購入した戸建ての中古物件はいよいよリフォームの段階へ。リフォーム業者さんに算出してもらった見積もり額は、当初想定の300万円からプラス130万円の430万円にまで膨張。手持ちのお金でリフォームにまわせるのは最大385万円。さて、どうすればいいのか。なんとなくもやもやした気分のまま、夫婦は交換予定の水回り一式を見学にショールームへと足を運ぶのでした。
引っ越しは夏、エアコンはどうする?
暦は5月となりました。いまの予定だと引っ越しは7月半ば過ぎです。こうなると気になってくるのは夏の暑さです。
購入した中古物件には、現在のところエアコンは1台もなし。引っ越しに際しては、あらたにLDKと2階の3部屋、最低4台は取り付けねばなりません。LDKのエアコンは現在借りている家で使っているものを取り外して持って行けるので、3台を新規購入することとなります。これだけでもけっこうな買物です。
エアコンを買うならシーズン真っ只中は避けて早めに、というのはもはや常識です。価格はもちろんだけれど、工事の予約が取りやすいからです。
そんなわけで、連休明けの週末、買物ついでに近所の家電量販店でエアコンを物色しました。
2階の3室はどれもさして広くないので取り付けるのはいちばん安価な6畳タイプで十分です。この時期、家電量販店でいちばん安いエアコンといえば、だいたい4万9800円(工事費込み/消費税別)という値段です。覗いてみた家電量販店でもその値段のエアコンが置いてありました。
ところが、店員さんに尋ねてみると「取り付け日を確定されてからご購入いただくという形になります」とのこと。スケジュールを先に立てる必要があるというのです。
まだ焦って動く時期ではないので、とりあえずその日は家に帰ってリフォーム業者のTさんに電話でスケジュールを確認しました。
「工事は6月末からですね。コロナで何かと遅れがちなんですけれど、まあ、7月1日からはじめて3週間というところです」
説明するTさんに訊いてみました。
「なら、例えば7月21日にエアコンの取り付け工事が入っても大丈夫でしょうか」
「壁紙さえ終わっていれば問題ないと思います」
これでエアコンの工事日も見えてきました。
家電量販店で買うか、ネットで買うか
次の週末、同じ家電量販店に行ってみました。すると今度は店員さんに「7月下旬の取り付けだと、まだ受け付けていないんですよ」と言われてしまいました。
「いつから受け付けてもらえますか?」
「6月上旬くらいからですかねえ」
「というと、これなんか売れ切れちゃっているかもしれませんね」
目の前には4万2800円(消費税別)の値段がついたエアコンがありました。
「そうですね。これはもう売れちゃっていると思います。というか週末限定の値段なので」
店員さんが言うには、お店でもこうした週末だけのキャンペーン商品の値段は直前にならないとわからないそうです。
「結局、本部からちらしの見本が一斉に送られてきて、それに合わせて値段をつけるって感じなんですよ。それがわかるのが早くてもだいたい金曜日の夕方、普通は夜だったりするんです」
「はあ、なるほど」
親切な店員さんのおかげで勉強になります。
「6月上旬だと、まだ安値で売っていたりしますよね?」
筆者は去年にも1台、一昨年にも1台、エアコンを買っていたので、なんとなくの勘は働きました。
「はっきりは言えないんですけど、土曜の朝イチとかで来てくだされば台数限定で安いのが出ていたりはします。今日と同じお値段でご提供できるかどうかは本部次第ですけど」
「もっと高くなる可能性もあるし、運が良ければ安くなる、という可能性もあるわけですね」
エアコンは、安いときは3万9800円(消費税別)で販売されることもあります。
「そうですね。はっきりしたことは申し上げられないのですが……」
恐縮する店員さんに御礼を言って店を出ました。」
「去年つけたエアコンは、どこで買ったの?」
帰りのクルマの中で妻に訊かれました。
「『ビックカメラ』だよ。PayPayの残高があったんで、それで買った。4万9800円だった気がする」
