投資は成功事例ばかりが取り上げられがちですが、中には失敗し借金を背負ったり地獄を見たりした人も存在します。しかし、投資で失敗する人には複数の共通点があることをご存知でしょうか。本記事では、初心者向けに投資の失敗例や守るべきルールをまとめました。ぜひ反面教師として活用してください。
投資で失敗する人の性格・行動の共通点
投資とは、自身のライフプランを踏まえた上で中長期的にお金を増やすための資産形成の一種です。芸能人や専門家などの成功事例を目にする機会が多くなり「誰でも簡単に始められる」「難しい知識がなくても大丈夫」といった声も増えています。
しかし、実際にはそのようなうまい話はありません。「じゃあどうすればいいのか」を考えるために、まず、投資で失敗する人の性格・行動について一緒に見て行きましょう。
目的・運用方針を決めず見切り発車
「とりあえずお金を増やしたい」「なんとなく投資が流行っているから」「YouTubeやブログで薦められたから」などの理由で投資を始めた場合、成功するのは難しいでしょう。
目的・目標や運用方針を決めることで、投資方法や投資先、売却のタイミングなどは大きく変わるものです。つまり、全く自分の中でルールが決まっていない状態で投資を始めるのはおすすめできません。
「とにかく早く決断したい」「悩むのは時間のムダ」と焦るタイプの人は、一旦落ち着いてください。
少額投資で短期のハイリターンを狙う
投資は“中長期的”に資産を増やすことが一般的です。初心者が少額投資から始めることは良いことです。しかし、そこで短期間に多額のリターンを狙うのは現実的とはいえません。
ハイリターンには「ハイリスク」がつきものであり、経験豊富な投資家であっても、短期勝負は難しいものです。投資初心者が根拠のない自信をもとに、短期決戦・ハイリターンを狙うのはケガの元だと考えておきましょう。
「人生ギャンブル!」「安定よりも波乱が好き!」というタイプは危険です。
キャッシュフローを無視
「キャッシュフロー」とは、わかりやすくいうと、現金の流れを意味する言葉です。企業の経済活動状況を示す際に、よく使用される言葉です。このキャッシュフローは、個人の経済状況を理解するためにも役立ちます。
一見難しそうですが
- 現在の資産
- 月単位、年単位での収支予測
- まとまったお金が必要な時期(結婚、出産、子どもの進学、マイホーム購入など)
などを客観視するための資料だと考えておくと良いでしょう。
そもそも投資は余剰資金で行うものです。キャッシュフローを把握できていないと、投資にばかりお金を回しすぎて、目の前の生活資金が足りないといった事態が起こる可能性があります。
家庭の財務状況をしっかり把握した上で、投資に進むようにしましょう。
冷静さがない、感情的に動いてしまう
投資に向いていない性格の一例が「冷静さを持ち合わせていない」「感情的・衝動的に動く」です。特に投資に関する情報は、信用性の高いものもあれば、詐欺に近いようなものもあります。
手に入れた情報が正しいかどうかを冷静に判断する力がなければ、間違った情報を元に動き、損失を生み出してしまうでしょう。
また株価が下がった、上がったといった内容に一喜一憂してしまう人も向いていません。株価が下がったとして、損切りをするのか、もう少し待つのかといった部分に関しても、冷静な判断力が求められます。あらかじめ自分で決めたルール(何%下落したら損切りする)を守る力も必要です。
1円でも損をしたくない!売りたくない!と感情的に動いてしまい、塩漬け状態になってしまうことも。失敗を避けるためには目先の利益や感情に捉われない、冷静な判断が必要です。
失敗したくない初心者は「投信積立」がおすすめ
投信積立とは、毎月一定額を「投資信託」で積み立てる方法です。投資信託は、投資の専門家(プロ)に審査運用を任せる方法のため、投資に手間や時間をかけたくないという人からも人気です。
【投信積立が向いている人】
- 少額から投資を始めたい
- 投資信託に興味がある
- 投資先を細かく決めたり購入のタイミングを決めたりするのは大変そう
- とにかくプロに任せたい!
