ビットコインや仮想通貨をそのまま使用する機会はまだ少ないもの。しかし仮想通貨の日本円への現金化は方法やタイミングを間違えると、大損してしまう可能性が!本記事では仮想通貨現金化の方法とタイミングを解説します。
仮想通貨を現金化する前に知っておきたい注意点
「仮想通貨を現金化したら税金を払わないとダメ?」「現金化しないと税金は不要?」とさまざまな意見が出ている仮想通貨と税金の関係。まず、現金化した・していないに関わらず、多額の納税義務が発生する可能性があります!
その事態を防ぐため、まず、利益と税金の関係について学んでおきましょう!
仮想通貨は雑所得扱い
仮想通貨で得た利益は「雑所得」の区分に入ります。所得が増えれば増えるほど、税率も高くなる仕組みのため、所得税+住民税=最大55%になる可能性が!
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
つまり現金化のタイミングを誤ってしまうと、想定以上の納税が発生することがあります。
日本円への換金タイミング以外にも税金が発生!
「日本円に換金(現金化)しなければ、税金はかからない」という声がありますが、実はこれは大きな間違いです。
次のケースでは、課税の対象となります。
- 仮想通貨を売却し日本円に変えて利益が出たケース
- 仮想通貨を別の仮想通貨に交換して利益が出たケース
- 仮想通貨で物を購入したケース(購入時点よりも仮想通貨が値上がりしたケース)
- マイニングで利益が出たケース
- ICOで利益が出たケース
購入し保有している段階では、いくら利益が出ていたとしても課税対象にはなりません。これを「含み益」と言います。
仮想通貨(ビットコイン)を現金化する方法
仮想通貨の現金化の問題点を軽く理解したところで、次は具体的な換金方法について開設します。
現金化の方法は主に次の4つです。
- 仮想通貨販売所
- 仮想通貨取引所
- ビットコインATM
- 直接取引
一般的な仮想通貨取引所には「販売所形式」「取引所形式」の2種類の売買方法があります。ただし、「DMM Bitcoin」のように販売所形式のみのケースもあるため注意しましょう。
販売所形式 | 取引所形式 |
・業者と取引 ・常時取引可能 ・スプレッド(売却価格と購入価格の差額)が実質の手数料 | ・他のユーザーと取引 ・取引所が取引を仲介 ・販売所より手数料が安価 ・売買希望者がいなければ成立しない |
仮想通貨「販売所形式」で換金
販売所は、実質手数料であるスプレッドが発生するため、取引所形式よりもコストがかかります。一方、売りたいのに相手がいないといったことは起こらないため、自分の好きなタイミングで約定できます。
また販売所形式は画面もシンプルでわかりやすいため、初心者のうちは販売所形式を利用することでミスを防げるでしょう。
ビットコインを販売所形式で売却する方法
売却したい仮想通貨、使用する販売所により多少手順は異なります。ここではビットコイン売却時の流れを簡単に説明します。
- 「販売所」→「BTC/JPY」を選択
- ビットコインの販売画面が表示されていることを確認
- 売り価格が表示
- 数値を入力
- 売却内容の最終画面(数量・金額)を確認
- 売却確定をクリック
- 売却完了
仮想通貨「取引所形式」で換金
取引所形式のメリット・デメリットは、販売所形式の逆です。手数料が安価かつスプレッドが存在しない一方、希望価格での買い手が見つからない場合、売却はできません。また、仮想通貨によっては、販売所形式でのみ売買が可能なケースもあります。この辺りは、取引前に事前に確認しておきましょう。
ビットコインを取引所形式で売却する方法
- 「取引所」を選択
- 「指値」→「売り」を選択
- 「指値価格」と「数量」を入力し注文
- 注文終了後、板上部に発注されたことが表示
- 自分の注文が、チャートと注文一覧に表示
※成行注文の場合
価格を指定せずに売却する方法です。成行売り注文の場合、同じタイミングで最も高い買い注文を出していた人と売買が成立します。
仮想通貨取引所から「出金」する方法
最後は「出金」方法です。あらかじめ銀行口座の登録が必要です。
- 入出金メニューから「日本円」「出金」を選択
- 銀行口座を選択
- 出金数量を入力
- 出金内容を確認し、問題なければ出金を確定
- 出金完了
出金には各仮想通貨取引所が定めた出金手数料が必要です。同じ出金金額でも、登録銀行口座により手数料が異なることがあるため、あらかじめ確認しておきましょう。
例)ビットフライヤーの日本円出金手数料
3 万円未満 | 3 万円以上 | |
三井住友銀行の口座 | 220 円 | 440 円 |
三井住友銀行以外の銀行口座 | 550 円 | 770 円 |
「ビットコインATM」での換金
最後に紹介するのは「ビットコインATM」を使った換金方法です。ただ、残念ながら2024年3月時点、日本国内ではビットコインATMがありません。
