白物家電、液晶パネルなどを手掛ける電機メーカー「シャープ株式会社」。コロナ禍の中、クリーンルームのある三重工場にてマスクの生産を開始したことで話題となりました。また、現在は台湾に本社を置く「鴻海精密工業(ホンハイ)」の小会社でもあります。
今回の記事では、そんなシャープのボーナスや従業員の平均年収、新卒初任給などお金に関する話題をお届けします。
シャープの年収・ボーナスの金額は高い?低い?
シャープが現在事業ビジョンに掲げているのは「8K+5とAIoTで世界を変える」です。ブランド事業である「スマートライフ」「8Kエコシステム」「ICT」、デバイス事業である「ディスプレイデバイス」「エレクトロニックデバイス」をさらに重点に取り組んでいく模様です。
2016年4月、ホンハイの買収の話が出たときには、かなり驚いた方も多いことでしょう。しかし買収から一年も経たないうちに事業は黒字化。2024年度には、中国のロックダウンや円安などの影響を受けつつも、最終利益269億円(同24.3%増)となっています。
ここからは現在のシャープの従業員数やボーナス、平均年収について見ていきましょう。
シャープが発表した有価証券報告書(2024年3月・第128期)によりますと、従業員数は5,674人、平均年齢は45.5歳です。平均勤続年数は22.7年、平均年間給与は7,369,000円となっています。
気になるボーナスは、年に3回の支給です。支給月は、6月、12月、翌3月です。日本国内ではかなり珍しい印象ですが、2019年8月に発表され、現在に至るまで続いています。
気になるボーナスの年間支給額は、個人差も大きく1〜8ヶ月分となっています。また、シャープのボーナスは「信賞必罰」に基づいて支給されている点にも注目です。
所属する部門が、業績・ブランド向上に貢献したとされる場合は「社長特別枠」として、最大0.5ヶ月分の賞与が上乗せされる仕組みも2019年より始まっています。
また2024年冬には、ボーナスとは別枠で「COCORO MEMBERSクーポン」が発行されました。クーポンを使い、自社の製品を購入することができる仕組みです。
COCORO MEMBERSとは?
「COCORO MEMBERS(ココロメンバーズ)」とは、シャープ株式会社運営の会員サイトです。キャンペーンの応募、利用中のシャープ製品の管理ができるほか、クイズやガチャガチャなどのゲームもあります。また、シャープのECサイト「COCORO STORE」とも連携しています。
ちなみに私が「COCORO MEMBERS」「COCORO STORE」の存在を知ったのも、シャープ製のマスクの抽選販売が始まったことでした。今もシャープ製のマスクを愛用中です。
同業他社や一般と比較!シャープの年収は?
各社の有価証券報告書から、同業他社の平均年収をピックアップ(千円未満切り捨て)してみました。
- ソニーグループ:1084万円
- 東芝:892万円
- 三菱電機:806万円
- パナソニック:758万円
- シャープ:736万円
同業他社との比較ランキングでは、トップのソニーグループとは300万円以上もの差があることがわかります。しかし、東京商工リサーチの調査による2024年度上場企業(3213社)の平均年収は605万円、令和2年度の国税庁民間給与実態統計調査による正規雇用の平均年収は、496 万円(男性 550 万円、女性 384 万円)です。
この数字から比べると、シャープの年収は一般の平均に比べかなり高い水準であることがわかります。
また口コミなどを総合的に調べた結果、概ね係長以上の役職に就くことで平均(736万円)以上の年収を得ることができる可能性が高いようです。管理職(課長)以上であれば、確実と言えるでしょう。
シャープの新卒初任給はいくら?キャリア採用はある?
