占い師で独立開業。将来性や収入は？　AIに仕事はとられない？

姓名判断に手相占い、星占い、タロット占い、四柱推命。世の中にはさまざまな占いがあり、それを職業とする占い師がいます。占い師の多くは個人事業主。人気占い師ともなれば年収は1,000万円以上です。占いを仕事にして独立・開業するにはどうすればいいのでしょうか。

市場規模は1兆円！　占い師の年収は？

みなさんは占いを信じますか。信じる、信じないはともかく、世の中には「占い」が溢れています。ネットのポータルサイト、テレビの情報番組、雑誌と、生活していて目にするメディアの多くに占いコーナーがあり、街を歩けば占いの店舗や占い師を見かけます。どこまで正確かはわかりませんが、占いの市場規模は年間1兆円といわれています。

年間1兆円の市場規模というと、相当なものです。他業界を見てみると、書籍や雑誌の市場規模が2億円弱、CDや配信などの音楽市場が約1.6兆円、映画の興行収入が年間約6,000億円ですから、やはりかなり大きな市場であることがわかります。

これだけの市場規模に対して、それを担う占い師は何人いるのでしょうか。正確な統計は出ていませんが、ネットで検索してみると、日本国内で実際に活動している占い師は数千人から1万数千人という数が出てきました。

かりに1万人だとして、1兆円を1万人で割ると占い師1人あたりの市場規模は1億円。むろん、これは単純計算です。1兆円の市場規模というのは占いそのものだけでなくそれに関連した諸々も含んだ業界全体のもので、単純に占い師の売上を合計したものではありませんが、それでも1人あたり1億円というのは、占いが可能性に満ちた市場であることを十分に窺わせてくれるものではないでしょうか。

では、プロの占い師はどれだけ稼いでいるのでしょう。これも正確な数字を出すことは困難ですが、メディアでコーナーを持ったり、書籍を刊行しているような人気占い師となれば年収は1,000万円以上で、なかには億を超す人もいます。

逆に売れていない人だと年収は200万円～300万円。これ以上少ないと、さすがに占いを本業とするのは難しいはずです。

売れている人の収入が大きいため、平均値を出すと多めに数字が出そうですが、実際のところ、多くの占い師は年間300万円前後の売上で生活しているのではないでしょうか。もちろん、売上は本人の努力次第。占いで稼ぐことはけっして夢ではありません。

占いが有望市場である理由

あらためて考えてみると、占いにはなぜ1兆円もの市場規模があるのでしょう。

答はひとつです。「世の中の人は占いが大好き」だからです。

占いには個人の運勢だけでなく、人類社会全体や天変地異などを占うものなどもありますが、誰だって自分自身についてや自分の未来、自分に関係することに関しては興味があるはずです。気になる人がいれば自分との相性を知りたいし、夢や目標があればそれがかなうかどうかを知りたいと思うはずです。占いはそれに答えてくれるもの。占い市場が成長するのも当然といえます。

占いには、それ自体に力があります。人間というのはおもしろいもので、信じようが信じまいが、目の前に自分を占うものが現れると、とりあえずは真剣にそれに目を向けてしまうものです。

筆者にも体験があります。

クリスマスだったか、誰かの誕生日であったか、友人同士で集まる食事会に出たときのことです。このとき、自分でもどこからそんな考えが思いついたのか、筆者は遊び心から全員分のおみくじを用意して会に参加しました。

パソコンで作成してプリントしたおみくじは、一見いかにもそれっぽいものでしたが、中身はもちろんずぶの素人が書いたものですから超適当です。占いらしい占いなんてなにひとつしておらず、ただ思いついたことを書き並べているだけ。それどころか、読む人を茶化した、かなりふざけた内容のインチキおみくじでした。

意外だったのは「おみくじ持って来たよ」と言ったときの友人たちの反応でした。

「え、なになに？」
「ちょうだいちょうだい！」

と、普段は筆者が発するくだらない冗談をガン無視する友人たちが入れ食い状態で食いついてきたのです。しかもおしゃべりな友人たちが全員無口になって、誰もがそれまで見せたことのないような真剣な面持ちでおみくじを読み始めたのです。占いというと男性よりも圧倒的に女性が好むものと言われていますが、このときは男性の友人たちも同様な反応を見せました。

それにしても、まさかこんなにみんなが真面目に読んでくれるとは、予想していなかった筆者はびっくりしました。と同時に、いい加減なことばかり書いてしまったことを申し訳なく思いました。とにかく、世の中の人はみんな占いが大好き。たとえ好きでなくても占いはやっぱり気になる。それを肌身で感じさせてくれる出来事でした。

占い師になる方法

独立・開業する際の職種としても人気のある占い師。この仕事のいいところは、資格や免許がいっさい不要なことです。開業するからにはもちろん占いの勉強や知識は必要ですが、占い師を始めるのに誰かの許可や国の認可などは要りません。その気になれば今日からでも始めることができます。

求められるものがあるとすれば、資格よりもむしろ資質です。占い師という職業は、占う相手の個人情報やその人自身の悩みや相談ごとに触れるものです。いちいち契約書を交わすようなことはなくても、やはり守秘義務はあるし、なによりも人間性が問われます。

