個人事業主の場合、プライベートの支出と事業用の支出を1枚のカードで支払うと、仕訳に時間がかり確定申告前に慌てることに!本記事では法人用カードを作成するメリット・デメリット、事業用のおすすめカード会社について解説します。「分ける?」「分けない?」の答えを見つけてください。
個人事業主におすすめの法人クレジットカード
三井住友カードビジネスオーナーズ
「三井住友カードビジネスオーナーズ」は、三井住友カード発行のビジネスカードです。運転免許証があれば、申し込みが可能なため、創業間もない個人事業主も申し込むことができます。個人事業主の場合、個人名義口座または屋号名の口座から決済が可能です。
【三井住友カードビジネスオーナーズのポイント】
- 申込時に決算書・登記簿謄本が不要
- カードナンバーの記載なし&アプリ管理
- 三井住友カードとの2枚持ちで還元率が最大1.5%
年会費 | 永年無料 |
還元率 | 最大1.5% |
利用可能枠 | 〜500万円(所定の審査あり) |
追加カード | 19枚まで(無料) |
ETCカード | 無料(※入会翌年から一度も利用がない場合は、550円が発生) |
JCB CARD Biz 一般
JCBが発行している「JCB CARD Biz 一般」。ゴールド、プラチナといった種類もありますが、ここでは基本系の一般カードを紹介します。
【JCB CARD Biz 一般のポイント】
- 弥生やfreeeとのデータ連携が可能
- Apple Pay・ Google Pay に対応
- カード情報が裏面にありセキュリティ面でも安心
年会費 | 初年度:無料 次年度以降:1,375円 |
通常還元率 | 0.3%〜 |
利用可能枠 | 個別審査 |
追加カード | NG |
ETCカード | 1枚(無料) |
通常の法人用クレジットカードでは「分割払い」「リボ払い」ができないケースもある中、分割払いやリボ払いにも対応しています。
しかも現在、JCB CARD Biz 一般ではキャンペーンを実施中です。
申し込み期間:2024年4月1日(金)~9月30日(金)
条件:新規入会&利用
特典:もれなく最大30,000円分のe-mailタイプのAmazonギフト券プレゼント
楽天ビジネスカード
楽天グループサービスの利用頻度が高い方におすすめなのが、楽天ビジネスカードです。新規入会にて2,000ポイント(通常ポイント)が付与されます。楽天市場や楽天ブックス、楽天トラベル、楽天カーシェアなど普段から楽天グループの利用頻度が高い人にとってはお得といえます。
楽天ビジネスカードのポイント
- 楽天プレミアムカードとセットの発行が必須
- 楽天ポイントを貯めやすい
- 付帯保険の補償内容が充実
年会費(楽天プレミアムカード) | 1,1000円 |
年会費(楽天ビジネスカード) | 2,200円 |
還元率 | 1.0%〜 |
利用可能枠 | 〜300万(所定の審査あり) |
追加カード | NG |
ETCカード | 無料・複数発行可能(2枚目より年会費550円) |
カード付帯保険 | 国内旅行傷害保険・海外旅行傷害保険:各最高5,000万円 動産総合保険:年間最高300万円 カード盗難保険 |
ただし、楽天ビジネスカードだけを持つことはできません。あくまで楽天プレミアムカードと楽天ビジネスカードの2枚1セットです。また追加カードが発行できないことも注意しましょう。
法人カードを持つメリット
個人事業主が法人カードを持つことのメリットは、業務の効率化以外にもいくつかあります。まずはメリットについてご確認ください。
経費の管理がカンタンになる
