「つみたてNISA」は、超低金利時代において少しでもお金を増やすために利用したい制度の一つです。譲渡益や分配金にかかる税金が非課税となる制度ですが、どのような投資のときに利用できるのでしょうか。
この記事では、つみたてNISAの特徴やメリット・デメリット、さらにこれからつみたてNISAを始める人向けに、会社の選び方について解説します。
譲渡益・分配金が非課税になる「つみたてNISA」
つみたてNISAとは、少額投資を応援するための制度です。具体的には、「長期」「積立」「分散」といった投資を行う際、生じる譲渡益や分配金が非課税となります。利用できる人や、非課税投資枠などに制限があるため、以下の表で確認してみましょう。
利用できる人 | 日本在住の20歳以上(※)の人 ※口座を開設する年の1月1日現在 |
口座開設可能数 | 1人1口座 |
非課税期間 | 最長20年 |
非課税投資枠 | 新規投資枠で毎年40万円(最大800万円) |
非課税対象 | 一定の投資信託から得られる譲渡益・分配金 |
投資対象商品 | 一定の投資信託(長期の積立・分散投資に適したもの) |
つみたてNISAを利用して投資できるのは、金融庁が選定した長期の積立・分散投資に適したものに限られます。金融庁の公式サイトに記載されている2024年2月9日時点の対象商品は、221本です。
ただし、株式投資では、利用できません。株式投資の利益を非課税にしたい場合は、「NISA」を利用しましょう。
非課税期間は、最長20年間となるため、値上がり益を積極的に狙っていくタイプよりも長期間投資して、じっくりとお金を増やしていきたい方に向いています。
つみたてNISAのメリット4つ
つみたてNISAの主なメリットは、以下の4つです。
少額から始められる
つみたてNISAは、定期的に同額を積立投資する制度です。いきなり大金を投資するのではなく、例えば毎月5,000円、1万円など無理のない範囲から始めることができます。金融機関によっても異なりますが、毎月数百円から積み立てができる場合もあるため、少しずついろいろな投資信託を購入することも可能です。
長期間の投資が可能
つみたてNISAは、20年間積み立てができます。短期間の値上がりを狙って売買するタイプの投資ではないため、今まで預貯金のみでお金を運用していた方でも投資を始めるきっかけとなる金融商品です。「売買タイミングにとらわれず、じっくりとお金を増やしたい」という方に向いた投資方法といえるでしょう。
積み立てのため、平均購入単価を下げることができる
投資は、安く買って高く売るのが基本です。しかし、いつが売買のベストタイミングなのかを見極めるのは難しく、場合によっては大きな損失を出してしまう可能性もあります。つみたてNISAは、一般的な投資と異なり、定期的に同じ金額を同じ金融商品(投資信託)に投資する積立方式です。
そのため、購入商品の価格が低いときは多く購入、高いときは少なめに購入することになります。この購入方法は、ドルコスト平均法と呼ばれ、継続して投資を続けていくと、平均購入単価を下げることができ、少しの値上がりでも利益を得やすくなる点がメリットです。
いつでも売却できる
つみたてNISAは、20年間投資を続けることができますが、積み立てしている投資信託は、いつでも売却可能です。利益が出れば売却し、売却益を得ることができます。
つみたてNISAのデメリット4つ
つみたてNISAには、以下のような4つのデメリットもあるため、そちらも確認しておきましょう。
投資商品が限られている
つみたてNISAの投資対象は、長期・積立・分散に適した金融庁で選定された一定の投資信託です。そのため、上述したようにすべての投資信託が購入できるわけではありません。また、株式投資で利用できない点をデメリットに感じる人も多いでしょう。
一般NISAであれば株式投資ができますが、一般NISAとつみたてNISAは併用ができないため、注意が必要です。
取扱商品が証券会社ごとに異なる
上場している株式は、どの証券会社でも購入できますが、投資信託は証券会社ごとに取扱商品本数が異なります。これは、つみたてNISAでも同様です。せっかく証券会社で口座開設しても、その証券会社に購入したい投資信託がない可能性もあります。
1人1口座しか持てない。NISAとの併用ができない
つみたてNISAの口座は、すべての金融機関の中で1人1口座に限られています。上述した通り、取扱商品は証券会社ごとに異なるため、どの会社で口座開設するかは慎重に検討しましょう。また、つみたてNISAは株式などの譲渡益・配当金にかかる税金が非課税になる「NISA」との併用ができません。そのため、どちらか一方を選ぶことになります。
元本割れすることもある
