これから証券会社選びを始める場合、重視したいのが「使いやすさ」です。メッセージアプリで有名なLINEが設立した「LINE証券」は、LINEアプリからログインし取引ができる気軽さで人気を集める証券会社です。また、取引にLINEポイントが使える点も注目したいポイントといえます。今回は、投資を始めたい方のために、LINE証券の口座開設の方法や特徴、メリットなどについて詳しくご紹介します。
LINE証券とは?
LINE証券は、2018年6月にLINE Financial株式会社(51%)と野村ホールディングス株式会社(49%)が出資し、 設立した比較的新しい証券会社です。ネット証券のため、店舗はありません。取引や手続きの画面には、メッセージアプリの「LINEアプリ」から移動することができます。ほかの証券会社のように専用アプリをダウンロードする必要はありません。
また、取引時の支払いにはLINEポイントやLINE Payが使える点も特徴の一つです。これらのサービスをよく使う方にもおすすめの証券会社といえるでしょう。さらに、情報に関しても、投資初心者向けから上級者向けまで幅広く提供されています。
これから投資を始める場合はもちろん、これから追加で購入する銘柄を探したい、株主優待情報を知りたいなど、さまざまな投資家のニーズに応えてくれる情報ばかりです。投資情報、はLINEアプリやブラウザから閲覧することができます。
LINE証券の口座開設方法
LINE証券の口座開設は、LINEアプリ上から行えます。手順を詳しく確認しましょう。
本人確認書類の準備
まずは、LINE証券に提出する本人確認書類を準備してください。以下の組み合わせからいずれかを提出します。
- マイナンバー通知カード+運転免許証
- マイナンバー個人カード
- マイナンバー入りの住民票写し+運転免許証
- マイナンバー入りの住民票の写し+健康保険証
口座開設時には、マイナンバーを証明できる書類が必須となるため、注意しましょう。パスポートは、本人確認書類として利用できません。また、住民票の写しは発行日から6ヵ月以内のものが必要です。
口座開設ページを開く
LINEアプリで「LINE証券公式アカウント」を検索します。公式アカウント内に「最短3分!無料口座開設」ボタンがありますので、そちらから申込画面に入ってください。パソコンからも申し込み可能です。LINE証券公式サイトで「口座開設(無料)」ボタンを押し、LINE IDとパスワードを入力すると認証コードが表示されます。
表示された認証コードをスマートフォンで入力すると、パソコンでも口座開設画面が開きます。画面上では「LINE FXも一緒に申し込む」という項目にチェックが入っていますので、希望しない場合はチェックを外しましょう。
必要事項の確認
申し込みの必要事項入力ページに入る前に「利用規約に同意」画面が出ます。確認後、「上記の内容を確認し同意する」にチェックを入れ、「OK」ボタンを押し必要事項を確認してください。確認される項目は、次の通りです。
- 申込条件を満たしているか?(18歳以上70歳以下・日本在住など)
- 国籍
- 確定申告について(LINE証券に任せる・自分で確定申告する)
- 配当金の受取方法
- 投資方針(安定運用・積極的運用)
本人情報の入力
以下の本人情報を入力します。
- 氏名
- 生年月日
- 性別
- 住所
- 職業
住所は、マイナンバー個人カードと同じものを入力してください。
携帯電話番号の認証
本人情報を入力すると、携帯電話番号の認証に進みます。携帯電話番号を入力後、SMSで6桁の認証番号が送信されますので、申込画面で入力してください。
本人確認書類の登録と暗証番号設定
本人確認書類を登録します。マイナンバー個人カード、もしくは運転免許証を持っている場合は「かんたん本人確認」が利用可能です。かんたん本人確認では、本人確認書類と顔認証を活用したeKYCを採用しています。そのため、スマートフォンで申込者の顔とマイナンバー個人カード、または運転免許証を撮影しアップロードするだけです。
ただし、マイナンバー個人カードや運転免許証を持っていない場合は、簡易書留受取申請が必要です。本人確認書類提出後、6桁の暗証番号を設定します。
口座開設
申込内容、本人確認書類をもとに審査が行われ、承認されると口座開設完了です。かんたん本人確認の場合、承認の連絡はLINE、その他の場合は郵送はがきで連絡が来ます。なお、かんたん本人確認の場合は最短翌営業日からの取引が可能です。郵送はがきの場合は、口座開設まで通常4営業日ほどかかります。
取引開始
口座開設の完了後、画面上で投資経験の有無を問うアンケートに回答し、入金ができたら取引開始です。入金方法は、次の中から選択できます。
入金方法 | 特徴 |
LINE Payからの入金 | LINE Pay Moneyアカウントが必要 |