Coin ATM Radarのサイトでは、ビットコインATMの設置場所を調べることができます。別途手数料は必要ですが、海外でも外貨両替の手間が不要になるため、利便性が高いです。
ビットコインATMの利用手順は、次のとおりです。ATM機種により多少手続き方法は異なりますので、大まかな流れとして参考にしてください。
- 個人認証(SMS、メール、指紋認証など)
- 金額(日本円)を入力
- モバイルウォレットを使用しATMのQRコード化されたアドレスを読み取る
- 画面にビットコインの数量が表示
- 送金処理
- 日本円を受け取る
直接取引
ビットコインを持っている人、ビットコインを購入したい人、お互いがウォレットを持っている場合、ビットコインを直接取引することでの現金化が可能です。
【直接取引の方法】
- ビットコイン購入希望者を見つける
- 自分のビットコインを相手に送金する
- 相手から自分の銀行口座に日本円で振り込んでもらう
シンプルでわかりやすい方法ですが、仮想通貨の直接取引による現金化は、詐欺のリスクがあります。
「ビットコインを送金したのに現金が振り込まれない」といった声のほか「ビットコインが購入できると聞いたので先に現金を振り込んだのに音信不通になった」といった声も。
絶対的に信頼のおける相手であれば、また別かもしれません。しかし基本的に仮想通貨の現金化の場合、直接取引はおすすめしません。数%の手数料を節約し、全額損をしてしまっては意味がありませんよね。取引所に支払う手数料は、安心代だと思うようにしましょう。
仮想通貨を換金・現金化するための注意事項
少しでも損をせずに仮想通貨を換金するためのポイントを紹介します。
手数料をチェック
仮想通貨を換金する際には、さまざまな手数料が発生します。
- 取引所の手数料
- 販売所の手数料
- 出金手数料
- 販売所のスプレッド
取引所の手数料、販売所の手数料、出金手数料を一覧にまとめてみました。
取引所 | 販売所手数料 | 取引所手数料 | 出金手数料 |
コインチェック | 無料 | 無料 | 407円 |
ビットフライヤー | 無料 | 0.01〜0.15% | 220~770円 |
DMM Bitcoin | 無料(※) | 無料 | 無料 |
BITOPOINT | 無料 | 無料 | 無料 |
GMOコイン | 無料 | Maker:-0.01% Taker:0.05% | 無料 |
bitbank | 無料 | Maker:-0.02% Taker:0.12% | 550円(3万未満) 770円(3万以上) |
※「BitMatch注文」の場合、取引単位あたり2円(BTC/JPY)が必要
取引所によりかなり差があることがおわかりいただけるはずです。
売値と買値の差であるスプレッドも「最安値の取引所を選びたい」と思うかもしれません。しかし、仮想通貨の場合、もともとボラティリティが高く、スプレッドも常に変動しています。bitFlyer は、比較的スプレッドが狭いと言われていますが、スプレッドだけで判断することは難しいでしょう。
販売所形式ではなく取引所形式に慣れていくことで、手数料を下げることをおすすめします。
取引所ごとの価格をチェック
株式投資の場合、どの証券会社で購入・売却しても、価格は一定です。しかし、仮想通貨の場合、取引所によって価格が変動します。その理由として、取引所単位で売買が成立していること、取引所ごとに購入希望者と売却希望者の人数のバランスが異なる点が挙げられます。
取引所ごとの現在の価格を調べ、最も高い価格で売却するのは一つの方法です。安い取引所で購入→高い取引所で売却し利益を出す方法を「アービトラージ」といいます。
【注意点】
- 他の取引所への送金には「送金手数料」が発生する
- 送金手数料は通貨により異なる
- 常に特定の取引所が高額とは限らない
超厳選:ビットコイン現金化取引所ベスト3
おすすめ1位:コインチェック
コインチェックは取引手数料が無料です。シンプルなアプリは初心者にも使いやすいと好評。取扱銘柄も多いため、トレードの可能性も高まります。すべての取り扱い銘柄を500円から売却できるところもおすすめです。
ただし、販売所形式での現金化は、スプレッドがかかります。あくまで取引所形式での現金化を考えている方におすすめの取引所です。
おすすめ2位:GMOコイン
GMOコインの場合、取引手数料だけでなく出金手数料も無料です。一般的には口座への出金にかかる出金手数料が無料な点は大きなメリットといえます。1回の操作の最低出金額は10,000円。ただし、全額出金の場合は、金額を問わず出金可能です。東証一部上場のGMOインターネットが運営している安心感は大きいです。
こちらもコインチェック同様、販売所方式での現金化は、スプレッドがかかります。
おすすめ3位:DMM Bitcoin