つみたてNISAで投資する投資信託は、元本が保証された金融商品ではありません。そのため、基準価額が購入時よりも下がった場合は、元本割れの可能性があることも忘れないようにしましょう。
つみたてNISAにおすすめの証券会社
つみたてNISAを始めるのにおすすめの証券会社を3社ご紹介します。
- SBI証券
- 楽天証券
- マネックス証券
SBI証券
SBI証券のつみたてNISAの特徴は次の通りです。
・取扱商品数が多い
SBI証券のつみたてNISAは、取扱商品数が175件(2024年8月15日現在)あります。「リスクの少ない商品でコツコツと積み立てたい」「リスクが高くてもいいから値上がり益を狙いたい」など、さまざまなニーズに応えてくれる商品がそろっています。
・100円から積み立てがスタートできる
SBI証券のつみたてNISAは、100円からスタートできます。そのため、「今は投資に回すお金に余裕がない」という人でも気軽に始められるのがポイントです。また、「少額ずつ多くの種類の投資信託に投資したい」という人にも向いています。
・積立コースが選択できる
SBI証券では、積立コースを「毎月」「毎週」「毎日」の3コースから選択できます。自分のペースで続けましょう。
・クレカで投資可能
三井住友カードを持っている方であれば、クレカ決済で投信積立ができます。クレカのポイントも貯まるため、大変お得です。ただし、クレカ決済の場合は、積立コースが「毎月」コースのみとなる点は注意しておきましょう。
このように、SBI証券は「数多くの商品から選びたい」「自分のペースで積立をしたい」という方におすすめです。
楽天証券
楽天証券のつみたてNISAの特徴をご紹介します。
・楽天カードで決済可能
つみたてNISAでの毎月の積み立てを楽天カードで支払うことができます。100円につき1ポイントの楽天ポイントも付与され、貯めたポイントは積み立ての決済に使うだけでなく、ショッピングにも利用可能です。
・「かんたん診断」で自分にピッタリの投資信託が選べる
楽天証券のつみたてNISAでは、177銘柄(2024年8月15日現在)から選んで投資できます。ただ、「何を選んだらいいのか分からない」という場合も多いのではないでしょうか。楽天証券では、投資商品に迷う方のために「かんたん診断」で簡単に投資を始められるシステムがあります。
年齢や投資に対しての考え方、性格に関する質問に回答するだけでおすすめの投資コースが表示されるというものです。おすすめの投資コースは、以下の5種類です。
- のんびり資産形成コース
- じっくり資産形成コース
- なかなか資産形成コース
- しっかり資産形成コース
- がっちり資産形成コース
また、投資金額と期間を入力すれば、将来のシミュレーションも表示可能です。
・毎日積立コースも選択可能
楽天証券では、毎月積立以外に毎日積立も選択できます。毎月積立の場合は、上限3万3,333円、毎日積立の場合の上限は40万円÷その年の営業日数で算出した金額です。例えば、毎日コーヒーを買っていたお金で投資を続ける方法もあります。自分に合った投資方法を考えてみましょう。
マネックス証券
マネックス証券のつみたてNISAの特徴を見ていきましょう。
・投資信託保有残高に応じてマネックスポイントが貯まる
マネックス証券では、投資信託保有残高に応じてポイントが付与されます。付与率は、以下の通りです。
- 通常銘柄:年0.08%
- マネックス証券指定銘柄:年0.03%
※ポイントが付与されない銘柄もあります。
つみたてNISAで投資した投資信託でも、残高に応じてポイントがもらえます。貯めたポイントの使い方も確認しておきましょう。
1.株式手数料・暗号資産に交換 | 1マネックスポイント=1円で交換が可能 |
2.他のポイントサービスに交換 | dポイントやAmazonギフト券、Tポイント、Pontaなどへの交換が可能 |
3.寄付する | 1マネックスポイント=1円として、日本赤十字社などに寄付ができる |
・引落手数料無料
マネックス証券では、「定期自動入金サービス」が利用できます。月1回、契約者が指定した金融機関から指定金額を引き落とし、マネックス証券の口座に自動入金するサービスです。定期自動入金サービスでは、引落手数料が無料となっています。毎月の積立時に証券口座への入金を忘れそうな方は、ぜひ活用しましょう。
つみたてNISAはメリット多し!証券会社はよく見比べて選ぼう!
つみたてNISAは、最長20年間もの長期にわたり、譲渡益、分配金が非課税で投資できる大変にお得な制度です。投資できる商品は、「長期」「積立」「分散」に向いている投資信託に限られているため、「これから投資を始めたい」「将来のための資金作りをしたい」といった方にもおすすめの投資といえます。
ただし、取扱商品は証券会社ごとに異なるため、利用する証券会社を選ぶ際は、取扱商品や使い勝手などを十分に比較したうえで慎重に選びましょう。