投資に興味を持ったものの「手元に多額の資金がない。月5,000円くらいなら投資に回せそうだけど、少額過ぎて意味ない?」と悩んでいる方は、多いものです。実際「少額投資は意味ない」と言う方もいますが、月5,000円から投資することは十分可能です。積立NISAや株など、具体的なシミュレーションと共に解説します。
投資初心者が月5,000円の少額投資で稼げる?
結論から言いますと、月5,000円の投資にも意味はあります!もっと言えば、月1,000円からの投資する方法もあります。「投資資金を貯めてから」「過剰に節約すれば、なんとか毎月1万円」という考えよりも、“余剰資金”で始めるのが正しい投資です。
まずは、自分が無理なく投資できる金額を考えた上で、始めるようにしましょう。
「つみたてNISA」と「iDeCo」の違いを理解しよう
少額投資の基本として、まず理解しておきたいのがiDeCoとつみたてNISAの違いです。
両方同時に始めても構いませんが、iDeCoの場合、最低投資額が5,000円から。つまり、毎月5,000円の予算であれば、両方の投資は難しくなります。
下記に、iDeCoとつみたてNISAの違いについて、まとめてみました。
iDeCo | つみたてNISA | |
条件 | 20〜64歳 国民年金被保険者 | 20歳以上(年齢上限なし) 国内移住者 |
最低投資額 | 毎月5,000円(※) | なし |
目的 | 老後資金(年金) | 教育資金、住宅購入資金など自由 |
引き出し | 原則60歳 | 自由(いつでもOK) |
税優遇 | 運用益が非課税 掛金全額所得控除 受け取り時にも税制優遇あり | 運用益が非課税 |
iDeCoの場合、国民年金の種類により、掛金の限度額が決まっています。例えば自営業者(第1号被保険者)であれば、月額68,000円。専業主婦・専業主夫(第3号被保険者)の場合は、月額23,000円です。
自営業者、フリーランスの場合は、月額68,000円の中に、国民年金基金の掛金、国民年金の付加保険料も含まれるため注意しましょう。
「投資の目的」から選択するのがおすすめ
iDeCoの一番のメリットは「節税に優れていること」。一方、デメリットは、引き出し時期の制限です。基本的に60歳になるまで、引き出すことができないため、途中で「老後資金ではなく、住宅購入資金に変更しよう」といったことはできません。
一方、つみたてNISAは、節税としてはiDeCoと比べて劣るものの、引き出し時期は自由です。投資の目的として「教育資金(大学の入学金など)」「住宅購入の頭金」など、具体的かつ60歳までに使用することがわかっている場合は、つみたてNISAを選んでおくと、安心です。
少額投資は意味ない!?それ、誤解です!
毎月5,000円と聞くと「少ない」と感じるかもしれませんが、そもそも1年で6万円、10年経てば60万円です。投資である以上、元本保証はありませんが、預貯金以上のリターンを出している人が多く存在しています。
それでも「少額投資は意味がない」と述べる人がいる理由について、確認しておきましょう。
そもそも、投資する金額が少なければ、得られるリターンが少ないのは当たり前のことです。だからといって「意味がない」と判断するのは、違うと思いませんか?
投資初心者が、いきなり多額の資金を投資に回しても、コントロールできる可能性は低いです。もちろん本やYouTube、セミナーなど、投資の基本を学ぶ場はたくさんありますが、学んでいる状態と実際に運用するのは、別の話。
少額投資から始め、自分で投資を体験することで理解も深まるというもの。生涯、少額投資を続けることを勧めているわけではありません。少額投資で投資の流れや雰囲気を掴んだ上で、金額を増やすかどうかは、自分次第です。
少額投資おすすめ1:毎月コツコツ!「積立投資」
例えば、毎月5,000円のように一定の金額で投資信託を購入する「積立投資」。
投資信託とは、運用のプロであるファンドマネージャーに資金を託し、代わりに投資・運用してもらった上で、生まれた利益を還元してもらう金融商品のことです。プロにお任せできる安心感があり、分散投資でリスクを減らせるメリットがある一方、プロに運用を依頼する際の手数料(コスト)が発生する点はデメリットといえるでしょう。
また、「プロに任せる=必ず利益が出る」というわけではない点に注意です。元本保証もありません。
ただ、任せると言っても、運用方法などは自分で決めることができます。「インデックス型」であれば、日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)など、特定の指数と同じ値動きをするような設計が行われているため、理解がしやすいでしょう。市場以上のリターンを求めたい人には、リスク・リターン共に増える「アクティブ型」が人気です。
初心者の場合は、つみたてNISAに対応している商品を選ぶことをおすすめします。