21種類の銘柄にレバレッジ取引が可能なDMM Bitcoin。コインチェックではレバレッジ取引に対応していないため、レバレッジ取引中心の方には、DMM Bitcoinがおすすめです。GMOコインと同じく出金手数料無料な点もポイントです。
さらにDMM Bitcoin独自の「BitMatch注文」では、スプレッドがかかりません。そのため、コストを抑えた取引ができます。
BitMatch注文とは、DMM Bitcoinが提示するミッド(仲値)価格を参考として、発注から30秒の有効期限内に取引が成立する方法です。ユーザー同士の注文によるマッチングですが、取引相手はDMM Bitcoinです。
【BitMatch注文の注意点】
購入希望の注文の一部または全部がマッチングした場合のみ、ミッド(仲値)価格での約定となります。そのため、必ずマッチングするとは限りません。マッチングしなかった場合は、成行にて時価で約定となります。
押さえておきたい仮想通貨の売り時
仮想通貨の売り時を判断するのは、自分です。ただ、初心者の場合、タイミングを見誤ってせっかくの売り時を逃してしまうことも。売り時のポイントを紹介します。
価格の高騰・暴騰
今までの値動きに比べ、急に数倍、数十倍で高騰・暴騰し始めたときは、最もわかりやすい売り時タイミングです。
「もうちょっと待ったらもっと儲かるかも」「まだ早いんじゃないか」と思う人もいますが、高騰・暴騰は、永遠に続くものではありません。投資のポイントは、欲をかきすぎないこと。また全てを売るのではなく、一部を売却し、利益を確定させるのもひとつの方法です。
仮想通貨に限ったことではありませんが、上げ下げを繰り返して上がっていくものです。長期的に投資を考えているなら、保有し続けても構いません。
事前にルール(価格・期間)を決めておく
仮想通貨取引を始める前に「200万の利益を出す」「+25%で利益確定」「マイナス15%でロスカットする」のように、自分なりのルールを決める方法です。
特に初心者の頃は、相場をついつい見てしまい、一喜一憂しがちです。損切りルールを定めたり、価格を設定しておいたりすることで、売るタイミングをしっかり掴むことができます。
仮想通貨のポジティブニュース発表
仮想通貨に関するポジティブニュースは、価格高騰のチャンスです。例えば、2024年3月には、国内最大手のコインチェックが米ナスダック市場への上場を目指すことを発表しました。
ポジティブなニュースが発表された後は、高い確率で価格が高騰しています。新聞やネット等で情報を収集し、アンテナを張っておくと良いでしょう。
逆に、ネガティブなニュースのあとは、暴落する可能性があります。例えば2024年5月、テスラ社のBTC決済中止を受け、ビットコインが急落したことは記憶に新しいでしょう。ネガティブなニュースを事前に情報収集することは難しいですが、規制やルール変更等は、あらかじめ情報が発信されているケースもあります。
コインチェックが提供している、ユーザー同士が情報発信・交換できる場所などを利用することも売り時を見逃さないためのひとつの方法といえるでしょう。
仮想通貨を現金化するメリット・デメリット
仮想通貨を現金化することでメリットとデメリットが生まれます。内容について解説します。
最も大きなメリットは「安心感」
仮想通貨は、保有しているだけの状態でいくら利益が出ていても、収入とはみなされません。現金として手元に持っておくことは、資金確保の面からも有効です。急に多額の現金が必要になった場合も、仮想通貨を現金化することで借金や借入をする必要がありません。
また、仮想通貨の保有は、利益が拡大する可能性がある一方、大幅に暴落し、損失する可能性も秘めています。損失回避には、現金化が有効です。
さらに現時点では、日本国内においてビットコインが使える場所は、それほど多くありません。ビックカメラが利用可能となり、今後はさらに使える場所が増えると想定されますが、現時点では法定通貨に両替しておいた方が、買い物の利便性は高いでしょう。
デメリットは利益・損失の確定
メリットがある一方、現金化によるデメリットも発生します。中でも特徴的なのは、利益・損失ともに、現金化の時点で確定することです。
保有していることで、利益がさらに増える可能性もあります。また現時点での損失も確定してしまうため「もう少し保有しておけばプラスに変わったのに」と後悔する可能性もあります。
仮想通貨の現金化は取引所選びが重要
仮想通貨を現金化するためには、取引所選びやタイミングが重要です。ただし、個々の手数料以外にリアルタイムで価格が変動するため、一番お得に換金できる取引所は、常に変わります。
リスク分散のためにも複数取引所で口座開設しておくことをおすすめします。また、現金化の後は、課税対象の所得となります。翌年の確定申告、納税に備え現金を手元に残しておくようにしましょう!
文・柚月朋子
フリーランスとしての経験やポイント投資からスタートした経験を活かし、年間200本以上の記事を執筆・監修。投資初心者にわかりやすい記事執筆が目標。