個人事業主にとって本業以外の経費生産処理には、できるだけ時間を割きたくないものです。法人カードを持つことで、すべての履歴が残るため「レシートや領収書をもらい忘れた!」「もらったはずなのに無くした」といった事態を防ぐことができるでしょう。
また、個人用のクレジットカードで経費を支払った場合は、「事業主借」として仕訳をすれば、経理上は問題ありません。しかし、ひとつずつ過去の履歴を振り返り、手動で登録するのは手間も時間もかかり、非効率です。
一方、プライベートと事業用カードを分けることで、ミスも無くなります。クレジットカード会社によっては、会計ソフトと連携し、自動で仕訳をしてくれます。
必要経費でポイントが貯められる
個人用カードと同様、法人カードでもポイントを貯めることができます。プライベートの買い物に比べ、事業用の買い物は高額になりがちですから、さらにポイントが貯めやすくなるでしょう。
カード会社によっては、ポイント分を支払いに使えるサービスなどもあります。うまく使うことで、経費削減になるでしょう。
急な出費に対応可能、資金繰りに余裕が生まれる
クレジットカード払いの場合、基本的には支払いは翌月です。もちろん余裕を持って事業を営むことは重要ですが、何が起きるかわからないのがビジネスです。事業用クレジットカードがあれば、次の振込までの間をうまくつなぐことが可能です。
個人事業主の法人カードの選び方
個人事業主がクレジットカードを選ぶ場合、次のポイントを押さえることをおすすめします。
個人事業主向けクレジットカードを選ぶポイントを4つ紹介します。
- 年会費の額で選ぶ
- 利用限度額で選ぶ
- 特典で選ぶ
- ポイント還元率で選ぶ
年会費の額で選ぶ
事業用クレジットカードは、年会費永年無料のタイプ、初年度のみ無料のタイプ、数万円以上のタイプなど幅広く分かれています。年会費の金額と付帯するサービスの内容は、基本的に比例しているケースが多いです。
特に多くの機能を求めず「事業用とプライベート用を分けたい」ぐらいの感覚であれば、年会費無料のクレジットカードを選ぶと良いでしょう。一方、必ず利用したいサービスがある(会計ソフトと連動、ETCカードが複数欲しいなど)場合は、年会費にこだわらず、サービス中心に選ぶことをおすすめします。
利用限度額で選ぶ
事業内容によりますが、多額の経費が発生している人は、限度額の低いカードでは、役に立ちません。また逆に、月の経費は10万円以下といった人であれば、特に気にする必要はないでしょう。
ただし、公式サイトに書かれている限度額はあくまで最大であり、審査の結果、減額される可能性もあるため注意しましょう。
特典で選ぶ
クレジットカードには、それぞれさまざまな特典がついています。ETCカードの追加発行が可能、旅行サイトで特定のプランが利用できる、会計ソフトと連携など、特典内容もさまざまです。
ただ、これらは事業の規模や内容により、役に立つ場合と全く不要な場合に分かれます。仮に、自分一人で事業を営んでいる場合、追加カードが十枚作れることやETCカードの追加発行は特にメリットとは言えないでしょう。
自分が実際に使用・利用するサービスがあるならば、特典をメインに選ぶのもひとつの方法といえます。
ポイント還元率で選ぶ
ポイント還元率は、正直なところ、高ければ高いほどお得です。ただ、個人カードに比べ、還元率が低い法人カードが多いことも事実。個人事業主向けのカードであれば、相場は0.5%、1.0%の還元率であればかなり高いと思っておきましょう。また特定のサービスを利用すると、還元率が増えるケースもあります。
個人事業主はクレジットカード審査に通りにくいってホント?
個人クレジットカードの審査の通りやすさは「会社員>個人事業主」と言われており、概ね事実だと思われます。だからこそ、在職中から独立・起業を検討している人は、在職中にクレジットカードを申し込んでおきましょう!