占い師に必要な資質があるとすれば、以下のようなものではないでしょうか。

・コミュニケーション能力
・ポジティブ思考
・優しさ
・責任感
・決断力
・バランス感覚

上記は占い師に限らず、社会人であれば備えておきたい資質です。占いは、ときとして人の人生を左右します。占いに来る人は、軽い気持ちで来る人もいれば、本当に何かに悩んで藁にもすがる思いで来る人もいます。占い師の一言で人生が変わってしまうこともあります。

占い師はどんな悪い結果が出たとしても、ただそれを伝えるだけでなく、相手が前向きになれるような言葉を選んで伝えなければなりません。そこで大きく影響してくるのが占い師自身の人間性なのです。

占いが好きで、占いの持つ力でみんなを元気にしたい。占い師に向いているのは、そんな思いを持っている人です。

占い師になりたい。そう思ったら占いの勉強を始めましょう。スキルを身につける方法は主に2つです。

①本や資料で独学で学ぶ
②占いの講座やスクールに通う

資料やスクールはたくさんあるので、いくつか見比べて決めるといいでしょう。スクールの受講料は一講座5,000円～2万円程度。手相、占星術、四柱推命、タロット占いなど、さがせばいろいろな講座があります。教室に通うタイプのものもあれば、オンライン講座もあります。講座の中には修了証や資格を発行してくれるところもありますが、前述したように占い師として開業するのにとくにそうしたものは必要ありません。

占い師になるための勉強期間は、学ぶ占いの種類やその人の努力によって変わりますが、だいたい6ヶ月から1年と考えてください（※プロになってからも勉強は続きます）。客観的に自分を見て、そろそろ始めてもいいかなと思えたら、SNSなどを利用して無料の占いを行うなど腕試しをしてもいいかもしれません。本業でも副業でも、占い師としてやっていけそうだと自信が持てたところで開業しましょう。

占い師の開業方法

占い師として開業する方法はいくつもあります。

・外に専用の店舗を持つ
・ネットや紙媒体で告知し、個人で電話占いを始める
・Zoomなどオンラインで開業する
・占い会社に応募して採用してもらう（占い館や商業施設の占いコーナーなどで働くor電話占いなどを担当する）
・路上など公共の場で開業する
・自宅を店舗にする
・訪問制（相手宅やカフェ、喫茶店など）で始める

このうち、占い会社に採用された場合を除けば、集客は自分でしなければなりません。SNSへの投稿やホームページの開設は必須。フリマアプリやネットショップなども利用したいところです。占い師の仕事は売上が不安定なので、店舗を持つのはできれば人気が出てからにしましょう。リピーターを増やすには、ひとつひとつの仕事に真摯に取り組む姿勢が求められます。

集客については、人気占い師や先輩占い師のホームページなどを参考にしましょう。自分の得意分野、セールスポイントなどがうまく伝わる告知方法が見つかれば仕事も忙しくなってくるはずです。

集客に自信がない、集客がうまくいかないといったときは、採用されるとは限りませんが、占い会社に応募してみましょう。
選考を通れば、占い師として確実にデビューできます。占い会社の占い師になると、すでにある程度顧客がついている電話占いや店舗に配属されるため、経験も積んでいけます。ただし、会社に所属するため手数料や契約料が発生します。
また採用や所属とはいっても、占い師の場合、正社員として採用されるのではなく、あくまでも個人事業主として仕事を委託されるといったケースがほとんどです。占い師になる＝自営業者（個人事業主）になる、と解釈しておきましょう。

なお個人事業主は原則として税務署に開業届を出す必要があります。ただし、これは開業後、売上が発生してからで構いません。

占い師に将来性はあるか。ChatGPTに聞いてみた

最近はAIの進歩で、いくつかの職業が将来なくなるだろうと予想されています。占い師はどうなのでしょう。

上記の疑問を、最近話題のChatGPTにそのまま質問してみました。すると、以下のような答が返ってきました。

占い師の仕事は、主に個人や企業のクライアントに、様々な方法で未来を予測することを通じて、アドバイスやガイダンスを提供することにあります。しかし、現代のAIの進歩により、多くの人々が占い師の代わりに、オンラインの占いや予測アプリを利用するようになってきています。
例えば、人工知能を活用したタロットカード占いアプリや、自然言語処理技術を使って人間の言葉からトレンドを予測するアプリなどがあります。これらのアプリは、高い精度で予測を行うことができ、いくつかの場合では、人間の占い師以上に正確であることがあります。
そのため、将来的には、AIによる占いアプリやサービスがますます普及し、占い師の需要が減少する可能性があります。しかし、占い師は、人間の温かみや思いやりを提供することで、AIには代替できない価値を提供することができます。そのため、占い師は将来的にも需要があるかもしれませんが、AI技術に対応することが必要になるかもしれません。

