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【個人事業主におすすめ】ふるさと納税上限額シミュレーション

個人事業主の節税になるお得な「ふるさと納税」。しかし、自分の収入・所得なら「いくらまでできるのか」がわかりにくいと悩んでいる方も多いもの。実際に使ってみて、便利だと感じたシミュレーションを紹介します。これで寄付しすぎてしまうミスを防ぐことができますよ。

個人事業主向けのふるさと納税シミュレーション

ふるさと納税サイトには、寄付上限額のシミュレーションが掲載されているものの、その多くはサラリーマン向けです。うっかり個人事業主が使ってしまうと、本来の上限額ではない金額が提示されてしまうため、大変なことに。

本記事では、実際に試して役に立った個人事業主向けシミュレーションについて紹介します。

ふるさと納税バイブル

おすすめのシミュレーションは、ふるさと納税マッチングサイト「ふるさと納税バイブル」。

準備するものは去年度の確定申告書と決算書だけ。数字を入力していくだけで、おおよその寄付上限額を知ることができます。

最初に「事業収入-事業の経費=事業所得」を計算します。

事業収入とは、確定申告の「事業→営業等」の部分にあたります。事業の経費は、所得税青色申告決算書の経費の合計額を確認します。

さらに次の項目の中から自分に当てはまるものを入力していきます。

  • 専従者給与
  • 配偶者の給与収入
  • 確定申告の申告方法
  • 株式や仮想通貨、FX等による収入の有無
  • 家族構成
  • 扶養家族
  • 社会保険の支払額
  • 小規模企業共済掛金の支払額
  • 生命保険料・地震保険料の控除額
  • 医療費控除利用の有無
  • 住宅ローン減税の利用の有無

「どこを見ればいいの?」と悩んだとしても、画像で表示されるため、入力ミスをすることはないでしょう。

最後まで入力すれば、今年度の寄付上限額(目安)を知ることができます。試算の内訳も確認できるため、なぜこの金額か?を自分で確認することができる点も安心です。

さらに資産の内訳では「住民税非課税か課税か」と「住民税所得割額」も表示されます。

今年の住民税との誤差はほとんどなく、概ね正しい結果が計算されていると言えそうです。

ただし、実際の控除額は今年の所得で決まります。今回の数字は、あくまで参考・目安と考えるようにしてください。今年の所得の見通しがたつ頃(10〜12月)に、もう一度シミュレーションをしてみましょう。

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セゾンのふるさと納税

セゾンカードのふるさと納税サイトの中にある「ふるさと納税控除限度額詳細シミュレーション(計算方法)」も、個人事業主向けのシミュレーションが可能です。

ふるさと納税バイブルに比べると、ややシンプルなつくりとなっていますが、基本的な内容のため、迷わず入力できるでしょう。

ただし、自分で事業収入から事業の経費を引き「事業所得」を計算しておかなければならない点には注意が必要です。

個人事業主がふるさと納税をする目安

「シミュレーションを使わずに、もっと簡単に目安を知りたい」と思ったら、「住民税所得割額の2割」を目安として考えるのもひとつの方法です。

住民税は「所得割額」「均等割額」の2種類から成り立っています。

市町村民税(特別区民税)部分の均等割額道府県民税(都民税)部分の均等割額
3,500円1,500円

個人事業主の場合、毎年6月ごろに「税額・納税通知書」が手元に届きます。上記は、実際に今年手元に届いた用紙です。所得割の欄と均等割の欄に分かれていることがお分かりいただけるはずです。

Q.道府県民税(都民税)が1,500円よりも多いんだけど?

A.例えば東京都の場合、平成26年度から令和5年度までの間、防災対策のために500円加算されています。つまり、都道府県により、均等割額が異なることがあります。

あくまで目安ですが、「住民税所得割額×0.2」の式に当てはめると、ふるさと納税控除上限額を計算することができます。お手元の通知書を見て、一度計算してみてください。

個人事業主がふるさと納税をするメリット・デメリット

「個人事業主はふるさと納税ができますか?」と質問されることがありますが、もちろんできます!個人的に、個人事業主は会社員よりもふるさと納税をするメリットが大きい印象があります。

ふるさと納税をするメリット、デメリットを解説します。

メリット1:控除上限額が大きい

個人事業主は、会社員に比べてふるさと納税の控除上限額が多めです。その理由が、「所得」。

会社員の場合、給与収入から「給与所得控除額」が控除されます。これは、個人事業主の経費のようなイメージです。ただ、大きく違う点は、年間の給与収入によって決められているということ。

