「給料明細はもらったのに給料が振り込まれていない!」そんなことはありませんか?給料日に給料が確実に振り込まれることは法律で定められているので、給料が振り込まれる時間によるものかもしれません。
また、万が一給料日に給料が振り込まれなかった場合はどのように対処すべきでしょうか?この記事では、給料の振り込みに関するさまざまな疑問にお答えします。
労働基準法には給料の振込時間についての定めはない
結論から言えば、給料の振込時間については法律で定められていません。
ただ、給料の支払日や支払い方法は労働基準法によって定められています。
労働基準法第24条では、給料の支払方法として「賃金支払の五原則」を定めています。
<賃金支払いの5原則>
- 通貨(現金)で支払う
- 直接労働者に支払う
- 給料の全額を支払う
- 毎月1回以上支払う
- 一定の期日を定めて支払う
参照:厚生労働省
1については原則現金払いとしていますが、労働者本人口座への銀行振込など、給料が確実に労働者に支払われるケースは認められています。
また、5の「一定の期日」が金融機関の休業日である場合、通常はその直前の営業日(日曜日が給料日なら金曜日など)が給料日となります。
では給料が振り込まれる時間はいつ?
しかし、国が給料の振込時間になにも言及していないわけではありません。
国は労働基準法にもとづき、雇用主に向けて「給料日の午前10時までに給料を振り込むように」と指導しています。午前10時までに間に合わない場合でも給料日当日の振り込みであれば問題ないとしています。
ただ、銀行のシステムトラブルなどやむを得ない理由以外で給料日当日中に給料の支払いがない場合は違法となり、雇用主が罪に問われます。
給与振込の手続きは雇用主によって異なる
給与振込の手続き方法は雇用主の規模によって異なるケースが多いようです。
従業員数が多い企業などは「全銀フォーマット(全銀システムの振込用フォーマット)」や振込元銀行独自のフォーマットに給与振込のデータを記入し、それを提出する形で手続きを取るのが一般的です。データの提出期限は銀行によって異なりますが、通常は営業日数日前から前日が期限となっています。
このケースでは、銀行のシステムトラブルなどがなければ給料日に給料を受け取れます。
一方、雇用主が従業員数が少ない小規模事業者などの場合は、銀行窓口やATM、インターネットバンキングで給料を振り込むケースもあります。ただ、振込手続きの時間が遅くなると当日中に給与が振り込まれない場合もあるので注意が必要です。
給料が振り込まれなかったらどうする?
「給料が振り込まれない!原因は何?」、お給料日なのに振込がないと焦りますよね?
給料日に給料が振り込まれなかった場合は雇用主が罪に問われるため、支払日の遅れが生じるケースはそれほど多くはないでしょう。
ただ、万が一給与が振り込まれなかった場合に労働者がすぐに行うべき対応は以下の通りです。
- 給与振込の担当部署(人事部門、経理部門など)に問い合わせる(ここで解決しなければ次の段階に進みます)
- 労働基準監督署に相談する
給料の振り込み遅れは労働基準法違反となるため、1の段階で解決しなければ速やかに相談しましょう。
給与未払いの原因が倒産の場合は「未払賃金立替制度」の利用を
また、倒産などが原因で給料が未払いとなっている場合は、「未払賃金立替払制度」の利用を検討しましょう。
立替を受けられるのは、次の2つの条件をいずれもみたした場合です。
- 雇用主が1年以上事業を行っている
- 雇用主が倒産している
・法律上の倒産(破産・特別清算・民事再生・会社更生)
※破産管財人等に倒産の事実等を証明してもらうことが必要
・事実上の倒産(事業活動の停止等により給料の支払いができない状態)
※労働基準監督署長の認定が必要
立替払いの金額は未払賃金の額の8割です。ただ、その上限額は退職時の年齢によって88万~296万円の範囲となります。 このような制度もあるので、倒産による給与未払いでもあきらめずに行動を起こしましょう。それによって自らの経済的な困窮を避けられる可能性も高いでしょう。
文・大岩楓