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不動産投資初心者が失敗する理由は?始め方と押さえるべきノウハウ全公開

不動産投資初心者が成功するためには、一体何から始めればいいのでしょうか。失敗を最小限にするためにも、先人の失敗事例をもとに対策を煉り、自分の目的に合った方法を選ぶことが重要です。本記事では始め方やメリット・デメリット、よくある質問についてわかりやすく解説します。

不動産投資初心者が陥りがちな失敗

そもそも不動産投資の失敗とは、目の前の短期的な赤字ではありません。トータル、最終売却時にプラスであれば「成功」、マイナスであれば「失敗」です。

上記の考え方を踏まえた上で、不動産投資の失敗事例&失敗を防ぐためのアドバイスを解説します。

失敗1:不動産会社の言葉を鵜呑みにして自分で調べなかった

不動産投資をするにあたって何より重要なのは、正しい情報収集です。「不動産会社から勧められた」「営業マンが、今始めないと損をすると言ってきた」などの理由で投資を始めようとするなら、失敗する可能性は高いでしょう。

不動産業者や営業マンが必ずしも全ての真実を話しているとは限りません。わざとマイナス要素を言わないケースも考えられます。疑問や不明点については、担当者に質問するだけでなく、自ら納得できるまで調べることが大切です。

失敗2:投資目的と物件が合っていなかった

不動産投資の場合、目的に応じた物件選びが重要です。例えば、家賃収入でリタイアやセミリタイアを目指す人、老後の収入源として年金+αを想定している人、節税を目的とした人など各ケースによって、適切な物件は異なります。

不動産は、他の投資と異なり流動性が低いです。「ダメならすぐに次」というわけにはいきません。稼働率が下がり、空室が増えてしまうことで、返済計画に大きな影響を与えてしまうでしょう。ゴールを設定した上での投資が必要です。

失敗3:物件のメンテナンスを怠ってしまった

不動産投資と株式投資の大きな違いは、自分で関与できる部分がある点です。入居率が下がった場合に家賃をどうするか、経年劣化によるリフォームをどこまで行うかといった部分は、管理会社だけに任せるのではなく自分で判断すべき点でしょう。

物件購入をゴールと捉え安心し、あとは放置してしまうような考え方の方は、不動産投資には向いていません。

不動産投資の始め方

失敗リスクを減らすための基本を押さえたところで、次は、不動産投資の始め方について解説します。ただしやみくもに情報収集をしても、理解し使いこなせなければ意味はありません。

まずやるべきことは、情報収集です。次の順番に進めることで理解を深めやすくなります。

  1. 不動産ポータルサイトにて物件の内容や相場を知る
  2. 書籍にて不動産投資の基本となる知識を得る
  3. 自分がイメージする投資物件セミナーに参加しイメージを掴む

情報収集と同時進行でやるべきことは、投資資金の確保です。「自己資金ゼロでも、不動産投資は可能」といった煽り文句もありますが、最低でも物件価格の3割は持っておきたいところです。

次に、複数の不動産会社に問い合わせを行い、具体的な物件紹介、現地見学へと進みます。収支シミュレーションをする場合は、必ず売却時までイメージすることが大切です。物件所有時は黒字だとしても、売却時に大きくマイナスが出るような物件は、投資に向いていません。

良いと思う物件に出会ったら、いよいよ契約です。契約時点で注意すべき点は、必ずローン特約をつけること。ローン契約とは、当初の融資条件に満たない場合は、無条件で契約を解除できるというもので買主のリスクを大幅に軽減してくれます。

うっかりつけ忘れてしまうと、融資がおりない状況でも、契約が続行となるため、契約不履行による損害賠償請求の可能性が出てしまいます。

融資が降りれば決済、引き渡しと進み、いよいよ投資家としての一歩が始まります。

不動産投資の5つのメリット

不動産投資のメリットは、全部で5つあります。

  1. 投資のために金融機関からの借入が可能
  2. 家賃により安定した収入が見込める
  3. 初期費用を経費として申告できるため、節税になる
  4. 不動産価格は物価と共にスライドするためインフレ対策になる
  5. 「団体信用保険」は生命保険代わりになる

株式投資やFXと不動産投資の特徴的な大きな違いは、投資のために金融機関からの借入ができる点です。ローン審査はありますが、自己資金以上の投資が可能な点はメリットと言えるでしょう。

