2024年10月からスタートした全国旅行支援。実はキャンプ施設でも使えるって知っていましたか? これまでキャンプに興味があったけれど行ったことがなかったという方にオススメなのが、バンガローやコテージ、グランピングなどの初心者でも楽しめるキャンプスタイルです。この機会にキャンプデビューしてみてはいかがでしょう?
キャンプにも適用される全国旅行支援
1泊あたり最大40%、5,000円の支援が受けられる全国旅行支援。対象となる宿泊施設にはホテルや旅館、この他旅館業法で簡易宿泊営業の許可が必要となるキャンプ場のコテージやバンガロー、グランピング用の常設テントなどが含まれています。
早い話、「全国旅行支援はキャンプにも適用される」ということです。
ここで注意したいのは、適用されるのはあくまでも法律で「簡易宿泊営業」とみなされる、建物や常設テントを利用しての宿泊のみだということ。このためテント区画などに自分でテントを張るキャンプは適用外となります。
「なあんだ」とため息をつくキャンパーの皆さんのぼやきが聞こえてきそうです。自前のテントで幕営するのが好きな人、テントを張ってこそキャンプ、と思っている方にはちょっと残念な全国旅行支援かもしれません。
だけど、そうでない方、テント泊にこだわらない方、初心者の方にとっては今回の全国旅行支援はキャンプを楽しむのに絶好のチャンスとなるはずです。
とくに初心者にとっては自分で張るテント泊はハードルが高いもの。テントやシュラフなどのキャンプ道具も揃えるとなると予算もかかります。
その点、バンガローやコテージだったらテントを張る手間がはぶけます。こうした多くの簡易宿泊施設には布団やベッドが備えてあるので、慣れないシュラフで眠れずに悶々といったこともないはずです。
キャンプ初心者のみなさん、この機会にバンガローやコテージを利用してキャンプデビューしてみてはいかがでしょう?
初心者におすすめのバンガロー&コテージ
日本にはさまざまなキャンプ施設があります。
電源や水道などの設備が整ったオートキャンプ場もあれば、テント泊のみのキャンプ場、バンガローやコテージなどが充実しているもの、ホテルの施設内にあるコテージエリア、あるいは登山道の途中にある幕営地、海や湖に面したもの、絶景が楽しめる施設、カフェやレストラン、売店、入浴施設などが併設されている施設等々、専門のキャンプ場検索サイトなどを見ると、実にさまざまかつ魅力的なキャンプ場が並んでいます。
そのなかで初心者の方におすすめしたいのが、コテージが充実している施設です。
条件としては、キッチンやトイレや洗面所、シャワールームなどが付いていること。寝具が備えてあること。わかりやすく言うと「宿泊施設」としての機能が充実しているかどうか。とくにトイレは必須と考えていいでしょう。
キャンプに慣れている人だったら共用トイレでも抵抗なく使えるかもしれません。寝る場所からトイレが離れているという不便にも我慢できるはずです。しかし、慣れていない人にとってこれはけっこう大きなハードルです。ことに小さな子供がいたりするファミリーには、トイレは自宅と同様、すぐそばにあってほしいはずです。
キャンプ場選びのコツはテーマを決めること。初心者の場合はコテージの設備を最優先してさがすといいでしょう。とくに秋から春先までの冷える季節は、寒さをしのぎやすいコテージ利用を推奨します。
そもそもキャンプの魅力ってなに?
キャンプにはさまざまな楽しみがあります。なかでも最大の魅力は「非日常のなかで自然とふれあう」ことです。
もちろん、自然とふれあうのだったら、コテージやバンガローよりもテントの方が適しています。それどころか、強者のキャンパーのなかにはテントすら張らずに野外でシュラフにくるまって寝てしまう人もいます。
では、コテージやバンガローだったら自然とふれあうことはできないのでしょうか?
そんなことはありません。キャンプ施設の多くは都市部から離れた郊外や山間部、海岸近くにあります。その場所自体がすでに非日常です。
そしてキャンプと他の宿泊施設との大きな違いが食事です。出されたものを食べるのではなく、自分たちで用意した食材でバーベキューなどの料理を野外で楽しむ。これもまた非日常の体験です。
またキャンプは会話や思索の場でもあります。ソロキャンプであれば、ひとり静かに物事を考える時間が持てるし、グループやファミリーであれば、いつもとはちょっと違う会話をかわしたり、それを通じて互いの距離を縮めたりといったことができます。キャンプの時間というのは、ちょっとした魔法の時間であったりするのです。
2020年から続いているコロナ禍は、ソーシャルディスタンスのとりやすいキャンプ人気を押し上げたと言われています。そこではじめてキャンプを体験して、その魅力に取り憑かれたという人も多いはず。振り返ってみると、先史時代の頃の人間の日常は野外で暮らすのが当たり前でした。キャンプという行為は、現代人のなかに眠っている人間としての本能になにかしら訴えるものがあるのかもしれません。
人気のグランピングもいまがチャンス
全国旅行支援はグランピングをしたい人にも絶好の機会となっています。グランピングとは「グラマラス(蠱惑的)」と「キャンピング」を掛け合わせた造語で、豪華版のキャンプを意味します。
どれほど豪華なのかは施設によって差がありますが、通常は大きめの常設テントや道具が用意されていて、キャンプ道具の持ち込みは不要。内装はおしゃれなものが多く、なかには海外リゾートなどに多いハイダウェイホテル(隠れ家ホテル)の室内をそのままテント内に持ってきたような施設もあります。またテント泊とはいえ暖房も整っているので、冬でも快適に過ごせます。
施設が充実しているという点で、初心者におすすめです。
宿泊料金も施設によりますが、1泊2~3万円の施設はざら。高級旅館並の予算が必要となります。ここはまさに「全国旅行支援」の出番です。
キャンプ施設の予約方法は?
キャンプ場も利用するには予約が必要です。コテージやバンガロー、グランピングが利用できるキャンプ施設のなかには、大手の旅行会社で宿泊予約を取り扱っているところもあります。
旅行会社のクーポンが売り切れ続出といういま(2024年10月現在)、いちばん手っ取り早いのは、キャンプ施設で直接予約をとることです。
その際、忘れてならないのは全国旅行支援が適用されるかどうか。簡易宿泊営業の許可をとっていれば通常は適用されますが、予約の前には念のために施設に電話かメールで確認しておくといいでしょう。
予約の流れは以下のイメージです。
①キャンプ場検索サイトなどで泊まりたい施設を見つける
②電話やメール、問い合わせフォームなどで全国旅行支援適用の有無を確認する
③公式サイトや旅行会社経由で予約を入れる
ぜひこのチャンスを活用して、キャンプの持つ魅力にふれてください。
文・中野渡淳一
文筆業者。著書に『怪しいガイドブック~トラベルライター世界あちこち沈没記』『漫画家誕生 169人の漫画道』。この他「仲野ワタリ」名義で『海の上の美容室』「猫の神さま」シリーズ等小説作品多数。『moneyscience』では生活者目線で最新トレンドの記事を中心に執筆。