7週連続の値上げでガソリン価格の高騰がいっこうに止まる気配を見せません。鹿児島県などでは2008年9月以来となる180円/ℓ台の高値を更新しています。こうなるとガソリン車に乗っていること自体、それでいいのかと考えてしまいます。
いつまで続く? ガソリンの高値
ウクライナ情勢もあって、原油高はしばらく続きそうな勢いです。これに対応し、政府は3月から石油元売り会社への補助金(ガソリン価格上昇抑制補助金)の上限を5円/ℓから5倍の25円/ℓへと引き上げる方針を示しました。25円といえば、議論の渦中にあるトリガー条項(※)と同等の金額で、岸田文雄首相は「当面は今の激変緩和措置の拡充で対応したい」と述べています。
※ガソリン価格が160円/ℓを超えた場合、自動的にガソリン税約25円分の徴収を一時停止する措置。現在は東日本大震災の復興財源確保のために凍結されている。
とはいえ、はたして25円の拡充で足りるのか。不安定要素が非常に多い世界経済の現状を見ると、今後、トリガー条項の凍結停止を含め、それ以上の措置が必要とされそうです。もしガソリン価格がレギュラーで200円/ℓを超えるなどという事態が発生してしまった場合、25円を引いたとしても175円/ℓ。消費者にとっては笑いごとではすみません。
EVとガソリン車、どっちがお得?
これだけガソリンが高いと、EV(電気自動車)へと目が向く人も多いのではないでしょうか。EVとガソリン車のどちらが得かという議論は盛んに行われていて、両者を比較したサイトや記事などもよく見かけます。
単純に燃料代を比較した場合、車種によって比較した場合、整備代を含む年間の維持費全体で比較した場合など、比較の方法はさまざまありますが、おしなべてEVが有利(低コスト)という結果が出ています。
例えば、1ヶ月に1000kmを走るとして、EVの電気代は約4000円(自宅で充電した場合)。
これに対し実燃費が15km/ℓのガソリン車の場合、ガソリン価格が160円/ℓだったとしても、ガソリン代は1万720円(消費税を加えると1万1792円)。
実際はEVに乗るには外での充電に必要な電気自動車用充電認証カードにかかる料金や充電代を考慮せねばなりませんが、かりにそれがプラス5000円だったとしても合計で9000円。ガソリン車よりは安い維持費で済みます。
むろん、車を買い替えるとなるとそれだけでも大きな出費となります。ただし、もし、「そろそろ車の買い替えどき」という人であれば、現在のガソリン高はEVへのシフトを促す契機となるかもしれません。
世界の流れはEVへ
脱炭素社会の実現を目指す現在の世界では、とくに欧州のEU加盟国を中心に自動車のEV化が進んでいます。日本でも2024年12月に、これまでEVには消極的に見えたトヨタが一度に15台ものコンセプトカーを発表し、世間を驚かせました。
ガソリン高に嘆いてばかりの毎日ですが、気持ちを切り替えてSDGsをより意識した生活を目指してみてはいかがでしょうか。
文・中野渡淳一
文筆業者。著書に『怪しいガイドブック~トラベルライター世界あちこち沈没記』『漫画家誕生 169人の漫画道』。この他「仲野ワタリ」名義で『海の上の美容室』「猫の神さま」シリーズ等小説作品多数。『moneyscience』では生活者目線及び最新トレンドの記事を中心に執筆。