2028年 | 2042年開始分まで |
金融機関変更 | 年ごとに変更できる | 年ごとに変更できる |
「つみたてNISA」は初心者向け?
つみたてNISAが、初心者向けと言われる理由は、主に次の4点です。
- 国が定めた基準を満たした投資信託
- 非課税期間が最長20年間
- 積立で購入できるため、少額投資が可能
- 引き出し時期は自由
上記は、つみたてNISAのメリットとも言えます。特に金融庁おすみつきの投資信託(公募株式投資信託、ETF)の中から商品を選ぶ必要があるため、初心者にとっては、国が選択肢を提示してくれた安心感があるでしょう。6,000本近い商品の中から、213本(2024年4月26日時点)まで絞ってくれているのはありがたいものです。
また、通常、投資で得た利益には20.315%の税金がかかります。これが最大20年間、非課税になるのは、長い目で見るとかなりお得と言えます。また、いつでも引き出すことができるため、急な出費の際にも強い味方となってくれるでしょう。
知っておきたいつみたてNISAのデメリット
つみたてNISAにも、デメリットが存在します。ポイントは次の3点です。
- 日本株、外国株、REITへの投資はNG
- 損益通算ができない
- 非課税枠が余っても持ち越しはできない
メリットの裏返しとも言えますが、金融庁が認めた商品以外は購入できません。また、つみたてNISAで取引した商品が損失確定した場合も、他の課税口座またはつみたてNISA同士での利益と損益の合算もできない仕組みとなっています。また、他の課税口座では可能な「繰越控除(最大3年損失を繰り越せる仕組み)」もできません。
さらに最大40万円の非課税枠は、余っても翌年に持ち越すことができないほか、売却してもその枠が復活するわけではありません。
つみたてNISAもデメリットあり。でも初心者にはメリット大!
もちろん、つみたてNISAが万能だと言いたいわけではありません。ただ、どのような投資に関してもメリットとデメリットが存在しています。
見比べると、少額投資ができる点や最初に金融庁がある程度銘柄を絞ってくれている点などは、初心者にとっては大きなメリットと言えるでしょう。販売手数料がゼロ(ノーロード)の商品のみが投資対象である点にも注目です。
「資産形成に興味を持った」「投資を始めたい」といった初心者の方は、まずは、つみたてNISAを検討することをおすすめします。
文・柚月朋子
フリーランスとしての経験やポイント投資からスタートした経験を活かし、年間200本以上の記事を執筆・監修。投資初心者にわかりやすい記事執筆が目標。