総合テレビやEテレをはじめとした国内放送や、国際放送、WEBコンテンツなどの事業を行うNHK(日本放送協会)。受信料問題について話題に上がることもありますが、1万人を超える大企業です。本記事では、NHKで働く人のボーナスや年収、新入職員の初任給や福利厚生など働き方にまつわる情報を解説します。
NHK職員(35歳)の平均年収モデルは661万円
NHKは非上場企業のため、「有価証券報告書」はありません。公式サイトに記載されている2020年度のデータは、下記のとおりです。
従業員数 | 10,343人 |
平均年齢 | 41.3歳 |
平均勤続年数(年) | 17.6年 |
平均年間給与(円) | 6,610,000円(35歳モデル) |
男女別の平均年齢は男性42.7歳、女性35.5歳です。平均勤続年も男性18.9年、女性12.1年と6年以上差があります。
ちなみに東京商工リサーチの調査による2024年度上場企業(3213社)の平均年収は605万円です。NHKは非上場企業ですが、上場企業の平均年収よりも56万円高いです。
またNHK公式サイトに記載されていた2020年度のモデル年収は、次のとおりです。
年収 | |
大卒(30歳) | 530万円 |
大卒(35歳) | 661万円 |
全国職員管理職:課長クラス | 913.6万円 |
全国職員管理職:部長クラス | 1,173万円 |
全国職員管理職:局長クラス | 1,428万円 |
全国職員かつ部長以上であれば、年収は1,000万以上になるようです。
ボーナスについては、年に2回(6月、12月)に支給されています。
NHKの新卒初任給は?福利厚生は?
NHKの新卒募集では「全国職員」「地域職員」「デジタル職員」に区分が分かれています。下記は、求人サイトに掲載されている新卒初任給です。
月給 | |
短大・専門・高専 | 199,410円 |
大卒 | 218,360円 |
院了(修士) | 231,360円 |
NHKの福利厚生
NHKの福利厚生としては、「クリエイティブ休暇」「リフレッシュ休暇」をはじめとして、さまざまな休暇制度があげられます。
他の休暇の例
- 結婚休暇
- 産前産後休暇
- 母性保護休暇
- パートナー出産休暇
- 看護休暇
- 介護休暇
- 積立休暇
実際の業務に活用できる自己啓発に伴う「自己啓発休暇」が1年あることも、他社ではあまり見かけない制度といえるでしょう。
また、家族手当や住宅補助、寒冷地補助、赴任手当(単身補助・異任地補助)もあるため、かなり福利厚生は手厚い印象です。
NHKは働きやすい会社?残業は多い?
厚生労働省発表の「女性の活躍推進企業データベース」によりますと、NHK正職員の一月の残業時間は、10.3時間です。
また、育休取得率は男性34.7%、女性100%でした。2024年7月に厚生労働省が発表した「令和3年度雇用均等基本調査」によりますと、男性の育休取得率の平均は13.97%です。NHKの男性育休取得率は平均よりも20%以上高いことがわかります。男女問わず、働きやすい環境が整っていると言えるでしょう。
前述しましたように、NHK職員は全国・海外で仕事をする「全国職員」、特定の道府県にて働く「地域職員」、デジタルサービスの部署を基本とする「デジタル職員」に分かれています。またこのカテゴリは、入社後も、キャリア形成やライフプランに合わせて変更することが可能です。
NHKの中途採用枠はある?難易度は?
NHKにはキャリア採用枠があり、通年で募集を行っています。下記は、記者の応募資格・応募方法をまとめてみました。
応募資格は、社会人としての勤務経験のみです。エントリーシートを記入し、書類選考、一次試験(面接・適性検査・論述試験)、二次試験(面接)と進みます。応募の時点で特定のスキルが求められるわけではないため、気軽に応募できる印象を受けるかもしれませんが、NHKは大企業であり、公共放送です。
中途採用者の比率は、2024年度12%、2020年度6%、2019年度11%と、決して多くはありません。全国的な知名度も高く、人気のある安定企業であるNHKの転職難易度は、かなり高いといえます。
NHK関連企業で働きたいなら、子会社もチェック!
