株式投資に限らず、資産運用を始める前には勉強が必要です。そもそも投資はギャンブルではないため、ビギナーズラックを狙うことはおすすめしません。
しかし、本や雑誌、webサイト、セミナー、ブログ、YouTubeなど、学ぶ方法が多すぎて、初心者の場合、何から始めるべきか悩んでしまうことが多いでしょう。
本記事では、株式投資を始めたばかりの初心者の方向けに、効率的に知識を得るための勉強方法を紹介します。
株式投資初心者が最初に学ぶべき6つのポイント
投資初心者は何より「利益を出すこと」を知りたがる傾向があります。もちろん、銘柄の選び方やチャートの読み方は必要な知識です。しかし、株式投資全体を理解し、知識を深めておくことが、後々の自分を助けてくれることでしょう。
- 株式投資の仕組みを知ろう
- 株式投資のメリット・デメリット
- 証券会社の選び方
- 株価チャートとは?読み方は?
- 銘柄の選び方を知る
- 知っておきたい税金の話
1:株式投資の仕組みを知ろう
「株式投資」とは、企業が株式を発行し、投資家から資金を調達する仕組みのことを言います。
株式市場に上場している企業の株式は、自由に取引が可能です。
個人投資家は、証券会社に口座を開設し、証券会社を通じて「証券取引所」に注文を出します。買い注文・売り注文、どちらもこの流れは同じです。
株価が変動する理由のひとつに、証券取引所の需要と供給があります。
「A社の株が欲しい!」と思う人が増えれば、株価は上がります。「A社の株を売ってしまいたい!」と思う人が増えれば、株価は下がります。
企業の業績、配当金の増減、外国人投資家の動向だけではなく、マーケット全体(自然災害や紛争など)の影響を受けることもあります。さまざまな要因を想定した上で、銘柄を選ぶことが投資のポイントといえます。
2:株式投資のメリット・デメリット
株式投資のメリットは「資産が増える可能性があること」、一方デメリットは「資産が減る可能性があること」です。当たり前のことのようですが、実際に投資を始めると忘れがちな部分です。
メリット(資産が増える) | デメリット(資産が減る) |
売却益 配当金 株主優待 | 元本保証がない 信用取引(※)の場合、損失額が増大する可能性がある |
※信用取引とは?現物取引との違い
現物取引とは、手持ちの現金で株式を買う方法です。売ることができるのは、自分が保有している株のみです。
一方、信用取引は一定の比率をかけた担保を支払うことで、手持ちの現金以上の株を買うことができます。例えば、松井証券の場合は担保の率が30%、つまり、約3.3倍の取引を行うことが可能です。
手元の現金が10万円の場合、現物取引で買うことができる株は10万円、松井証券の信用取引の場合は、33万円ということです。(ここでは、手数料などは省いてわかりやすく計算しています)。
また、手元に保有していない株を売ることもできるなど、現物取引に比べ収益を得る機会が多い一方、想定外の相場となった場合、損失も増えることに注意が必要です。
3:証券会社の選び方
株式投資を始めるためには、証券会社に口座を開設する必要があります。ネットで完結する証券会社や実店舗のある証券会社など、国内だけでもかなりの数があるため、ポイントを絞って選ぶことが重要です。
証券会社を選ぶ際の主なポイントは、次の5点です。
- 口座開設の簡単さ
- 取引ツールの使いやすさ
- 取扱商品数
- 手数料
- 相談窓口の充実度合い
口座開設を簡単に済ませたいなら、「インターネット」がおすすめです。店舗や郵送に比べ、比較的短期間で開設できます。また申し込み時間を気にする必要もありません。
また取引ツールについても、スマホの専用アプリの有無、投資情報の充実ぶりなどを事前に調べておくと良いでしょう。実際に使っている先輩投資家の口コミも参考になります。
Q.証券会社によって取扱商品数は違うの?
A.上場株式の場合、どの証券会社を選んでも売買ができます。しかし、投資信託などは証券会社によって取扱商品や本数が異なります。自分の投資スタイルに合わせて選ぶのがポイントです。
ただ、初心者の場合「銘柄が多すぎると、迷う」といった悩みも生じがちです。その場合は、数よりも各ジャンル(国内株式・外国株式・債券など)の投資信託が偏りなく揃っているかどうかを重視するようにしましょう。
Q.証券会社によって手数料は違うの?
A.株式売買の手数料は、証券会社により異なります。ネット証券会社よりも、店舗型証券会社の方が高額となる傾向があります。また、同じ証券会社でも、売買の度に手数料が発生するケースと、一定額まで定額などルールが決められているケースがあるため、確認してください。
最後は、相談窓口についてです。証券会社によって、店頭、電話、メール、チャットなど、さまざまな窓口が設けられているため、自分に合ったものがあるか、受付時間の体制はどうかを確認しておきましょう。
https://money-science.com/securities-transaction-account/4:株価チャートとは?読み方は?
