独立・開業にはお金がかかるというイメージがありますが、世の中には自己資金0円で開業、起業している人も多くいます。資金0円で始められる仕事にはどんなものがあるのでしょうか。誰でも始められそうな10の職種を紹介します。
自己資金0円での開業は可能なのか?
独立・開業したいけれど、副業で新しいことを始めたいけれど、先立つものがない。何か元手がなくてもできる仕事はないだろうか。そう思っている人は少なくないかと思います。確かに、新しい商売を始めるには商品や店舗が必要となります。しかし、世の中にはたとえ資金が0円であっても始めることのできる仕事があります。
資金0円で本当に開業できるの? 首を傾げる人もいるでしょう。
答は「YES」でもあり、「NO」でもあります。
ここでいう「資金0円」とは、「お金をかけなくても始められる」という意味だと捉えてください。イメージとしては、事務所や店舗は持たず、在宅で従事できて設備投資や販促費用などがかからないといった感じです。前提条件としては「自宅に仕事のできるスペースがある」「パソコンを所有している」などがあります。
もしこれら(空間や道具)をあらたに用意しなければならないとしたら、当然ながらお金がかかります。その時点で厳密な意味での「資金0円」とは言えなくなります。資金が入用かどうかはその人の状況次第。条件が整っている人であれば0円でも開業が可能な仕事。そうでない人の場合は、最低限の経費は必要だけど、それを除けば他にお金をかけずに始めることができる仕事。そんなふうに考えてもらえると助かります。
自己資金0円でできる仕事は、さがせばたくさんあります。参入するのに難易度が低いものもあれば高いものもあるし、たくさん稼げる本業向きものもあれば、小遣い程度の収入にしかならないものもあります。
本業にするか、副業にするか。最初は副業で始めて、ゆくゆくは本業にするのか。個人事業主として従事するのか、それとも起業して法人として活動していくのか。職種や目的によっても選択肢は分かれます。
この記事では、なるべく特別な知識や技術を要さない、たとえ要しても比較的短期間で習得できる仕事を中心に取り上げていきます。
文章を書くのが好きな人向け。門戸の広いWebライター
男女、年齢、職歴問わず、パソコンが1台にインターネット環境があれば誰でも始めることができるのがWebライターです。
ネットが普及する以前、ライターの仕事は雑誌や書籍などの紙媒体に限られていました。ライターの多くは出版社、新聞社、編集プロダクションなどに勤務経験のある元編集者や元記者で、異業種からの参入はそう多くはありませんでした。
それがWebマーケティングが当たり前となった最近では、民間企業の多くが自社の公式サイトをはじめとするオウンドメディアを展開するようになり、必然的にライターの需要が増大しました。そうしたWeb媒体の記事を執筆しているのがWebライターです。
Webライターと紙媒体のライターの大きな違いは門戸の広さです。
紙媒体しかなかった時代、フリーランスのライターになるには、ほとんどの場合、なんらかの伝手が必要でした。ライターの大半は、元いた職場から仕事をもらうか、誰か知り合いのいる雑誌編集部などからくる仕事をこなし、少しずつキャリアを積んでいきました。「営業」といって見知らぬ編集部に電話でアポをとって売り込みに行くという方法もありましたが、仕事に結びつく可能性はそうは高くありませんでした。そんなこともあり、ライターとして独立するには最初からある程度有力な人脈が必要でした
それに比べると、現代のWebライターには門戸が広く開かれています。
需要が増したぶん募集が多くなり、未経験者でも参入しやすい状況にあります。ネットで「ライター 募集」と検索をかければ、ランサーズなどのクラウドソーシングを始め、さまざまな企業の募集を見つけることができます。
なかにはその業界での経験や知識を要求される場合やトライアルを実施しているものもありますが、まったくの未経験者でも受け付けてくれる募集もあります。早い話、思い立ったら吉日で、いずれかの募集に応募して採用されたら、その日からWebライターとして開業できるわけです。
「文章を書くのが好き」「文章が上手」「文章を書くのが苦手でない」といった人だったら、誰でも始めることができるのがWebライターです。
ただし、未経験者や駆け出しの人にまわってくる仕事は、誰でも書けそうなものだけに報酬がいいとはいえません。
Webライターの報酬は文字数で決まることが多く、なかには1文字0.1円という安値の仕事もあったりします。これだと1000文字(400字詰め原稿用紙2.5枚)書いてやっと100円。慣れていない人だと1000文字書くのに1時間くらいはかかってしまうので、時給にすると100円です。例えば東京都の最低賃金時間額の1,072円と比較すると10分の1以下。10時間働いてやっと1,000円の原稿料が稼げるといったレベルです。
これはさすがに極端な例ですが、未経験者や駆け出しのライターでも採用してくれる仕事は概して報酬が低いものばかりです。これならば近所のコンビニや飲食店でアルバイトをした方がずっとお金になる。すぐにそう気がついてやめていく人もいます(それはそれで賢い選択といえるかもしれません)。
