初心者が株を始める際に、スタートしやすい「少額投資」。「少額投資は意味がない?」といった意見もありますが、少額投資だからこそ得られるメリットも存在します。今回の記事では少額投資の内容とメリット・デメリット、おすすめ証券会社を紹介します。
株の少額投資に意味はない?内容とメリット・デメリット
市場では「株式投資は少額だと意味がない」「ミニ株はおすすめしない」といった意見もありますが、少額投資は初心者にこそおすすめの投資です。
まずは「少額投資」の内容とメリット、デメリットからみていきましょう。
少額投資とは
少額投資とは数百円から数万円で始められる投資を意味する言葉です。「資産運用に興味はあるが、使える金額が限られている」「リスクを抑えつつ投資を始めたい」といった人から人気を集めています。
少額投資のメリット
少額投資のメリットは、限られた予算の中でリスクを抑えつつ投資ができることです。いくら本やネット、セミナーで知識を蓄えたとしても、実際に投資し経験を蓄積しなければ、身に付かないこともあります。
少額投資を始めることで、投資そのものに慣れることが可能です。
また、さまざまな業種に分散投資ができることや、いくら少額投資といえども保有株数によって配当金が受け取れることも少額投資を始めるメリットのひとつです。
少額投資のデメリット
デメリットは、ローコストな分ローリターンな点です。取引できる証券会社の数や取り扱い銘柄にも制限があるため、少額投資を始める際には対応している証券会社を選ぶようにしましょう。
株式投資といえば「株主総会」「株主優待」といったメリットが伝えられることが多いですが、少額投資の場合は株主総会での議決権はありません。会社にもよりますが、株主優待が受けられるケースもほとんどないため、この点はデメリットです。
株の少額投資3つの方法とおすすめの証券会社
少額投資を進める上では、大きく3つの方法に分けることができます。具体的内容と証券会社の選び方について開設します。
単元未満株、ミニ株で少額投資をスタート
2018年10月1日、銘柄ごとの可能な売買単位(1単元)が100株に統一されました。基本的には、この単位に基づく購入が必要なため、1株3,000円のメーカーAの株を買う場合、最低でも30万円が必要になります。
しかし、もっと手軽に低価格で株取引を始めたい方におすすめしたいのが
- 単元未満株
- ミニ株
の2種類の方法です。
単元未満株の場合、1株から購入が可能です。またミニ株の場合は、1単元の1/10の単位、つまり10株から購入できます。
株主総会での議決権はありませんが、配当金等は、1単元を所有する投資家と同じ権利が与えられます。
【証券会社を選ぶポイント】
- ミニ株、単元未満株を取り扱っていること
- 自分が購入したい株が選定されていること
- 手数料が安価であること
- NISA口座で買付ができること
ミニ株の取扱がある証券会社の中で、特におすすめなのは2024年3月期第1四半期の国内株式個人取引シェアナンバーワンの「SBI証券」です。
証券会社名 | ミニ株名 | 手数料 | 最低手数料 |
SBI証券 | S株 | 約定代金の 0.55% | 55円 |
手数料は最安ではありませんが、SBI証券ではミニ株の「S株」専用の「SBIネオモバイル証券」サービスを提供しています。ネオモバではTポイントを使った投資ができるほか、毎月ネオモバ限定のTポイント200ポイントがたまる嬉しいサービスもあります。
もうひとつおすすめしたいのが、リアルタイムでミニ株が購入できる「LINE証券」です。
証券会社名 | ミニ株名 | 手数料 | 最低手数料 |
LINE証券 | いちかぶ | 無料(※) | 1円 |
※取引コストとして、基準価格にスプレッド(差額)を乗せる方式
日中0.2%〜1.0%、昼休み・夜間1.0%
LINEの証券会社のため、LINEアプリを利用できるほか、LINE Pay、LINEポイントも使えます。単元未満株の取引も、時間内であればいつでもリアルタイムに行えるメリットがあります。
ただし取引銘柄は限られており、1015銘柄のみです。また手数料は無料ですが、スプレッドが発生します。ただ、スプレッド自体も業界最安値のため、デメリットと言えるほどではありません。
安価で購入できる現物株で少額取引をスタート
前述したミニ株や単元未満株は、手頃に始めやすい反面、全ての証券会社で取り扱いが行われていないデメリットがあります。
1単元(100株)購入するにはまとまった資金が必要と思う方もいるかもしれませんが、10万円以下で購入できる株もたくさん存在していることをご存知でしょうか。
下記はあくまで一例ですが、10万円以内で購入できる株は、全体の約3割を占めているんです。
社名 | 株価(2024年1月28日時点) | 100株(1単元)価格 |
アークコア | 507円 | 50700円 |
三洋堂ホールディングス | 915円 | 91500円 |