株価チャートとは、一定期間(日・週・月・年など)の株価をグラフ化したものです。株価の上下を予測するために使用します。読み取れる情報はさまざまですが、例えば、「始値」「高値」「安値」「終値」を一本の線で表しているものを「ローソク足」と言います。
始値よりも終値が高ければ「陽線」(上昇トレンド)、始値よりも終値が低ければ「陰線」(下降トレンド)であると判断できます。
ただ、短期売買、長期売買など、投資スタイルにより見るチャートは異なります。ただ、初心者の長期投資であれば、日次チャート、週次チャートを使用した上で、2年〜4年くらいのチャートからトレンドを分析する方法がおすすめです。上がり始めていると判断できそうな株に投資してみましょう。
チャートの基礎、読み方を簡単に学びたい場合は、下記の本もおすすめです。
2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの 株トレ 世界一楽しい「一問一答」株の教科書/窪田真之
5:銘柄の選び方を知る
銘柄を選ぶ場合は、自分の投資スタイルに合ったものを選ぶ必要があります。最も大きな分け方は「長期投資」「短期投資」です。
短期投資の場合は、その名の通り短期間に売買を繰り返して利益を出す方法です。値動きが激しい銘柄が対象となります。一方、長期投資の場合、短期的な値動きに一喜一憂することなく、じっくりと育て「待つ」姿勢が重要です。銘柄選びも、長期保有に適しているものや、投資信託のような分散投資が中心になるでしょう。
ただ、銘柄選びには、一般的なルールはほぼ存在しません。特に初心者の段階では、自分の中で選ぶ基準を決め、選択することが重要です。投資資金が少ない場合は、1単元(100株)の購入金額が10万円未満(1株あたり1,000円未満)の「低位株」を選ぶ方法もあります。
自分の身近な企業(例:スーパーマーケット)などの株から始めるのも良いですし、テクニカル分析やファンダメンタルズ分析などの指標を元に選ぶのも良いでしょう。
6:知っておきたい税金の話
最後は、税金についての勉強です。株式投資で利益を得た場合、税金を払う必要があります。
売却益に対する税金は、次の通りです。
- 所得税(15%)
- 住民税(5%)
- 復興特別所得税(0.315%)
合計20.315%、つまり得た利益の約2割は、税金として納めなければなりません。税金を申告するのが手間だと感じるのであれば、特定口座(源泉徴収あり)の口座を開設しておきましょう。この場合、投資家が確定申告する必要はありません。出た利益に対してあらかじめ証券会社が天引きしてくれるため、納税もお任せできます。
Q. NISAなら、利益が非課税になるってホント?
A.本当です。一般NISA(2024年まで。2024年以降は新しいNISAに変更)であれば、株式投資を非課税で運用できます。ただ、つみたてNISAと一般NISAの併用はできないため注意しましょう。
初心者が投資を確実に学ぶ方法
株式投資にまつわる勉強方法は、「本や雑誌」「新聞」「セミナー」「ブログ」「YouTube」「証券会社のwebサイト」など、さまざまです。
自分に合った方法で学ぶのが一番ですが、最初におすすめしたいのは、やはり本や雑誌です。
発行されている書籍の種類も多く、初心者向けのものも多数出ています。自分の現在の知識レベルに対応しているものを読むことで、確実に必要な情報を得ることができるでしょう。
ただ、読書から知識を得るには多少の時間がかかります。また「おすすめされた本を読んだが、自分には合わなかった」というケースもあります。購入する前には、試し読みをし、イメージに相違がないかを確認するようにしましょう。
新聞は、投資の基礎知識を学ぶ目的というよりも、世の中の流れや企業の業績を知るための情報収集だと考えるべきです。四季報も同じです。
ブログやYouTubeは、気軽に情報収集できるため便利ですが、特定の人物の発言だけを鵜呑みにするのは危険な一面もあることを理解しておきましょう。
株式投資初心者の勉強方法についてよくある質問と回答
ここからは「これから株式投資を始めたい」という人向けに、よくある質問と回答を掲載します。
Q.株式投資初心者の勉強方法は?
A.株式投資初心者の場合、まずは自分の理解度を確認しましょう。用語を学ぶ段階か、具体的に投資について学ぶべきか、レベルにより読むべき本やサイトも異なります。YouTubeも参考になりますよ。
Q.株式投資は何を勉強すればいい?
A.まずは本記事で紹介した順番に知識を増やしていくことをおすすめします。投資の仕組みやメリット・デメリットを理解した上で証券会社や銘柄、投資スタイルを決めていきましょう。
Q.株の勉強は何から始める?
A.いきなりセミナーに参加するのではなく、まずは投資初心者向けの本を読んでみましょう。ブログや動画は、情報が混在しているため、本や雑誌で基本を得た上で、最新の情報を吸収すると理解が深まります。
Q.全くの株初心者です!何の株から始めるべき?
A.最初は、銘柄よりも「少額投資」を意識することが大切です。取引の方法を理解し、投資スタイルを身につけるまでは、大きな勝負はおすすめしません。
まとめ:基本を押さえて株式投資をスタートしよう
円安が進み、自分の資産は自分で守る傾向が強くなっている今日この頃。株式投資に興味を持ち始めた方も多いことでしょう。ただ、投資は勢いで始めるものではありません。今回解説した順番に基づき、着実に知識と情報を手にした上で、始めることをおすすめします。
文・柚月朋子
フリーランスとしての経験やポイント投資からスタートした経験を活かし、年間200本以上の記事を執筆・監修。投資初心者にわかりやすい記事執筆が目標。