家電製品、音楽、ゲーム、金融など多角的事業を営むソニー(SONY)。「年収が高い」「ボーナスが高額」と言われることの多いソニーの現在の平均年収や2024年のボーナスについて見ていきましょう。
ソニーはもはや、単なる電機メーカーではない?
ソニーの事業は、ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)、音楽、映画、EP&S、イメージング&センシ ング・ソリューション)、金融など多岐にわたります。2024年の売り上げ高は9兆円、営業利益も1兆円を超えるなど、かなり好調であることがわかります。
「有価証券報告書」 によりますと、2024年3月31日時点でのソニーの従業員数・平均年齢・平均勤続年数・平均年間給与は次の通りです。平均給与が1000万円を超えていることに、驚きです。
- 従業員数:2,839人
- 平均年齢:42.6歳
- 平均勤続年数:16.7年
- 平均年間給与:10,845,882円
さらに有価証券報告書を参考に、過去3年の推移をまとめてみました。いずれも年収1000万円を超えています。
2020年3月 | 2024年3月 | 2024年3月 | |
年間給与 | 1057.1万円 | 1044万円 | 1084.5万円 |
平均年齢 | 42.4歳 | 42.2歳 | 42.6歳 |
平均勤続年数 | 16.6年 | 16.5年 | 16.7年 |
また、ソニーは、競合他社と比べても年収が高いとして評判です。競合他社の有価証券報告書を調べました。
- 日立製作所:約896万円
- 日本電気:約814万円
- 三菱電機:約806.7万円
- パナソニック:約758.6万円
- シャープ:約736.9万円
ソニーは多角的経営であり、単純に比較することはできませんが、電機メーカー2位の日立製作所と比べても、100万円以上の差があることがわかります。
また、ボーナスに関しても、ソニーはかなり高水準をキープしています。例えば、2020年の平均は169万6700円(4.7ヵ月)、2024年には180万5000円(5ヵ月)と、高い水準で推移しています。
2024年より、ソニーグループ本体は、業績連動型に変更。事業会社ごとに異なるものの、2024年のボーナスは、日本経済新聞によりますと、6,7〜7ヵ月分となったようです。
ソニーの給料は高すぎる?「安い」との声があるのはなぜ?
前述しましたように、ソニーの年収は他社と比べて高い状態です。この理由として、過酷な人材競争があげられます。企業が成長するにあたって、優秀な人材の確保、流出防止は必須です。だからこそ、ある程度高額な年収・給与を提供し、優秀な人材を確保、引き留めたいとの狙いもあるのでしょう。
現在、外国への日本の人材流出が問題視されていますが、ソニーは元々人材育成に力を入れている企業です。創業当時から「自分のキャリアは自分でつくる」との考え方があることも、興味深い点です。
2015年には「社内フリーエージェント(FA)権」が誕生し、1,000名以上の社員に権利が与えられました。野球のFAのように、権利を行使すれば別の業務への異動が可能となります。なかなか面白い仕組みです。
そのほかにも、公募留学制度や、業務時間のうち20%を別の仕事に充てることが可能なキャリアプラス制度などもあります。これまでさまざまな企業の働き方について調査してまいりましたが、ソニーは本気でキャリア育成に力を入れているということが伝わってきます。
給料が安いと言われる理由1:福利厚生
しかし、その一方で「給料が安い」との声があることも事実です。その理由について、独自に考えてみました。
その理由としてまず考えられるのは、福利厚生の内容です。ソニーには、全社員一律の住宅手当は存在しません。社宅はすでに廃止されており、世帯手当もありません。
ジョブグレード階級制度を導入しており、一定以上(l4)になると、裁量労働制になるため、残業代の支給もなくなります(別途手当ての支給あり)。
とはいうものの、会社都合での転勤では住宅手当が支給されます。また法定福利厚生(健康保険・介護保険・厚生年金保険・児童手当拠出金・雇用保険・労災保険)はもちろん完備されており、通勤手当も全額支給(最短ルート)です。
妊娠・出産に関しても一時金が支給され、追加の有給休暇(20日分)の付与があります。「育児時短勤務」「不妊治療を目的とした休暇・休職制度」の制度を活用することが可能です。さらに、復帰後も提携保育園が利用できることやフレキシブルワークが可能なことから、育児休職復帰率は100%を誇ります。
さらに小学校入学のこどもがいる家庭に対し、ランドセルを贈る「ランドセル贈呈式」が行われるのも、ソニー独自のユニークな福利厚生といえます。
社宅や住宅手当、残業代に重きを置く人にとっては、不満がある可能性もありますが、客観的に見てみると、ソニーは決して給料が安い会社とは言えないのではないでしょうか。
給料が安いと言われる理由2:年功序列ではない
ソニーは、年功序列ではなく実力主義の企業です。後述する「ジョブグレード制度」を導入したことで、より徹底した実力主義の会社へと変化しています。
年齢に関係なく実力や結果を認められる一方、年齢を重ねたものの、スキルが身についていない、実績に乏しい人にとっては、給料が上がらず苦しい思いをする可能性があります。自分が思い描く通りに昇給できないことから「給料が安い」と声をあげる人がいることは、否定できません。
新卒でソニーに入社!初任給はいくら?経験者採用もある?