LINE Pay登録の銀行口座からの入金 | 手数料不要 |
クイック入金(提携金融機関のインターネットバンキングからの即時入金) | LINE証券での事前手続き不要金融機関でのインターネットバンキング契約必須 |
LINE証券の入金専用口座への振込 | 振込手数料は契約者負担 |
FX口座、各CFD口座からの振替入金 | 振替後、即時反映が可能 |
LINE証券のおすすめポイント
LINE証券の口座開設方法を確認できたところで、おすすめポイントについても見ていきましょう。
LINEアプリから取引が可能
上述したように、LINE証券はLINEアプリから取引可能で専用アプリのダウンロードは必要ありません。そのため、「今以上にアプリを増やしたくない」という方にもおすすめです。画面も見やすく、操作が簡単な点も注目ポイントといえます。また、わざわざパソコンを開かなくても、スマートフォンで申し込み手続きなどが可能です。
さらに、取引もすべてアプリ上で完了できるため、外出先でも場所を気にせず気軽に取引ができます。
LINEポイントやLINE Payが投資に使える
LINE証券では、LINEポイントが「1ポイント=1円」で投資に使えます。LINEポイントは、積立投資にも利用可能です。ショッピングなどでポイントが貯まっている方は、有効活用してはいかがでしょうか。
また、LINE Payも取引に使えます。銀行からの振込入金が難しい場合でも、LINE Payの残高があれば取引は可能です。なお、LINE Payでの入出金は即時反映します。
手数料が業界最低水準
LINE証券は、現物取引手数料の低さも魅力の一つです。ほかのネット証券と比較してみましょう。
※手数料は税込みです。
約定代金 | LINE証券 | M証券会社 |
5万円 | 55円 | 110円 |
10万円 | 99円 | 110円 |
20万円 | 115円 | 198円 |
50万円 | 275円 | 495円 |
100万円 | 535円 | 1,100円 |
150万円 | 640円 | 1,650円 |
3,000万円 | 1,013円 | 3万3,000円 |
3,000万円超 | 1,070円 | 3万3,000円 |
5万円以下の少額投資から数百万円以上の高額投資まで、手数料をかなり低めに設定しています。少額取引をする方だけではなく、毎日頻繁に取引を繰り返す方もいるかもしれません。LINE証券は、あらゆる投資家のニーズに応えてくれる証券会社といえます。
1株から購入可能
「いきなり高額の投資は無理かも」という方のために、LINE証券では単元未満株(いちかぶ)の購入も可能です。1株から購入ができるため、数百円で株主になることもできます。1株から取引できる証券会社はほかにもありますが、一般的に成行注文となるため、約定するまで金額が確認できないことが多い傾向です。
ちなみに、LINE証券の「いちかぶ投資」では、1,000銘柄以上がリアルタイムで取引できます。そのため、「注文を入れたのはいいけれども、その日の取引が終了するまで買値(売値)がわからない」ということはありません。安心して売買ができるでしょう。
投資信託の購入手数料が無料
LINE証券では、投資信託の購入手数料が無料です。最低購入金額は、100円からできるため、投資信託の投資経験がない方でも気軽にチャレンジできます。定期的に購入したい場合は、毎月最低1,000円から積み立ても可能です。積み立てにはLINE PayやLINEポイントも利用できます。
つみたてNISAにも対応
つみたてNISAとは、2018年1月から開始した「長期」「積立」「分散」といった投資を応援する国の非課税制度です。新規投資枠で年間40万円までならば、最長20年間は売却益や分配金が非課税で運用ができます。投資対象は、長期の積み立てや分散投資に適している金融庁が定めた投資信託が対象です。2024年4月7日時点で、つみたてNISA対象銘柄は211本となっています。
LINE証券では、つみたてNISAを毎月1,000円から利用でき、取引手数料は無料です。無理がない金額から低コストで積み立てを始めたい方に向いています。LINEポイントも、つみたてNISAの買付に利用可能です。ただし、つみたてNISAはすべての金融機関で「1人1口座」と決まっています。また、つみたてNISAとNISAのどちらかしか選択できない点も押さえておきましょう。
すでに、ほかの証券会社でつみたてNISA口座やNISA口座を保有している場合は、変更手続きを行わないとLINE証券では利用できません。金融機関を変更する際は、注意点が多いため、慎重に検討することが必要です。
投資情報が充実
