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我が家にルンバがやって来た!

掃除機ロボットの「ルンバ」を知らない人はいないでしょう。今年(2024年)は2002年の発売からちょうど20年。この夏はアマゾンが製造元のアイロボット・コーポレーション(iRobot Coeporation)の買収を発表したことでも話題となりました。主婦の味方であるルンバは、自宅を仕事場としているフリーランス、個人事業主にとっても労働時間を創出してくれる心強い援軍です。「今週、ルンバが届いたばかり」の筆者がファーストインプレッションをお届けします。

ルンバって何?

ルンバとは、人工知能搭載のロボット掃除機のこと。アメリカのアイロボット社が開発し、現在の世界シェアは1位。アメリカでは約90%、日本でも約60%のシェアを誇っています。種類、価格は性能によって分かれます。ここでは公式サイトで紹介されている最新モデルを並べてみました。

  • Roomba i2:賢く清掃し、毎日の掃除機がけから解放。性能と価格のベストバランスを実現したシンプルモデル。39,800円(税込)
  • Roomba i3+/i3:規則正しい動きで効率的に清掃しゴミ捨てまで全自動。インテリアに馴染むデザインのスタンダードモデル。49,800円~(税込)
  • Roomba j7+/j7:散らかったままの部屋も障害物を認識して回避しながら確実に清掃。最新のロボット技術を駆使して誕生したハイスペックモデル。99,800円~(税込)
  • Roomba s9+:まったく新しいデザインに画期的なテクノロジーを搭載。部屋の隅や壁際の隙間にもアプローチして家全体を徹底的にキレイにします。186,700円(税込)

    ※以上、アイロボット公式サイトより。

最新モデルは大きく分けると4タイプ。価格は約4万円~19万円。吸引力などの性能は、もちろん上位機種になればなるほど高く、さまざまな機能も付加されます。他にもルンバは旧モデル含めて10機種以上が購入可能となっています。

デビューから20年。すでに使っているという人も多いルンバ。そのルンバが、この夏、遅ればせながら筆者の家にもやって来ました。

ルンバはエントリーモデルでも十分?

今回、我が家で購入したのは2020年2月に発売されたエントリーモデルの「Roomba 671」です。購入の理由は、もちろん前々から検討していたというのもありますが、直接のきっかけは「安かった」からです。 通常は3万数千円するものが、楽天市場で約2万6000円で売られているのを発見して即買いしたのです。エントリーモデルとはいえ、なかなかこの価格でルンバは買えません。

そして家に届いたルンバ。正直、箱を開けて動かすまでは疑心暗鬼でした。

「安くて買ったけど、どうせエントリーモデルだし、たいしたことはないだろう」というのが本音。比較サイトなどを見ると、「ルンバは性能のいい上位機種を買った方がお得」といった意見が多いし、あまり期待はしていませんでした。

ところがどっこい、稼働させてみた「ルンバ」は感動ものでした。

この種のロボット掃除機が床をあっちこっちと動きまわって掃除をする、というのは知っていました。知っているから驚くことはない。と思っていたのですが、いざ目の前で動き出したルンバを見ると、突如として予期しなかった思いが胸のなかに湧き起こったのです。

「か、かわいい!」

はじめての部屋を、手探りで動き始めたルンバ。しかもただ動いているのではなく、床を掃除しているのです。ちっちゃなボディで、ウインウインと音を立てて動くルンバ。その音も通常の掃除機に比べると圧倒的に静粛で気になりません。ときどき、椅子の脚などにごつんと当たるけれど、めげずに空いているスペースをさがして入り込んでいく様は勤勉なアリさんのようです。

そして肝心のお掃除はというと、もちろんちゃんとやってくれています。一目で床がきれいになっていくのがわかります。

これくらいかな、というところで自分からバッテリー充電器に戻るところもお利口さんです。

驚いた飼い犬が「ワンワン!(なんだこいつは!)」と吠えましたが、「うるさい! お前なんかよりこいつの方がずっと役に立っているぞ」と一喝です。

素晴らしいぞルンバ。妻とふたり、「もっと早く買えばよかったね」と、これまで購入に踏み切れなかった自分たちの優柔不断さを悔いたほどでした。

もちろん、これから使っていくうちにいろいろと不満は出てくるでしょう。しかし、ファーストインプレッションとしては満点以上でした。

結論としてわかったのは「ルンバはエントリーモデルでも十分感動を与えてくれる」というもの。ルンバには「性能」以上に「感動」があったのです。

ルンバは収入アップに役立つ?