ソニーの新卒給与は、企業ごとに異なります。
「ソニーグループ株式会社」「ソニー株式会社」「ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社」の場合は、修士了の初任給285,000円〜、大学卒初任給255,000円〜です。
「株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント」では、年俸制が導入されています。年棒の金額を12分割し、給与として毎月支給されます。
2024年4月に入社した学部卒の場合の年棒は415万円、修士了の場合の年棒は465万円です。
どちらも1ヵ月の平日45時間の固定超過勤務手当を含みますが、休日勤務、深夜帯の勤務、固定超過勤務を超えた分に関しては追加で支給されます。賞与(ボーナス)も、上記には含まれていません。
またソニーでは、経験者採用枠もあります。専門性を持つ人だけでなく、第二新卒や大学院博士後期課程 (ドクター) 在籍中の場合も、応募可能です。
ソニーにアルバイト募集はある?
株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメントでは、さまざまな職種でのアルバイトを募集しています。
- 下記はその一例です。
- ゲームテスター
- ゲームテスター(アジア)
- システムテストスタッフ
- 韓国語ファンクショナルバイリンガルテスター
- 英語ファンクショナルバイリンガルテスター
- ムービーデザイナー(グランツーリスモ)
- レースイベント制作アシスタント(グランツーリスモ)
- オンライン運営スタッフ(グランツーリスモ)
- 3DCGデザイナーアシスタント(グランツーリスモ)
- グラフィックデザインアシスタント(グランツーリスモ)
給与や待遇は職種により異なりますが、ゲームテスターの場合は、時給1100円、完全週休2日制、交通費月額5万円まで支給(条件あり)、社会保険完備となっています。
また、ソニーミュージックグループにおいても、軽作業アシスタントやオーサリングスタッフなどの職種において、アルバイト募集が行われています。概ね時給1100円が基本です。
求人情報は、常に入れ替わっています。気になった場合は、まず応募してみるのが良いでしょう。
ソニーの「ジョブグレード制度」とは?
ソニーでは、2015年度から今の役割(ジョブ)による等級定義システム「ジョブグレード制度」の導入が始まっています。ソニーには、元々「個」の考え方を重視する社風があります。
それでも多くの企業が年功序列を重視する中、一気に実力主義に舵を切ったのが、このジョブグレード制度です。
等級については、
- 基本等級群の「インディビジュアルコントリビューター等級群(I)
- マネジメント等級群(M)
の2種類があます。I等級群に関しては1から9までの数字が設定されており、数字が大きくなればなるほど、グレードも上がる仕組みです。
新しい制度が導入されたことで、マネジメント職だけでなく、エンジニア職も正当な評価が受けられると概ね好評のようです。
等級により、個々の差が出るのが「ボーナス」です。12月に関しては、各ジョブグレードで固定級が決定しますが、6月支給分は「個人実績+ソニー業績」により変動するため、2020年度には同グレードの社員であっても、200万円以上もの差が出るという結果に。
2020年度と現在では、計算方法が変わっているとはいうものの、単に役職だけで給料や賞与が決まるのではなく、どれだけ成果を出したか、実績を積み重ねているかといった点で評価されていることがよくわかります。
ソニーのボーナス、年収のよくある質問
Q,2024年、ソニーのボーナスは何ヶ月分?
A.日本経済新聞によりますと、2024年のソニーの賞与は、6.7~7カ月分で妥結しています。
Q,ソニーの社員ランクは?
A.ソニーには「ジョブグレード」の制度が導入されています。基本等級群の「インディビジュアルコントリビューター等級群(I)」「マネジメント等級群(M)」に分かれており、大卒の場合、l3(担当者)からのスタートとなることが一般的です。
Q,ソニーのボーナス制度は?
A.年に2回、6月と12月に支給されます。2024年より、ソニーグループ本体は、業績連動型に変更されています。
Q,ソニーグループの給与体系は?
A.口コミ等から総合的に調査したところ、20代後半は720万円、30代前半は830万円、30代後半は950万円を平均としています。40代を超えると、平均でも年収1000万円を超えるようになります。
文・柚月朋子
フリーランスとしての経験やポイント投資からスタートした経験を活かし、年間200本以上の記事を執筆・監修。投資初心者にわかりやすい記事執筆が目標。