日本を代表する企業のひとつであるパナソニック(パナソニックホールディングス)。約5万9000人という従業員(正社員)に支給されるボーナスはいくらなのでしょう?
パナソニックは従業員数で国内2位の巨大企業
総合エレクトロニクスメーカーであるパナソニックホールディングス(以下、パナソニック)は、連結子会社522社を含めると正社員数は5万9006人(2024年3月)。これはトヨタ自動車の7万1373人に次ぐ国内第2位の規模です。グループ各社の拠点は全国に点在し、地域雇用創出の場となっています。
2024年3月31日現在の有価証券報告書では、パナソニックの社員の平均年齢は45.8歳で、平均年収は743万9769円となっています。ここ数年は、平均年収は750万円前後となっています。
5万9000人の社員に平均750万円を支給していると考えると、単純に計算して人件費だけで毎年4,425億円ということになります。これに非正規雇用の従業員の人件費を足したらいくらになるのでしょう(目が眩みそうです)。
年代別に見ると、正社員の平均年収(推定)は20代で約550万円、30代で約750万円、40代で約870万円、50代で約950万円。公務員よりちょっといいかなという感じです。年収1,000万を超えるためには課長以上の管理職を目指さねばなりません。
パナソニックのボーナス(賞与)は夏と冬の年2回
旧松下電器産業の時代から、日本人が頭に思い浮かべる日本の会社といえば、やはりパナソニック。そのボーナスも、やはり平均値の真ん中をいく夏と冬の2回となっています。
支給額は月給の4ヶ月分。かりに年収750万円だとしたら、月収は46万8750円で、ボーナスは年間で187万5000円。これを夏と冬で分けると93万7500円となります。
所得税や社会保険料などを引いた手取りの支給額は65~75万円といったところでしょうか。ボーナスのありがたみを感じるには十分な金額です。
年収500万円だとして、ボーナスは夏冬合わせて125万円。1回のボーナスは62万5000円。手取りで43~50万円。20代の独身者だったら、趣味や旅行に注ぎ込むにはやはり十分です。
パナソニックのボーナスはグループ各社で変わることも
パナソニックには独自の評価制度があり、そこで年収が査定されます。よほどのことがない限り、支給額は毎年上がっていきますが、年に一度ある査定で高評価を得れば上昇率はさらにアップします。
とくに管理職になったときは一気に数百万円アップの可能性もあります。そのためには日頃から目標を設定し、そこに向かって努力を積み重ねる必要があります(出世をめざすのではなく、業績アップや仕事の効率化、自分のスキルアップをめざす)。
パナソニックでは2024年10月にカンパニー制を廃止し、パナソニックホールディングスを持株会社にした事業会社制をとりました。
カンパニー制だった頃から、業績が不調な場合はボーナスが減額されたり、年2回の支給が年1回となったりすることがありましたが、これは事業会社制になってからも変わらないか、むしろよりシビアになったと考えられます。逆に言うと、業績が上がればグループ内の他社よりも年収が増える可能性もあります。
創業者・松下幸之助の時代から企業としての理念を大切にしてきたパナソニック。新しいスローガンである「幸せの、チカラに。」のもと、ますます業績アップをはかっています。
個人的な思い出話で恐縮ですが、筆者はこれまで取材でパナソニックの研究施設や工場などを何度か訪問させていいただいたことがあります。
そこで出会ったのは、自分の仕事に対して情熱をもって取り組んでいる社員の皆さんでした。ことに先端技術の開発や社会課題の解決に取り組まれている社員の方々が語る「未来」には、聞いているこちらも「夢」を感じました。同社には日本の企業としていつまでも頑張っていてもらいたいと願っています。
文・中野渡淳一
文筆業者。著書に『怪しいガイドブック~トラベルライター世界あちこち沈没記』『漫画家誕生 169人の漫画道』。この他「仲野ワタリ」名義で『海の上の美容室』「猫の神さま」シリーズ等小説作品多数。『moneyscience』では生活者目線で最新トレンドの記事を中心に執筆。