今年(2024年)は回復傾向にあるボーナス支給額。みんなが着ているユニクロ(株式会社ファーストリテイリング)のボーナスはいくらなのでしょう?
ユニクロ正社員の給料はかなりの高水準
ファッションブランド「ユニクロ(株式会社ユニクロ)」を傘下に持つ株式会社ファーストリテイリングでは、毎年8月期を節目に有価証券報告書を発行しています。
2024年8月期の有価証券報告書によると、同社の社員の平均年齢は37歳8ヶ月で、平均年収は963万7000円となっています。この数字だけ見ると同業他社(アパレル業界の平均年収約500万円)に比べてかなりの好待遇です。
もちろん、これはアルバイト(準社員)などの従業員を除く数字です。同社は国内、海外のユニクロをはじめ、ジーユーなどの事業を含めた連結での従業員が優に5万5000人を超える大企業だけに、正確なデータなしに従業員の給与やボーナスを算出するのはなかなかたいへんです。
ファーストリテイリングは「完全実力主義」を標榜する企業です。同社では自身の仕事の達成目標や実行プロセスを自分で立案して管理するという目標管理制度(MBO)を導入しています。社員は自分で目標を設定し、上司だけでなく部署内全員の評価確認を経て評価されます。MBOは異動や昇格に影響するだけでなく、当然ながら昇給にも関係してきます。
多様な働き方があるユニクロ
ユニクロでは、常時、新卒採用、中途採用、アルバイト採用を行なっています。
新卒採用には将来的に海外勤務の可能性がある「グローバルリーダー候補(総合職)」と「地域正社員」の2種類があって、給与体系などもそれぞれ異なります。
中途採用は本部でのマーケティング、事業経営、サプライチェーンのマネジメント、デジタル業務改革、クリエイティブ部門、人事やファイナンスなどのコーポレート部門の人材を募集。中途採用にはこれとは別に店舗運営スタッフ(地域正社員)の採用もあります。
アルバイト採用は店舗での勤務が中心。半年に一度、地域正社員への登用制度もあります。
新卒採用だった場合、グローバルリーダー候補の初任給は25万5000円。大卒初任給の平均23万6000円(2024年)と比較して約2万円多くなっています。
新卒の地域正社員の初任給は地域によって異なり、17万7500円~20万2800円となっています。仕事は店長代行候補者として店舗運営スタッフからスタートしますが、その後、グローバルリーダー(総合職)となることも可能です。
ユニクロのボーナスはいくら?
ボーナスと聞くと普通は夏と冬を連想しますが、決算期の関係もあって、ユニクロのボーナスは毎年4月と10月の年2回支給となっています。
支給額は人によって異なり、1回の支給額は月額給与の1ヶ月~2ヶ月分だと言われています。ファーストリテイリングの評価制度は新卒入社の正社員から執行役員に至るまで18段階に分かれていて、同じグレードでも年収が低めの人もいれば高めの人もいます。むろん、ボーナスの支給額もそれぞれ違います。
かりにボーナスが月額給与1ヶ月分だったとして、上記の平均年収963万7000円から単純計算すると、年間のボーナスの平均支給額は137万6714円。年2回あるボーナスはそれぞれ68万8357円となります。
2ヶ月分だと1回の支給額は120万4626円となります(たくさんあって羨ましい感じですが、当然、そのぶん月給の額は1ヶ月分に比べて減ります)。
この他、ファーストリテイリングでは年2回のボーナスの他に年1回、会社の業績などによって支給額が決まる決算賞与があり、10月のボーナスには通常の支給額にその分が上乗せされます。つまりボーナスが年3回(半期賞与が2回、決算賞与が1回)あるということです。年収に決算賞与が含まれると考えると、正確なボーナス支給額を出すのは至難の技です。
またユニクロではアルバイトでも大きく分けて4段階あるスタッフ区分のうち上位2つのシニアパートナー、エキスパートパートナーになると、やはり4月と10月の年2回、社内で規定された額のボーナスが支給されます。アルバイトで入るなら、長期間頑張ってシニアパートナー以上をめざすのがいいかもしれません。
文・中野渡淳一
文筆業者。著書に『怪しいガイドブック~トラベルライター世界あちこち沈没記』『漫画家誕生 169人の漫画道』。この他「仲野ワタリ」名義で『海の上の美容室』「猫の神さま」シリーズ等小説作品多数。『moneyscience』では生活者目線で最新トレンドの記事を中心に執筆。