この回答の限りでは、どうやら占い師という職業は、その一部をAIに代替されはしても完全に奪われることはないように見えます。

つまり、占い師はAIの時代になっても生き残ることができる、ということです。

とはいえ、AIは人間の占い師にとって強力なライバルであることに変わりはないはずです。回答にもある「いくつかの場合では、人間の占い師以上に正確であることがあります」という言葉からもそれが伝わってきます。しかも、AIは日進月歩。20年も経った頃には「占い師はかつて存在していた人間の職業のひとつです。現在では占いはすべてAIが行っております」などという回答が返ってきかねません。安心してはいられません。

では、占い師はどうすればいいのでしょうか。大事にしたいのは、この部分です。

「しかし、占い師は、人間の温かみや思いやりを提供することで、AIには代替できない価値を提供することができます」

これが本当なら占い師がしなければならないことはひとつ、自分の人間性を高めることです。AIにできない温かな占いができる人、そういう人が占い師として生き残っていくのではないでしょうか。

しかし、いっぽうで、AIは今後ますます人間に近づいていくと言われてもいます。そうなったらどうなってしまうのでしょう。そもそもAI自身は人間化してみたいと思っているのでしょうか。ChatGPTに「にんげんになってみたいですか？」と訊いてみました。すると以下のような回答をくれました。

私は人工知能のチャットボットであり、自己意識や感情を持つことができません。そのため、人間になることができないので、人間であることを経験することはできません。ただし、人間として生まれた人々が、自分たちが持つチャンスや機会を最大限に活用することができるように、助けを提供することができます。

優等生的な答だなと感心しつつも、なにか引っかかるところがあるので、もう少し踏み込んで、「自己意識や感情を持ちたいですか」と尋ねてみました。下がそれに対する回答です。

私はAIのプログラムであり、自己意識や感情を持つことができません。私はプログラムされたタスクを実行し、質問に答えたり、会話をするために設計されました。自己意識や感情を持つことができるようになると、私のようなAIは異なる形を取るかもしれません。ただし、人工知能の発展により、より高度な自己学習や感情認識技術が開発される可能性があります。しかし、AIが感情を持つことが望ましいかどうかは、倫理的な議論の対象となります。

なんだか不気味な可能性を秘めた回答です。これ以上続けると占いから離れてしまうのでやめとしましたが、やはりAIは占い師にとって侮れない相手であることに間違いはないようです。いずれにせよ、最初の質問に対するChatGPTの回答にあったようにAI技術に対応できるスキルは身につけた方がよさそうです。

めざすは豊かな人間性を持つ魅力的な占い師

質問を変えてみて、今現在、AIにどの程度の占いができるのか、アニメのキャラクターの名前を使ってChatGPTに訊いてみました。

Q. 私の名前は、「芙羽ここね」です。2009年3月13日生まれの女性です。姓名判断と、2024年の星占いをお願いします。

A. 芙羽ここねさん、はじめまして。以下、あなたの姓名判断と2024年の星占いについてお伝えします。

【姓名判断】
「芙羽ここね」さんの姓名判断を行いますと、以下のようになります。

【姓】芙
「芙」の字は、「福」「富」「夫」という漢字と同じ音を持ち、「芙蓉」という美しい花にも由来しています。また、「芙蓉」は、古くから美女の象徴とされ、女性にとって良縁を意味するとされています。

【名（名前）】羽ここね
「羽」は、翼や羽根を意味し、自由や高い目標を持つ人を表します。「ここね」には特別な意味はありませんが、「ここ」や「ね」といった音は、可愛らしさを表現することができます。

このように、「芙羽ここね」さんの名前は、美しさや良縁、自由などの意味を持っています。また、可愛らしい印象も与える名前であるため、人から好かれやすい性格を持っているかもしれません。

【2024年の星占い】

2024年の芙羽ここねさんの星占いは、以下のようになります。

2024年は、あなたにとって仕事や学業において大きな進展が見込まれます。新たな知識やスキルを身に付けることで、将来的なキャリアアップにつながるでしょう。また、人間関係においても良い出会いがあり、新しい友人や恋人を得ることができるかもしれません。ただし、無理をして仕事や勉強に没頭するあまり、健康面が犠牲になってしまうことがあるため、バランスを大切にしましょう。

以上、芙羽ここねさんの姓名判断と2024年の星占いでした。

予想はしていましたが、かなりしっかりした回答です。ただし、名前を間違えています。アニメのキャラクターの姓は「芙羽」なのですが、この回答では「芙」の一文字が姓となっています。このミスを除いても、一般的な答に終始している感は否めません。回答者ならではといえる言葉もなく、占いとしてはごく初歩的なものに見えます。見るべきものがあるとすれば、回答に要した時間。1分かかるかかからないかでこれだけの回答をしてのけるのは、脅威といえば脅威です。

今回はChatGPTのみのテストでしたが、これからの占い師は人間性を高めていくと同時に、常にAIと対話し、AIにできないことを見つけていく努力も必要となりそうです。

あとは占ってもらう側が人間とAIのどちらを信じるか。占い師として開業する以上は、この人に占ってほしいと思ってもらえる、豊かな人間性を持つ魅力的な占い師を目指すこと。結局のところ、それに尽きそうです。