少額投資おすすめ2:単元未満株、ミニ株
「手軽かつリーズナブルな価格で、株取引を始めたい!」という方には、「単元未満株」「ミニ株」がおすすめ。
単元未満株の場合は1株から、ミニ株の場合は、10株(1単元の1/10)から買うことが可能です。
全ての証券会社が、ミニ株、単元未満株を取り扱っているわけではない点に注意しましょう。手数料が安価か、NISA口座で買い付けが可能かどうかもチェックしておくべきです。
少額投資おすすめ3:ポイント投資
一部の証券会社では、現金を使わずポイントでの投資が可能になっています。Tポイント、楽天ポイント、LINEポイントなど、日常生活の中で貯めたポイントで投資ができるため、気軽に始めやすい点も特徴です。
ただ、下記のようにポイントと証券会社が紐づいているため、購入したい銘柄の取り扱いの有無と、自分が所有している(貯めやすい)ポイントとが、一致しているとは限りません。
ポイント名 | 使用できる証券会社 |
楽天ポイント | 楽天証券 |
Tポイント | SBI証券 |
LINEポイント | LINE証券 |
例えば、楽天証券・楽天ポイントの組み合わせの場合、投資信託やIPOは可能ですが、ミニ株には対応していません。自分の投資スタンスに対応しているかどうか、あらかじめ確認しておきましょう。
投資初心者が少額投資をする上でのポイント
上記の少額投資を行う上では、あらかじめ押さえておくべきポイントがあります。少額投資は、他の投資に比べローリスクとは言うものの、「なんとなく」で始めるべきものではありません。
下記ポイントを理解した上で、始めていきましょう。
- 長期運用が基本
- 取引手数料に注意
長期運用が基本
「少額投資=長期運用」が基本です。短期で利益を増やそうとすると、ハイリスク・ハイリターンの商品に手を出すことになります。中には成功を収める人もいるわけですが、投資初心者にとっては、かなりリスクが高い行為です。
つみたてNISAのような国が推奨する制度をうまく使うことがポイント。一定期間非課税運用ができるため、利益を確保できるメリットがあります。
取引手数料に注意
「分散投資」は、リスク減少につながる一方、少額かつさまざまな金融商品に投資をする場合、取引手数料が割高になりがちです。必ず利益と手数料のバランスを考えるようにしましょう。
初心者であっても、あらかじめポートフォリオを作成するのがおすすめ。また、購入手数料が不要な投資方法を選択するなどして、できる限り余分な出費を避けましょう。
投資の失敗・リスクを減らすための方法3つ
運用は、余裕資金で行う
投資には、元本保証がありません。また、想定外のことが起きるのが投資でもあります。ここ10数年を振り返ったとしても、リーマン・ショックやコロナ禍、円安など、さまざまな変化が訪れています。
「余裕資金」の考え方は、さまざまですが、「仮に失っても生活に影響しない」程度で考えておくと、一喜一憂することもなくなります。手元の資金をすべてつぎ込んでしまったり、投資のために借金をしたりすることは、絶対に避けてください。
「投資資金」「生活資金」は別だと考える
「余裕資金」に通ずる考え方ですが、投資資金と生活資金は別ものだと考えることが重要です。ここを切り離しておかないと、混乱してしまうことに。
ここで「iDeCoは老後資産のために」と言うのは、どうなのか?との疑問が湧くかもしれません。目標金額を全て投資で用意するのは現実的ではありませんが、預貯金や低リスクの投資、リターンを求めてのチャレンジなど、バランスをとり、分散する方法であれば、話は別です。
リスクを抑える。でも、投資をやめない
投資の話には「元本保証がない」「リスクがある」といった話がつきものですから、「投資をやめよう」と判断する人も出てくるかもしれません。ただ、少し資金を投入し、やめてしまう。また、しばらくしたら投資に興味を持ち、始めてみるといったことを繰り返しても、メリットは得られないでしょう。
投資信託のように長期での運用を視野に入れると、リスクを減らすことができます。ただ、メリットを得るためには、資金を無闇に引き上げず、長い目で見て育てる心が重要です。もちろん銘柄などを吟味し、ポートフォリオを定期的に確認することは大切ですが、同時に、投資を続けるという強い意志も必要です。
投資初心者は少額投資からのスタートがおすすめ
現実的に毎月5,000円の投資予算であれば、つみたてNISAがおすすめです。自分でミニ株や単元株を購入することもできますが、定期的な分散投資・長期投資であれば、ある程度ほったらかしで進めることができるため、初心者にとってもハードルが高くありません。
リスク分散を意識しつつ、自分に合った投資方法を見つけるため、本記事を役立ててみてください。
文・柚月朋子
フリーランスとしての経験やポイント投資からスタートした経験を活かし、年間200本以上の記事を執筆・監修。投資初心者にわかりやすい記事執筆が目標。