LINE証券では、「どの銘柄を購入していいのかわからない」という方のために、「LINE投資部」で投資情報を提供しています。例えば、「高配当利回り銘柄」「好業績予想銘柄」「人気優待銘柄」など、カテゴリーごとに探すことが可能です。その他、ニュースやアナリスト評価までも確認することができます。
また、取扱決定したIPOなどの情報は、LINEのメッセージで届きます。普段よく利用するアプリだからこそ、情報を見逃すことなく情報を手に入れられるでしょう。
お得なセールに注目
株式をお得に取引したい場合は、LINE証券のセールにも要注目です。2024年4月現在は、以下のセールを行っています。
- アフタヌーンセール
対象日のいちかぶ(単元未満株)取引コストが0円になるセールです。対象銘柄は「お気に入り数」や「投票数」で決定します。取引回数の制限はありません。
- アフタヌーンセールEX
対象日の現物取引の取引手数料を後日キャッシュバックするセールです。現物取引対象銘柄がすべて対象です。(規制銘柄は除く)取引回数の制限はありません。
- 決算銘柄ナイトセール
15時以降に決算発表銘柄を当日の終値で購入できるセールです。ひとかぶ(単元未満株)銘柄のうち、決算発表予定銘柄が取引コスト0円で購入可能です。取引回数の制限はありません。
上記のようなセールを使ってお得に株式を手に入れることが可能です。ただし、対象銘柄が決まっているセールがあるため、必ずしも自分の希望する銘柄を買えるわけではありません。また、セール対象銘柄の総量は上限があるため、上限に達した場合、その時点でセール終了になります。
LINE証券で口座開設をする際の注意点
LINE証券の口座開設を検討する方のために、口座開設や取引する際の注意点についてもご紹介します。
お問い合わせ窓口が限られている
LINE証券の取引で疑問が生じた場合に解決する方法は、主に以下の2つです。
・LINE証券サイト上の「ヘルプ・お問い合わせ」で確認
・LINEトークルームのAIチャットで質問
上記で解決できない疑問については、公式サイト内のフォームで質問することができますが、フォームでのお問い合わせの回答も平日9~17時の間と限られています。回答に4~5営業日程度かかる場合があるため、急ぎの場合には不向きです。
なお、LINE証券では店舗がないため、直接担当者に対面で質問ができず、コールセンターも設置されていません。手続きについての質問だけでなく、投資についての相談もできないため、対面したり対話したりしながら手続きや、投資をしたい方は不向きです。
NISAの取り扱いがない
LINE証券では、「つみたてNISA」を取り扱っていますが、「NISA」の取り扱いはありません。NISAとは、一般NISAとも呼ばれ株式などの売却益や配当・分配金にかかる税金が最大5年間、年間120万円まで非課税にできる制度です。一般NISA口座を希望する場合は、ほかの証券会社を探す必要があります。
投資信託の種類が少ない
ほかの証券会社と比較すると非常に少ない点はデメリットです。投資信託やつみたてNISAの取り扱いはあるものの、2024年4月現在で投資信託は33本、つみたてNISA対象銘柄は9本となっています。ただし、数は少ないですが内容は厳選した銘柄を扱っているため、「多くの種類の中から選ぶのは面倒」「どの投資信託がいいのか見極めができない」という方にとっては、メリットです。
外国株式の取り扱いがない
日本株だけではなく、外国株への投資にもチャレンジしたい方もいるかもしれませんが、LINE証券では外国株式の取り扱いがないため、注意が必要です。ただ、外国株が組み込まれた投資信託の取り扱いはあるため、気になる方はそちらをチェックしてみてはいかがでしょうか。
LINE証券の口座開設は簡単!気軽にチャレンジしてみよう
LINE証券は、LINEアプリを使って手軽に少額から投資ができるネット証券会社です。口座開設の方法も非常に分かりやすく、マイナンバー個人カードや運転免許証を保有していれば、スマートフォンで申込者の顔写真と本人確認書類を撮影し、アップロードするだけの「かんたん本人確認」が利用できます。
かんたん本人確認を利用すると、最短翌営業日から取引ができますので、すぐに口座開設したい方はぜひ利用しましょう。また、LINE証券では単元未満株や投資信託など、数百円からの投資も可能です。買付時には、LINEポイントを使うこともできますので、ポイントの使い道として投資にチャレンジしてみるのもおすすめです。LINEポイントは、積立投資にも利用できます。
ただし、LINE証券には「投資信託の取扱数が少ない」「外国株の取り扱いがない」という注意点もあります。また、ネット証券のため、お問い合わせはAIチャット、フォームでの受付となっており、コールセンターは設置されていません。そのため、「相談しながら投資をしたい」という方には、不向きな面もあるため、メリット・デメリットをよく確認したうえで口座開設しましょう。
文・田尻宏子