しかし、募集の中には常識的な原稿料を、あるいはそこまでいかなくても何とか我慢できるくらいの金額を支払ってくれるところもあります。そういった会社から仕事がもらえるようになれば、Webライターとしての仕事にも道筋が見えてきます。
大切なのは、ひとつひとつの仕事を着実にこなしていくこと。相手の要望を理解し、それにきちんと応えていけばライターとしての評価は上がります。
記事をたくさん書いて未経験者の域を脱すれば、より条件のいい募集に応募ができます。またそうして努力を積み重ねていくことで相手から信頼され、別の担当者を紹介されるなど、仕事の幅が広がっていくはずです。そのためにはSEO対策など、Webメディアならではのライティング技術を身につけていく必要もあります。
このようにWebライターは開業の敷居こそ低いものの、十分な原稿料を稼ぐにはある程度時間がかかると考えておいたほうがいい仕事です。
まずは余暇を利用しての副業からスタートし、軌道に乗ったところで本業とするのがおすすめです。ただし本業にしたとしても、多くのライターは年収200~300万円台というのが実態です。なかにはそれ以上稼いでいるライターもいますが、その域に達するには付加価値となる専門性や筆力、スピード感、自分を高く評価してくれるクライアント、原稿料以外の収入(書籍の印税など)が必要となってきます。
スクール受講が早道のWebエンジニア
WebサイトやWebアプリの設計、開発、管理、運用などを仕事するWebエンジニアもWebライターと同じく需要の高い仕事です。
ただし、こちらはWebライターのように誰でもなれるかというとそんなことはなく、プログラミング言語などの知識やスキルが必要となります。
確実にプロになるには大学や専門学校での勉強をするのが早道です。逆に言うと、そういうスキルを持っていてWebエンジニアとしてどこかの企業に勤めていた人なら、すぐに会社を辞めてフリーランスになることも可能です。
もちろん、まったくの未経験者でも勉強をすればなれないわけではありません。事実、異業種出身の人でWebエンジニアに転身したという人も大勢います。こうした人たちの多くが利用しているのが民間のプログラミングスクールです。
スクールでの勉強は、受講料はかかるものの、独学よりはずっと早く知識を身につけることができます。なかには1ヶ月という短期でWebエンジニアを養成する講座もあったりします。実際のところ、1ヶ月ではよほど才能のある人以外は基礎的な知識や技術しか身に付かないので、もう少し長く勉強することをおすすめしますが、スクールの受講がWebエンジニア開業への早道であることは間違いありません。しかし、スクールに通ったら資金0円での開業はその時点で不可能となります(スクールの受講料を開業に要したお金とみなすかどうかで話は変わりますが)。
それでも、お金をかけずにWebエンジニアになりたいと思ったら。
そういう人に検討をおすすめしたいのが職業訓練(ハロートレーニング)です。
職業訓練は厚生労働省や東京労働局などの国や自治体の機関が行なっている公的な職業訓練制度で、「公共職業訓練」と「求職者支援制度」の2つがあります。
「公共職業訓練」は、ハローワークで求職申し込みをしていて、主に雇用保険を受給している人が対象。「求職者支援制度」は、雇用保険は受給していないけれどハローワークで求職申し込みをしている人が対象となります。
科目は、技術系から事務系までさまざま。そのなかにはWebエンジニアもしくはそれに関係する講座も複数含まれています。
受講期間は短いもので2ヶ月、長いものだと2年。訓練自体は民間の機関に委託されているケースがほとんどです。Web系の科目の訓練期間は4~6ヶ月程度のものが中心。受講者にはパソコン初心者、業界未経験という人もいたりします。
最大の魅力は受講料が無料という点(テキスト代のみ自費。講座にもよるが1万~2万円程度)。しかも要件をクリアしていれば、訓練受講手当が給付されます。訓練受講手当は公共職業訓練が上限2万円、求職者支援制度が月額10万円となっています。他に交通費の支給などもあります。
非常に条件がいい職業訓練ですが、問題がひとつあります。それは受講後に就職せねばならないということです。職業訓練は大前提として、独立・開業を目指す人を対象しているのではなく、求職者を対象としているからです。
もちろん、将来の資金0円での独立・開業を目標に、異業種からWebエンジニアに転身するために職業訓練を受け、いったん就職してWebエンジニアとしてのキャリアを積んだうえであらためて開業するといった方法はありです。
一度就職していれば、フリーになったときにもといた職場やそこで築いた人脈から仕事を獲得できる可能性があるし、独立・開業までの道のりをある程度長いスパンで見ることのできる人なら職業訓練は検討に値すべき制度であるといえます。
フリーのWebエンジニアの年収は500万円が相場。しかしより高いスキルを身につければ高額の報酬を得ることが可能です。Webライターに比べればITに関する高度な知識やスキルが必要なぶん平均年収も高めとなっています。
クリエイター気質の人に向いたWebデザイナー