エイチ・ツー・オー リテイリング | 797円 | 79700円 |
さらに会社によっては株主優待を受けられるケースもあります。
【証券会社を選ぶポイント】
- 買える銘柄が多い証券会社であること
- 総額10万円以下を探せるスクリーニングツール・アプリがあること
- 手数料が安いこと
- NISA口座で買付ができること
現物株で少額取引を始めたいなら「SBI証券」がおすすめです。なんといってもポイントは、売買手数料の安さです。他の証券会社と比べても業界最安値の手数料となっています。
売買手数料(国内現物株):1約定ごと
売買手数料(税込) | |
5万円 | 55円 |
10万円 | 99円 |
20万円 | 115円 |
50万円 | 275円 |
100万円 | 535円 |
さらに25歳以下のユーザー向けに「現物手数料0円プログラム」をスタートしています。2024年12月1日より、キャッシュバックにての実質無料化ではなく完全無料化となり、さらに便利になりました。特別なエントリーも不要で、インターネットコースを選択するだけで26歳の誕生日前日までが対象です。
投資信託を積み立てる「積立投資」をスタート
最後に紹介するのは、毎月一定の金額で投資信託を購入する「積立投資」です。
100円から始められる証券会社もあり「投資信託を買いたいが、購入タイミングがよくわからない」「貯金感覚で投資をしたい」「投資信託に興味がある」といった方から人気です。
【投資信託とは】
運用のプロであるファンドマネージャーが代わりに投資・運用した上で、生まれた利益を還元してくれる金融商品です。「少額」「分散投資でリスク軽減」「運用のプロにお任せ」といったメリットがある一方、運用のプロに依頼する分の手数料(コスト)が発生するデメリットがあります。
また「貯金感覚で投資」とお伝えしましたが、貯金・預金のような元本保証がない点を理解しておきましょう。
デメリットもあるものの、投資信託を積立投資することにより、長期的な資産運用が可能です。
【証券会社を選ぶポイント】
- 取扱銘柄数が多い
- 投資したい投資信託の取り扱いがある
- つみたてNISAで運用できる
- 保有や買付に関するサービスがある
上記条件を満たしている証券会社の中で、特におすすめなのが「楽天証券」です。
2024年1月24日時点での銘柄取扱本数は、2,679本。さらに楽天証券の場合、証券口座または楽天クレジットカードからの引き落としを設定することで、月々100円から「投信積立」が可能です。
お得なのは楽天クレジットカードの引き落としです。決済額100円につき1ポイントが付与されるだけでなく、貯めたポイントは投資信託の買付にも使えます。もちろん、楽天市場でのショッピングや日常の買い物などにも使えますよ。
少額投資で株を始める際にやるべきこと
少額投資は初心者にとっておすすめの投資であることをお伝えしました。しかし、銀行に貯金することに比べ、ハードルの高さを感じる人が多いことも事実です。ここでは、初心者の方が少額投資を始める際の一連の流れを紹介します。
1.自分の運用目的に合った証券会社を選び、口座を開設する
まずは証券会社を選びます。単元未満株、ミニ株で少額投資をスタートしたい場合は、取り扱っている証券会社でなければいけません。積立投資の場合も自分が購入したい取扱銘柄があるか、手数料の金額を確認しましょう。
口座の開設方法は、下記記事をご覧ください。
2.証券口座に入金する
自分の銀行口座から、開設した証券口座に入金します。楽天銀行と楽天証券のように、口座同士の相性の良さを確認しておきましょう。
3-1.自分で株を選び、注文する
まず単元未満株やミニ株を含む、株の買い方から説明します
注文方法は
- 指値(さしね)
- 成行(なりゆき)
の2種類ですが、単元未満株やミニ株の場合は、ほとんどが成行のみです。
指値注文の買い注文は、買う値段を自分で設定し、指定した値段以下の株価にならなければ、注文しないという買い方です。例えば指値500円の買い注文の場合、500円以下にならなければ、注文成立になりません。
成行注文の買い注文は、最も低い価格の売り注文に対して注文成立となります。
(例)
株価:500円
最も価格が低い売り注文が501円
最も価格が高い買い注文が499円
↓
成行の買い注文を出すと、購入金額は501円
3-2.投資信託を選び。積立設定する
積立購入する投資信託(ファンド)を選びます。自ら検索して探すほか、証券会社によっては、AIに選んでもらう、窓口で相談するといったことも可能です。投資信託を選んだら、次に引き通し方法と積み立て指定日を選択します。
引き落とし方法は、証券会社により異なりますが、証券口座やクレジットカード決済、金融機関などから選べます。
株の少額投資に関するよくある質問まとめ
最後に、株の少額投資に関するよくある質問について紹介しておきます。悩みをスッキリ解決させるためにも、ぜひお読みください。
株の少額投資は未成年でも始められる?