【投信積立のメリット】
- 少額(ファンドによっては100円〜)から始められる
- 分散投資でリスクも分散
- 自動積立で毎月コツコツ投資費用を捻出できる
- プロが銘柄を選択してくれる
良いことだらけの投信積立(投資信託)に見えますが、注意すべき点もいくつかあります。
まず投資信託の場合、商品によりリスク、投資の方針、手数料が異なります。運用はプロにお任せできますが、どういった投資方針を選ぶかは、自分で決める必要があります。また、投資のプロといえど、100%利益が出るわけではなく、投資した元本を割り込む恐れがあることを理解しておく必要があります。
「投信積立」の失敗例
初心者におすすめの投資方法として紹介した「投信積立」。しかし、一歩間違ってしまうと失敗してしまうことも。失敗、借金などのマイナスの状況を防ぐためにも、失敗事例を確認しておきましょう。
失敗1:特徴をしっかり調べずに選択
投信積立は、毎月一定額を積み立てつつ、プロに運用をお任せできる投資方法です。しかし、どのファンドを選ぶかは自分で決める必要があります。
そもそも、リスクの許容度は人によって異なります。さらに20代で投資信託を始める場合と、40代で始める場合では目標も違うはずです。つまり「すべての人にピッタリの金融商品」は存在しません。
まずは「自分のリスク許容度」「自分の目標」「性格」と向き合いましょう。その上で金融商品の特徴を調べ、自分に合う商品を選ぶようにしましょう。例えば、金融商品の中には、値動きの激しいものがあります。リスク許容度によっては、値動きの激しい商品は選択しないというのもひとつの方法といえます。
失敗2:NISA・iDeCoを使用しない
投資家を増やすことを目的とした税制優遇制度に「NISA」「iDeCo」があります。投資初心者にとって、メリットの大きい制度のため、使わない手はありません。
NISAには「つみたてNISA」「一般NISA」がありますが、ここでは「つみたてNISA」について説明します。
つみたてNISAの特徴
- 1人1口座のみ開設できる
- 「つみたてNISA」「一般NISA」の併用はできない
- 20年間は投資で得た利益(通常20%)が非課税
- 毎年の非課税枠は40万円が上限
- 金融庁が設けた基準をクリアしたファンドのみが対象
何より初心者にとって安心できるポイントは「金融庁が設けた基準をクリアしたファンドのみ」である点です。国が数千単位の投資信託の中から、長期の積立・分散投資に適しているファンドを約200本選んでくれているため、選ぶ段階でのリスクは少し減ると考えていいでしょう。
またiDeCoの場合は、基本的に老後(60歳)を基本とした積立投資です。
iDeCoの特徴
- 積立金は全額所得控除できる
- 運用利益が非課税
- 60歳以降の受け取り時にも控除ができる
- 原則60歳まで引き出すことができない
自分の投資目的に合っているにも関わらず、つみたてNISAやiDeCoを使わないのは、大変もったいないことです。運用益が非課税になるメリットを活かしましょう。
ただ、いうまでもなく「投資でマイホームの頭金を貯めたい」のに「なんとなくお得そうだからiDeCo!」のように、目的と投資方法がずれてしまうのは絶対にNGです!
失敗3:毎月の積立金額がバラバラ
投資に関しては「安く買う→値上がりしたら高く売る」の繰り返しで利益が出るものです。とても簡単なことのように思えますが、実際には、相場の値動きを予測することは難しく、自分の思い通りに値が動くとは限りません。
だからこそ、毎月一定の額をコツコツと積み立てる「投信積立」に意味があるのです。同じ1万円でも、安いときにはたくさん購入し、高くなったら購入数を減らす。この繰り返しで平均的な利益を生み出す方法です。
しかし、もっと儲けたいからと「今は2万円」「今は5,000円」など、相場に合わせて積立金額を変えてしまうと、結果的に高い時期に買っていたり、安い時期なのにあまり買わなかったりといったケースにつながる可能性が増えてしまいます。
失敗4:不安で売却!意地で保有!
投資に慣れていない人は、ほんの少し価格が変動すると不安になり売却してしまうことがあります。「もっと値下がりして資産がなくなるかも」「これ以上値上がりはしないかも」など、自分の中にある不安から行動を制限し、短期で売却。これでは、資産運用にはつながりません。
自分の資産を増やしたい目的、具体的な金額、スケジュール、そして損切りラインを明確にしていない人は、いつまで経っても初心者から抜け出せないでしょう。
ただ、逆に意地や過剰にポジティブな考え方で損切りをしないことも失敗のもとです。ひろゆきさんの場合は、意地ではなく好奇心による行動でしたが、JALの株を持ち続けたことで、2000万円の損失を出したそう。
普段は株価のチェックをしない僕もさすがにチェックして「これは売らないとヤバそうだな」って思ったんです。思ったんですけど……もうひとりの僕が「こんな機会はめったにないから最後まで見届けてみよう」と思っちゃったんですね。
いまの株券って電子データだけなので、紙クズにすらならないんですね(笑)。パソコンの画面で数字が0になるのを眺めるだけ。
https://toyokeizai.net/articles/-/501184
「不安」「心配」など感情に左右されることは失敗のもと。あくまで自分で決めたルールやデータに基づいて判断するようにしましょう。
初心者が投資を成功させる原則:長期・定額・分散
ここまで失敗例をいくつかお伝えしてきました。最後に投資を成功させるために守るべきルールについて紹介します。
初心者には投資信託、投信積立がおすすめであることはすでにお伝えしました。
投資の世界では「長期・定額・分散」が原則です。短期で売買を繰り返す投資方法もあるものの、初心者にとってはハードルが高く避けた方が無難です。
長期投資とは、その名の通り長く保有し続けること。長期間保有することで値動きやリターンの振れ幅が小さくなるメリットがあります。また、短期投資の場合、頻繁に値動きを確認する必要があり、時間も手間も必要です。
積立投資の中には「定額投資」「定量投資」の2種類があります。
- 定額=毎月1万円ずつ
- 定量=毎月100株ずつ
ここでおすすめしているのは、定額投資です。ドルコスト平均法ともいいます。月によって株価は変動しますが、高いときには少ない株数、安いときには多い株数を購入するため、1株あたりの購入価格を平均化することができます。
分散投資とは、投資先や投資するタイミングを“分散”させる方法です。金融商品そのものを分散する(株式、不動産、債券など)、地域を分散する(日本国内と海外、先進国と新興国など)、購入時期を分散するなどの方法があります。
【注意】長期・定額・分散投資を選んだからといって、リスクがゼロになるわけではありません。あくまでリターンとリスクを安定させる方法の一種だと考えておきましょう。
文・柚月朋子
フリーランスとしての経験やポイント投資からスタートした経験を活かし、年間200本以上の記事を執筆・監修。投資初心者にわかりやすい記事執筆が目標。