シャープでは新卒・第二新卒(卒業/修了後3年以内)を同条件で採用しています。職種は技術系とビジネス系に分かれていますが、初任給による違いはありません。
2024年度の実績は、次の通りです。
- 修士了:257,000円
- 大学卒、高専(専攻科)了:231,500円
- 高専(本科)卒:200,500円
博士了に関しては「別途」と記載があるのみで、具体的な金額は記載されていませんでした。
シャープでは「キャリア採用」のほか、元シャープ社員の「カムバック採用」も行われています。個々のキャリアにより異なるものの、記載されている年収は400万円〜750万円です。
シャープでは2015年に3500人の希望退職者を募った過去があります。当時のシャープの国内連結従業員は24,000人でしたから、1割以上の従業員を削減したことになります。技術の流出危機として騒がれたこともありましたが、今はホンハイの元で新しい技術開発を進め、強い新ブランドを作り上げるために、再度技術者の力を求めているということなのでしょうか。
ただ、過去の希望退職制度の利用者は、カムバック採用に応募することができません。この点は注意しておくべきでしょう。
シャープの福利厚生は?充実している?
2024年度時点でのシャープの福利厚生は、次の通りです。
- 社会保険完備(健康保険、厚生年金、雇用保険、労働災害補償保険(労災))
- 従業員持株会
- 財形貯蓄
- 住宅融資
- 個人積立年金
独身寮と社宅はありますが、住宅手当はありません。社員口コミによりますと「経営危機の際に、かなり福利厚生が削られた」との声も。
契約リゾートクラブ、契約スポーツクラブなどの施設もあり、大手企業としては一般的なレベルだと言えます。
シャープ子会社の新卒初任給は?福利厚生は?
シャープの子会社で働く場合も、労働条件や福利厚生、評価制度は、シャープ株式会社と同じ内容が適用されます。これは大きなメリットと言えます。
例えば、シャープ製品の卸販売やメンテナンス事業、システム開発などを手掛ける「シャープマーケティングジャパン株式会社」の初任給は、「全国社員」または「勤務地限定社員」のカテゴリと、学歴により異なります。全国社員の方が基本給は高いですが、この辺りはワークライフバランスなど自分の働き方によって決めると良いでしょう。
【全国社員】
- 修士了:249,000 円
- 大学卒/高専専攻科了:224,500 円
- 高専本科卒:196,000 円
- 専修学校専門課程卒:183,000 円
【勤務地限定社員/名古屋市/広島市/福岡市】
- 修士了:235,000 円
- 大学卒/高専専攻科了:212,300 円
- 高専本科卒:183,800 円
【勤務地限定社員/札幌市/仙台市/高松市】
- 修士了:227,300 円
- 大学卒/高専専攻科了:205,300 円
- 高専本科卒:178,100 円
また、ドキュメント商品やシステム商品などの保守サービス及びICTサポートをメイン事業とする「シャープサポートアンドサービス株式会社(SSS)」の初任給は、2024年実績で172,500円です。
このように子会社では、それぞれ初任給が異なるものの、シャープ株式会社と同様の福利厚生等が受けられることは大きなメリットと言えるでしょう。
シャープのボーナス・働き方に関するよくある質問
Q.シャープの賞与は何ヶ月?
A.シャープのボーナスは、1〜8ヶ月です。会社としての平均は4ヶ月程度ですが、個人差が大きいと考えて良いでしょう。
Q.シャープのボーナスカットは?
A.ホンハイ買収前のシャープでは、ボーナス半額、7%の給与カットなどが行われていました。一方、2016年ではリストラの影響で600万円台だった平均年収も、2018年以降は700万円台となり、状況は大きく改善されていると言えそうです。
Q.シャープの賞与制度は?
A.2019年よりシャープの賞与制度は、年3回(7月・12月・翌3月)に変更されています。社長としては4回にしたかったようですから、今後変更となる可能性もあります。
Q.シャープの離職率は?
A.2024年度の新卒採用者は167人、離職者は3人です。離職率は1.8%であり、2019年度と比べ大きく改善しています。
Q.キーエンスのボーナスは何ヶ月分?
A.キーエンスのボーナス支給月は3月、6月、9月、12月の4回ですが、支給額は何ヶ月分と決まっているわけではありません。利益の10%を分けるイメージだと考えるとわかりやすいでしょう。
文・柚月朋子
フリーランスとしての経験やポイント投資からスタートした経験を活かし、年間200本以上の記事を執筆・監修。投資初心者にわかりやすい記事執筆が目標。