もちろん可能です。証券会社では未成年や学生であっても、口座を持つことが可能です。SBI証券の「25歳以下現物手数料0円プログラム」は、もちろん未成年も対象です。
ただし、未成年が口座を開設する際には、親権者による口座開設、親権者の同意などさまざまな条件があることが一般的です。本支店のみ口座開設可能、インターネット上での申し込み不可といったケースもあるため、検討している証券会社がある場合は、あらかじめ親権者に相談した上で、証券会社に問い合わせることをおすすめします。
株の少額投資、いくらからスタートできる?
単元未満株の場合、1株から購入できるため、計算上は100円あれば投資をスタートさせることが可能です。
しかし、あまり現実的ではないと思う人もいることでしょう。もしあなたが100円から投資を始めたい場合は、「積立投資」を選択するとよいでしょう。楽天ポイントやTポイントといったポイント投資を組み合わせることで、少額から投資体験が可能です。
また、ミニ株や単元未満株による投資を始める場合、まずは1万円を目安に考えるとよいでしょう。
スマホだけで少額投資は始められる?
パソコンがなければ株式投資はムリと言われていたのは、遠い昔の話です。今は証券会社が独自のスマホアプリを配信しているため、もちろんスマホだけで少額投資を行うことは十分可能です。口座開設から取引までスマホだけで完結するほか、操作性にも優れているため、初心者が始める際にもスムーズです。
スマホでの利用を前提とした証券会社を「スマホ証券」と呼びます。LINE証券やネオモバ(SBIモバイル証券)は、スマホ証券の代表格です。
便利なスマホ証券ですが、デメリットも存在します。アプリは操作性を重視しているため、通常のネット証券に比べてアプリで得られる情報は少ない傾向にあります。また、一部証券会社ではアプリでの取引銘柄に制限がかかっているケースもあるため、証券会社を選ぶ際には注意が必要です。
ポイント投資を始めるメリットとデメリットが知りたい
楽天ポイントやTポイントなど、ポイントを利用した「ポイント投資」。自己資金不要で実際の投資ができるとあり、少額投資を検討中の人からの注目を集めています。
ここでは楽天ポイントを例に挙げ、メリットとデメリットについてお答えします。
メリット
- 自己資金不要で資産運用がスタートできる
- ポイントで「投資信託、国内株式、米国株式、バイナリーオプション」が購入可能
- 100円以上の楽天ポイントがあれば利用可能
- NISAやつみたてNISAも使える
- 実際に投資をすることで、知識や経験が増える
ここでのポイントは、自己資金不要で実際に投資ができる点です。いくら勉強したとしても、実際にやってみなければわからないことは多いもの。また普段から楽天市場や楽天トラベルといったサービスを利用している人にとっては、たくさん貯まったポイントの使い道としても便利です。
デメリット
- ポイントの利用制限がある
- 口座開設が必要
楽天ポイントの投資可能額は、楽天会員のランクによって決まります。
ダイヤモンド会員以外 | ダイヤモンド会員 | |
スポット購入(1注文あたり) | 30,000ポイント | 500,000ポイント |
積立注文(1日あたり) | ダイヤモンド会員以外 | ダイヤモンド会員 |
証券口座 | 30,000ポイント | 500,000ポイント |
楽天カードクレジット決済 | 30,000ポイント | 500,000ポイント |
また楽天グループを通して1ヵ月あたりの利用上限(ダイヤモンド会員:500,000ポイント、ダイヤモンド会員以外:100,000ポイント)も定められています。
会員ランクによっては、思い通りの投資ができない可能性もあります。
またポイント投資の場合も、通常の投資同様口座開設の手続きが必要です。デメリットとして挙げましたが、投資を行う上では必須の作業のため、ポイント投資の時点で慣れておくと良いでしょう。
初心者が株を始めるなら、まずは少額投資から!
株の少額投資は、投資の経験を積む上で大変重要な役目を果たしてくれます。リスクが少ない分、リターンも少ない点を不満に思う方がいるかもしれませんが、まずは少額投資で経験値を高めた上で、自分なりの投資を見つけることをおすすめします。
文・柚月朋子
フリーランスとしての経験やポイント投資からスタートした経験を活かし、年間200本以上の記事を執筆・監修。投資初心者にわかりやすい記事執筆が目標。