実質、控除の金額が多いため、会社員有利の制度とも言われています。だからこそ、所得が多い個人事業主は、ふるさと納税を活用しやすく恩恵を受けられるとも言えます。

メリット2:手続きがカンタン

個人事業主の場合、確定申告をする人が多いと思います。寄附金控除を受けたい場合、確定申告書の「寄付金控除欄」に控除額を入力します。

元々シンプルな手続きでO Kでしたが、令和3年度の確定申告からは、特定事業者(国税庁長官が指定したものに限る)のポータルサイトからデータをダウンロードしたデータを、e-Taxに取り込むことができるようになりました。私も実際に利用しましたが、とても便利です。

寄付金の受領書を受け取るタイミングと、実際に確定申告を行う時までにはタイムラグもあります。紛失した際には再発行をする必要があり、手間もかかりましたが、データの取り込みが可能となったことで、紛失の心配も無くなりました。

メリット3:返礼品がもらえる

個人事業主・自営業者に限った話ではありませんが、自己負担金2,000円で返礼品がもらえるのは嬉しい限り。「すぐに返礼品を選ぶのが難しい」といった人は、ポイント制を取り入れているサイトを活用するのもおすすめです。

特に個人事業主の場合は、年間の事業所得確定を待ち、12月、しかも年末ギリギリに申し込むケースも多いはず。早く決めなければと思えば思うほど、焦ってしまう気持ち、よくわかります。そんなときは、絶対ポイント制がおすすめ。

ただし、ポイントに期限が決められているケースや、新たな寄付をすることでポイントの期限が延長されるケースなど、自治体により内容はさまざまなである点に注意してください。うっかり有効期限切れとなってしまわないよう、必ず寄付前に確認する癖をつけておきましょう。

デメリット1:上限がギリギリまで決まらない

デメリットの1つ目は、ふるさと納税の控除限度が決まるのが年末になるという点です。そもそも、ふるさと納税は年間所得に応じて、上限額が決まります。つまり、会社員のように毎月の給与が決まっているわけではない個人事業主は、シミュレーションが行いにくいデメリットがあります。

予想よりも収入が少なければ、控除の範囲を超えてしまう=自己負担分が増えるということになりかねません。

もちろん、自分のふるさとや縁のある地域に寄付をしたり、自分の欲しい返礼品を手に入れたりすることに変わりはありません。ただ、節税を目的とした場合は、上限額が確定するのがギリギリになるというのは、悩ましいでしょう。

期間限定の返礼品を狙うのでなければ、ふるさと納税を申し込むのは、10月以降がおすすめです。おおよその収入の目処がついた時期から始めれば、上限を超えてしまうリスクを下げることができます。

デメリット2:ワンストップ特例制度は使えない

「ワンストップ特例制度を使うと、ふるさと納税をした後の手続きが楽」といった言葉を聞いたことがある方もいるかもしれません。ただ、この言葉は、確定申告をしている個人事業主には当てはまらない点に注意が必要です。

Q.ワンストップ特例制度って何?

A.自治体に申請書を送ると、確定申告をすることなく寄附金控除を受けられる便利な制度です。5自治体以内であることなど、いくつかのルールはあります。

ただ、ここでは一応デメリットとして記載しましたが、そもそも個人事業主の場合、確定申告が必要なケースが多いはずです。デメリットだと感じることは少ないと想定されますが、ワンストップ特例制度が使えると勘違いしないようにしましょう。

個人事業主のふるさと納税よくある質問

最後に、ふるさと納税に関するよくある質問について回答します。

Q.ふるさと納税は、個人事業主ならいくらまでできる?

A.個人事業主だからいくらまでと決まっているわけではありません。そのほかの条件が同じだとしても、事業所得200万の人と500万の人では、上限額が異なります。まずはシミュレーションをしてみましょう。

Q.400万円の収入でふるさと納税いくらできますか?

A.これもよくある質問ですが、収入だけでは上限額を計算することはできません。400万円の収入から経費を引いて、事業所得を計算した上でシミュレーションしてみましょう。

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Q.個人事業主所得200万なら、税金いくら?

A.青色申告65万円控除の条件を満たしている場合であれば、所得税+住民税=およそ14万5000円です。白色申告の場合は、納税金額が増える可能性があります。

個人事業主こそふるさと納税で節税しよう

ふるさと納税以外にも節税方法はあるものの、ふるさと納税は、最も簡単で手っ取り早いと言っても過言ではありません。返礼品のバリエーションも年々増えており、何よりポータルサイトからデータでダウンロードできるようになったのは嬉しい限り。

シミュレーションである程度の目安を予測しつつ、上手に節税していきましょう!

文・柚月朋子

フリーランスとしての経験やポイント投資からスタートした経験を活かし、年間200本以上の記事を執筆・監修。投資初心者にわかりやすい記事執筆が目標。