それにしても、このルンバに対して抱く「かわいい」という気持ちはなんなのでしょう。試しにネットで「ルンバ かわいい」で検索をかけてみました。すると、出てくる出てくる。同じようにルンバをかわいいと感じる人が相当数いることがわかりました。なかにはルンバを溺愛する「愛ルンバ家」なる人々もいるようです。

誰もに共通しているのは、部屋を動き回るルンバに「健気さ」や「ひたむきさ」を感じているということ。不規則な運動や、ちょっと戸惑ったような動きが、機械であるのにまるで生き物のように見えているらしいのです。だから、「えらいね」「がんばったね」と、つい声をかけて褒めてあげたくなってしまうというのです。その気持ち、わかります。我が家でも使用1日目から家族が増えたような気分でした。大袈裟? いやいや、本当にそうなのです。名前も「ルンちゃん」に決定です。

さて、少し冷静になって考えてみます。ルンバに2万6000円の価値はあるのでしょうか。答はもちろん「Yes」です。それどころか、個人的にはその10倍以上の価値があると感じています。

自宅を仕事場としているフリーランスにとって、掃除や洗濯といった家事は常に隣り合わせにあって、「やって」「やって」とプレッシャーをかけてくるものです。1日のなかでそこに割く時間はけっして少なくはなく、そのたびに「もっと時間があれば」という思いに駆られます。本当に多忙なときなどは手をつけることすらできないけれど、心の隅には「やらなくちゃ」という思いが常にあって、これがけっこうなストレスになります。

例えば、掃除、洗濯等に1時間、急いでやっても30分かかるとして、もしその時間を仕事に当てたらいくらになるか。筆者の仕事(ライティング)は単純に時給計算できるようなものではありませんが、かりに3000円/時だとしたら、1時間の場合は1日3000円、30分でも1日1500円分の収入を掃除や洗濯のために失っているということになります。時給2000円だとしても、1日あたり1000円~2000円分の時間を損失している計算です。

この状況を打破するには、工夫と効率化しかありません。筆者が以前からやっている工夫は、洗濯や掃除機を「息抜き」とすること。1日中、机やパソコンに向かっていると、少しそこから離れたり、体を動かす時間がほしくなります。そんなときは洗濯や掃除をすればいいという一石二鳥作戦です。

もっとも、掃除はけっこう体力を使うもの。夏などは汗をかきながらの作業となります。休むつもりが仕事に向けるべきエネルギーを使い果たしていた、などということになりかねません。

もうひとつの効率化はイコール「自動化」です。洗濯は電気代がかかるけれど乾燥まで機械に任せる。そして掃除はできるだけルンバにお任せ。これでかなりの時間節約になります。節約してできた時間は仕事に当てる。そうすれば仕事量が増える。文筆業者にとって「仕事量が増える」はそのまま「収入が増える」につながります。そう考えると2万6000円など安いものです。

この先、ルンバがどれだけ時間を自分にくれるか。それを考えるととても楽しみです。

ルンバの思わぬ効用

他にも、ルンバには想像外の効用がありました。

部屋が整頓されるのです。よく「ルンバブル」という言葉を耳にします。ルンバブルとは床に物が少なく、ルンバが動きやすい状態を指します。我が家の場合、長い間、ルンバに興味がありながら購入に踏み切れなかったのは、単純な話、部屋が「ルンバブル」でなかったからでした。

幼い子供がいるせいもあって、リビングなどはいつも物が散乱。玄関ホールなどは宅配便で届いた荷物などで床がふさがっていることもしばしば。これではルンバを買っても活躍できないのでは? そんな思いから導入できずにいたのです。

が、買ってみてわかりました。わずか2日たらずですが、ルンバが動くことによって床の上がすっきりし始めたのです。

というのも、ごちゃごちゃしているとルンバが動きにくいから、すっきりさせざるを得なくなったのです。

「ルンバブルな部屋」はルンバを買う前に実現するのが理想かもしれないけれど、購入後でも間に合う。むしろ購入してからの方が、実際のルンバの動きを見ることで部屋をどうすればいいのかがわかるぶんつくりやすいかもしれません。

一生懸命働くルンバを見ていると、少しでも動きやすくしてあげたいというのが親心。そういうわけで、ルンバには「ルンバのために部屋をすきっとさせる」という不思議な力があるのでした。

まだオーナーになりたての初心者ですが、自信を持ってルンバを勧めたいと思います。

文・中野渡淳一

文筆業者。著書に『怪しいガイドブック~トラベルライター世界あちこち沈没記』『漫画家誕生 169人の漫画道』。この他「仲野ワタリ」名義で『海の上の美容室』「猫の神さま」シリーズ等小説作品多数。『moneyscience』では生活者目線で最新トレンドの記事を中心に執筆。