家賃は、株価などと比べた場合、かなり安定度の高い収入です。最初の物件選びや家賃設定等を間違えないことが重要ではありますが、自分の裁量で決められる部分が多く、収入を計算しやすい点にも注目です。

不動産を購入する際には「不動産取得税」がかかることに加え、名義変更による登記費用も発生するなど、物件そのもの以外にもさまざまな経費が発生します。しかし、これらは経費として申告ができる上、赤字は給与所得と相殺することが可能です。給与所得の額にもよりますが、納める税金が減る可能性があります。

そしてインフレへの対応力です。インフレは物価が上がり貨幣価値が下がる現象のため、現金での預貯金では対応しきれません。しかし、不動産の価値は物価上昇と同時に上がるため、インフレリスクに強いと考えられます。

最後は「団体信用保険」の活用です。団体信用保険(団信)とは、ローン契約者が死亡した場合や高度障害が残った場合、ローン残高を肩代わりしてくれる保険のことです。残された家族への金銭的負担を減らすために役立つ制度であり、生命保険代わりとして活用することができます。

不動産投資の4つのデメリット

複数のメリットをあげましたが、もちろん不動産投資によるデメリットも存在します。

  1. 空室リスク
  2. 流動性が低い
  3. 天災リスク
  4. 物件価値の下落リスク

最もイメージしやすいデメリットは、入居者が決まらないことによる空室リスクでしょう。空室の状態では家賃収入も途絶えてしまうため、予定通りの利回りが発生しません。空室が発生しにくい条件の良い物件は利回りが低めです。

また、周辺の物件よりも家賃を下げたりリノベーションで特徴を出したりするなど魅力を高めることも可能ですが、家賃を下げると利回りが低下し、リノベーションには多額の資金が必要となります。

株式投資と比べると、不動産の売買には時間も手間もかかります。株式投資であれば口座開設から購入、売買がスムーズに行われ、特定口座であれば税金の計算も自動的にしてもらえます。事務作業はほとんどありません。しかし、不動産投資に関しては、契約、移転登記、毎年の確定申告などさまざまな手続きや事務作業が発生します。

地震や火災、水害などさまざまな天災によるリスクも、不動産投資にはつきものです。物件に被害が出ることで、修繕が必要になることや空室リスクが高まることも想定されます。

最後は、物件価値の下落です。例えば人口減少エリアであれば、物件ニーズは年々減少するでしょう。工場や大学の近くのマンションやアパートの場合、閉鎖や移転リスクがつきまといます。もちろん、人口増加エリアや今後の発展が見込まれるケースであれば、物件価値が上昇する可能性もあります。

よくある質問と回答

Q.不動産の「利回り」って何?計算式は?

A.投資した金額から得られる「見込み収益の割合」です。不動産投資の場合は「表面利回り」「実質利回り」の2種類があり、計算式は次のとおりです。

表面利回り=年間家賃収入÷物件購入価格×100

実質利回り=(年間家賃収入-年間経費)÷物件購入価格×100

表面利回りは満室を想定した収益であり、経費は含まれていません。実質利回りは、経費が含まれていますが、毎年かかる経費は異なる点にも注意が必要です。

Q.シミュレーションで利回りが高い物件を選ぶべき?

利回りが高い=よい物件とは限りません。基本的にサイトに掲載されているのは、表面利回りです。住みたいと思われなければ想定通りの利回りにはなりません。実質利回りや建物の状況、競合物件の数や質なども含め総合的に選ぶことがポイントです。

Q.不動産投資を成功させるコツは?

投資家自身が勉強し、知識を持った上で始めることだと思います。業者に言われるがままに行動するのではなく、段階を踏み勉強した上で判断力を身につけること。これが成功のコツだと考えます。

まとめ:情報収集と判断が重要

不動産投資の失敗例や、具体的な始め方、メリット・デメリットについて解説しました。投資方法は不動産だけではありませんし「不動産投資はやめとけ」という人がいることも理解できます。

大切なことは、自ら情報収集し、判断した上で投資を始めること。デメリットに関してもあらかじめ対策をしておくことが重要です。将来や老後に備え、目の前の利益だけでなく長期的な資産価値についても考えていきましょう。

文・柚月朋子

フリーランスとしての経験やポイント投資からスタートした経験を活かし、年間200本以上の記事を執筆・監修。投資初心者にわかりやすい記事執筆が目標。