NHKへの就職・転職が難しい場合でも、関連企業で働く選択肢を検討してみるのは、ひとつの方法です。公式サイトに記載されているNHKの子会社(関連事業の持株会社含む)は、次のとおりです。
- 株式会社NHKメディアホールディングス
- 株式会社NHKエンタープライズ
- 株式会社NHKエデュケーショナル
- 株式会社NHKグローバルメディアサービス
- 株式会社NHKプロモーション
- 株式会社NHKアート
- 株式会社日本国際放送
- 株式会社NHKテクノロジーズ
- 株式会社NHK出版
- 株式会社NHKビジネスクリエイト
- 株式会社NHK文化センター
- NHK営業サービス株式会社
この中から、興味深い企業をピックアップして紹介します。
株式会社NHKエンタープライズ
NHKエンタープライズは、わかりやすく言えば、NHKグループにおける「総合コンテンツ企業」です。NHKの番組の企画・制作やキャラクターのライセンス業務などを行っているため、NHKの番組やキャラクターと一緒に目にする機会も多いです。
大卒初任給は205,000円、大学院修士了の初任給は210,000円です。ボーナスは年2回(6月、12月)支給されますが、初年度の支給は12月のみです。
退職金制度や企業年金制度のほか、会員制リゾートホテル契約や旅行宿泊補助といったアクティビティに対する福利厚生が充実している点も特徴です。
株式会社NHKビジネスクリエイト
NHKビジネスクリエイトは、NHKグループにおける「総合サポート事業」を担う立ち位置です。放送・インフラ・事務業務を行っています。
主な募集職種は、次のとおりです。
- 警備職
- 総合職(事務・業務職)
- 技術職
- 放送車両事業部/自動車運転職
総合職のキャリア採用の場合、初年度の年収例は400万円〜です。また、2024年の賞与実績は6.0ヵ月分でした。
株式会社NHK出版
NHK出版は、令和3年に90周年を迎えた歴史ある会社です。2024年3月時点の従業員数は、217名。講座番組のテキストをはじめ、NHKの番組と連動した書籍を発行しています。
出版会社ではありますが、紙媒体だけではありません。2024年にはNHK出版デジタルマガジンもスタートしています。
新卒初任給は、大学卒196,000円、大学院卒199,000円です。試用期間3ヵ月終了後は、職能給として大学卒49,400円、大学院卒51,300円が別途支給されます。
株式会社NHK文化センター
NHK文化センターは、カルチャー講座の企画・運営を行う会社です。会員数は、全国124,000人、受講者数は、4期延べ全国312,000人。実施講座は、教養や文章・文芸、外国語といったものから、カメラ、食、絵画、書道まで、幅広く揃っています。
残念ながらNHK文化センターの公式サイトには、2024年12月31日時点で採用情報が掲載されていません。
ただ、求人情報を調べたところ、株式会社NHK文化センター大阪支社では契約社員の募集(時給1,100円)がありました。また、松本支社や神戸支社など、地域各地ではパートの求人もあります。
NHK営業サービス株式会社
NHK営業サービスは、事務情報処理部門やコールセンター部門、営業推進部門など、7つの事業を営む会社です。
新卒初任給(2024年4月実績)は、大卒・大学院卒190,400円、専門・短大・高専卒182,400円です。東京勤務の場合は、それぞれ6,000円プラスされます。
NHKグループだけあって、福利厚生もかなり充実しています。下記は、福利厚生の一例です。
- 保養所
- 提携施設
- JTBベネフィットえらべる倶楽部
- 確定給付企業年金
- 確定拠出年金
- 財形貯蓄
- 住宅ローン
- NHK共済会
- NHK関連団体の各種優待
ちなみにNHK営業サービスの繁忙期は3~5月です。2020年3~5月の全国平均時間外労働時間は15時間でした。繁忙期以外であれば、さらに時間外労働時間は少ないと考えられます。
NHKのボーナス・働き方に関するよくある質問
Q.NHK 賞与 いつ?
A.NHKのボーナス支給月は、6月と12月です。勤務成績と業績に応じて支給額が決まります。
Q.NHKの正社員数は?
A.NHKの2020年度の正職員数は、10,343人です。そのうち女性職員数は、2,058人で全体の19.9%を占めています。
Q.NHKの採用実績は?
A.NHKの公式サイトによりますと、2020年度の採用実績は放送総合269名、放送技術85名、合計354名です。
文・柚月朋子
フリーランスとしての経験やポイント投資からスタートした経験を活かし、年間200本以上の記事を執筆・監修。投資初心者にわかりやすい記事執筆が目標。