ただし個人事業主、フリーランスの働き方を選んだ人が、すべてクレジットカード審査に通らないわけではありません。
- 安定した収入がある
- 過去に金融事故を起こしていない
上記条件を満たした状態で、少なくとも開業の翌年以降に申し込むことで審査に通る可能性は高いと思われます。
個人事業主が事業カードを作る方法
事業用・プライベート用のカードを分ける決意ができたら、早速事業用カードを作りましょう。
まずは、発行に必要なもの(基本)を紹介します。
- 本人確認書類
- 事業用口座
- 登記簿謄本
運転免許証などの本人確認書類と口座は必須ですが、個人事業主向けのクレジットカードの場合、登記簿謄本は不要といったケースもあります。特に開業前にカードを作る場合は、そういった書類はありませんよね。
できるだけ早く、スムーズにクレジットカードを作っておきたいと思ったら、本人確認書類と口座のみで申し込めるクレジットカード会社を選びましょう。
- 代表者の本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)
- 法人(事業用)口座
ただし、法人カードの中でも個人事業主向けのカードは登記簿謄本などが不要のカードが多くあります。なるべく手間を削減したい、開業前にカードを作りたいという場合は次のような本人確認書類と口座のみで発行可能なカードを申し込むといいでしょう。
本記事でご紹介したクレジットカードのうち、「三井住友カード ビジネスオーナーズ」「JCB CARD Biz」は、本人確認書類と口座だけで申し込むことができますよ。
必要なものを申し込んだら、公式サイトから申し込みを行います。個人カードを申し込んだことがある人であれば、流れは同じです。
申し込み
公式サイトの申し込みフォームから次のような必要事項を入力します。カード会社により多少異なる部分はありますが、概ね同じです。
- 氏名(代表者)
- 生年月日
- 性別
- 住所
- 電話番号
- 年収
※本人確認書類はアップロードを求められるケースと後日コピーの郵送が求められるケースがあります。
審査
申し込んだクレジットカード会社により、審査が行われます。カード会社により、発行までの期間は異なるため、できるだけ早めに申し込むようにしましょう。法人カードは、即日発行は無理だと心得ておきましょう。
「三井住友カード ビジネスオーナーズ」であれば、最短で3営業日の発行が可能です。もちろん申し込み内容に不備などがある場合は、最短での発行が難しくなります。
また法人カードの審査とはいうものの、個人事業主の場合は、事業内容よりも本人(経営者)の信用情報により結果が左右されると考えた方が良いです。審査完了後は、電話またはメールで結果が伝えられます。
契約・カード発行
契約に関してはWEB上で完結するケースと、別途登録住所に書類が送られてくるケースがあります。手続き完了後、カードが自宅または登録住所に届きます。カード受け取り時には本人確認書類が必要になるため、準備しておきましょう。
よくある質問と回答
最後に、個人事業主のクレジットカードに関するよくある質問について紹介しておきます。不安なく申し込むためにもぜひご覧ください。
Q.個人事業主が申し込んではいけないクレジットカードは?
A.法人限定のクレジットカードです。申し込んだとしても受理されないため、時間の無駄になってしまいます。必ず公式サイトを確認し、個人事業主が申し込めると書かれているカードを選んでください。
Q.個人事業主が法人カードの審査に落ちることはありますか?
A.残念ながらあります。原因は、経営者(本人)の信用不足から事業に対する信頼性の不足などさまざまなため、一概にはいえません。ただ、焦って他社の法人カードに申し込むのは絶対に控えてください。
本記事でも、事業用と個人用のクレジットカードを分けることを推奨していますが、分けなくても事業自体は可能です。一旦、個人用カードを作成するか、プライベートカードを使いつつ適切な仕訳をするかといった方法をとり、年月が経ってから再度申し込むことをおすすめします。
Q.審査なしの法人カードはありますか?
A.無審査の法人カードはありません。クレジットカード会社としても、返済能力の有無を調べずにカードを発行するのは、あまりにリスクが高いためです。審査に通るか不安だからと審査なしのカードを探すよりも、現在の自分の状況に合わせて選ぶ方が無難です。
開業したばかりの個人事業主が、プラチナランクのクレジットカードに申し込むのと一般カードに申し込むのとでは難易度も変わります。自分の信用を積み重ね、現状にあったカードを選びましょう。
事業用と個人用のクレジットカードを分けよう
個人事業主として今後事業を営むのであれば、やはりクレジットカードは事業用と個人用に分けることをおすすめします。個人事業主である私自身も、きちんと分けてから、経費処理がとても楽になりました。さまざまな観点から、ぜひ自分に合ったカードを探してみてください。
文・柚月朋子
フリーランスとしての経験やポイント投資からスタートした経験を活かし、年間200本以上の記事を執筆・監修。投資初心者にわかりやすい記事執筆が目標。