昨年購入したアイリスオーヤマのエアコンはいま住んでいる家の仕事部屋で使っています。これは賃貸契約上、取り外さずに残しておかねばならないものでした。まだ1年しか使っていないのにもったいない。でも仕方ありません。
「リビングのエアコンはどうしたんだっけ?」
「楽天だったかアマゾンだったか、それとも価格ドットコムで安い店見つけたんだったか……」
2年前の引っ越しで購入した17畳用のエアコンは日立製で、ネットで買ったものでした。こちらは9万円くらいだったと記憶しています。
「今年もネットで買おうか。私、さがしてみるよ」
「そうだね。ちゃんと動くならメーカーはどこでもいいよ」
世の中には「あそこのメーカーじゃなきゃ嫌だ」「あそこのエアコンは中身が〇〇製だから壊れやすい」というふうにメーカーにこだわる方もいますが、筆者と妻は「使えればなんでもいい」派です。しいて希望を言うなら「できれば日本のメーカー」くらいです。いまどきOEMで中身は外国製などということは当たり前なので、そこにこだわってはいられません。
「じゃあ、ネットにしようか」
「うん。そうしよう」
頷いている妻はスマホで検索を始めていました。夫の自分が感心するほど、こういうときの妻は行動が早いのです。
それにしても、あらためて考えるとエアコン代だけでも20万円くらいはかかりそうです。
かりに5万円程度で3台を購入したとして、15万円。
これに現在使用しているエアコンの移設費用が7000円~1万円。
合わせて約16万円。
2階のうちの1室はエアコン本体と室外機の置き場所が遠く、エアコン代込みの「標準工事」ではおさまりそうにないので、追加工事に数万円はかかるとして、全体で約20万円。
現在、現金でリフォームに使えるお金は385万程度だから、差し引くと365万円。
これに対しリフォームの見積もりは、430万円をなんとか400万円に下げたところ。
見積もりと予算の差額は35万円。
やはり、リフォームもローンを組むしかないのか。できれば組みたくないところですが、背に腹はかえられません。
メーカーのショールームを訪問
気がつけば、あっという間に6月。水回りの工事で必要な商品を選びにメーカーのショールームを訪ねる日がやってきました。
ショールームではメーカーの担当者のOさんとリフォーム会社のHさんが待っていました。
2人の女性に案内されて、システムキッチン、バス、トイレ、洗面台を見てまわりました。
予算内で買える商品は限られています。先方もそれを承知していて、割とスタンダードな商品を紹介してくれました。スタンダードとはいえ、新品は気持ちのいいもの。逆に商品選びの段階で悩まなくて済むので、楽といえば楽です。
色選びは妻が担当。システムキッチンはクリーム色、トイレは白、洗面台も白、バスルームは白にベージュに決定。優しい感じの水回りになりそうです。
お風呂は筆者の担当。4種類あるバスに入ってみて、「これだ!」と感じたのは容量的には2番目に大きなものでした。
「そちらはいちばん新しいタイプなんです」とOさん。新しいぶん、使い勝手や快適性がいろいろ考慮されているようです。
システムキッチンには、引き出し内部のパーツなどのオプションを2つ追加。そのあとはキッチンまわりの壁の色を決めました。妻が選んだのはクリーム色と水色を基調とした壁。OさんとHさんも「地中海風の家になりそうですね」と合いの手を入れてくれました。
ショールーム滞在は2時間弱。カタログや注文内容を後日送ってもらうこととして、家路につきました。
「けっこう楽しかったね」
「あの家、だいぶ変わりそうだね」
実際に家に置く商品に触れたことで、筆者も妻もリフォームのイメージが湧いてきました。予算内でできることは本当に最低限だけれど、それでも自分たちで考えて希望を具現化させていくのは楽しいものです。
関東は梅雨入り。引き渡しまであと1ヶ月を切りました。
文・中野渡淳一
文筆業者。著書に『怪しいガイドブック~トラベルライター世界あちこち沈没記』『漫画家誕生 169人の漫画道』。この他「仲野ワタリ」名義で『海の上の美容室』「猫の神さま」シリーズ等小説作品多数。『moneyscience』では生活者目線で最新トレンドの記事を中心に執筆。