名称に「Web」がつくためWebエンジニアと混同されやすいのがWebデザイナーです。こちらもWebエンジニア同様に需要が多く、独立・開業がしやすい仕事のひとつです。
Webエンジニアがサイトやアプリを基礎から設計するのに対し、Webデザイナーの仕事はサイトやアプリのデザインやレイアウトとなります。「フロントエンド」と呼ばれる、ユーザーの目にふれる部分を担当するため、デザインセンスや絵心が問われる仕事です。
Webエンジニアほどではありませんが、ITに関する知識も求められます。またトレンドに敏感であることも要求されます。当然ながら、開業するにはそれなりの勉強が必要となります。
転職を考えるなら、Webエンジニア同様、民間のスクールに通うのが早道です。前項でおすすめした職業訓練にもWebデザインの講座があるので、まず技術を身に付けたい人という人には強い味方となってくれます。
フリーとなった場合の年収は300~400万円。Webエンジニアほどは稼げないけれど、Webライターよりはまとまった収入が得られます。センスや技術があって、HTMLコーディングのスキルが高い人などは年収1,000万円を超えています。
高収入が魅力でやりがいも大きいコンサルタント
フリーランスでの開業というとクリエイター系の仕事が多いイメージですが、最近、増えているのがコンサルティング会社や事業会社での経験を武器に独立しているフリーのコンサルタントです。
フリーのコンサルタントになるには、コンサルファームで経験を積むのがいちばんですが、得意分野を持っていればコンサルファーム出身でなくても開業は可能です。
仕事の多くは企業案件で、分野は多岐に渡ります。能力に応じて、プロジェクトマネージャーとしてチームを引っ張る役割を果たしたり、メンバーの1人としてプロジェクトに加わったりと、スキルや経験によって案件との関わり方も変わってきます。
収入は高く、若手でも年収1,000万円以上という人が少なくありません。士業のように国家資格を必要とせず、比較的高収入とあって、注目されている仕事のひとつです。
最大の課題はいかに継続的かつ安定的に案件に参画していくか。そのためには直に取引できる企業をいくつかは持ちたいものです。まだあまり伝手がないという状態であれば、案件を紹介してくれるエージェントに登録することがおすすめです。高収入はもちろんながら、企業の新規案件や組織改革に携わることができる点も大きな魅力です。
資金0円でフランチャイズは始められる?
独立・開業の有力な手段として知られているのがフランチャイズです。
フランチャイズとは親企業の看板を借りて仕事をすること。イメージが強いのはコンビニや飲食店ですが、その他の業種でもフランチャイズはたくさんあります。そのなかには資金0円からでもOKというものもあります。
ただ実際には資金0円とはいっても本部や金融機関から借り入れが必要な場合が多いため、本当の意味で資金0円からスタートできる仕事はほとんどないといっていいでしょう。また大半のフランチャイズには加盟料が必要となります。
ただし、フランチャイズによっては開業資金が10万円以下で済むものもあります。とくに店舗を持たずに済む仕事は少額でスタートが切れます。実店舗がなくてもできる仕事でおすすめなのは、ハウスクリーニングや壁の塗装・張り替え工事など。
とくにハウスクリーニングは研修期間が短いうえに1人でも開業可能で人気があります。年収は500万円~。人によっては1,000万円という人もいます。ただし使う道具に消耗品も多いため、経費はそれなりにかかります。
ブログ執筆が好きな人向けのアフィリエイター
SNS全盛の現在、自分のブログなどにアフィリエイト広告を貼るアフィリエイターも人気の仕事です。
アフィリエイトには、主に商品を購入してもらった時点で報酬が発生する成果報酬型広告と、広告をクリックされるだけで報酬が発生するクリック型報酬広告の2種類があります。初心者が取り組みやすいのは後者。まずは自分のブログにアフィリエイト広告を貼ってみるといいでしょう。
Webライターと同じでパソコンが1台あれば開業できるのは大きなメリットです。
デメリットは収益化まで時間がかかるという点。クリック数を稼ぐには、やはりPVを増やさねばなりません。本気で稼ぎたければSEO対策なども頭に入れて多くの人に読んでもらえる魅力的な記事を目指さねばなりません。
収入が得られるようになったとしても月に数千円から数万円といったところ。アフィリエイトマーケティング協会がアフィリエーターを対象に行なった「アフィリエイトでの1ヶ月間の収入」についての調査によると、アフィリエイトでの収入があった人は全体の7割程度で、31.6%が「収入はない」と回答しています。
収入があった人の多くも「1,000円未満」や「5,000円未満」で、1万円以上の人は全体の4割程度。10万円以上となると2割にも達しません。しかし、努力すればその2割に入ることは可能です。そして全体から見ると6〜7%ですが、そこに位置するトップアフィリエイターたちは月に100万円以上をアフィリエイトで稼ぎ出しています。
アフィリエイターになるには、まずはブログを立ち上げること。その際は雑記ではなく、なるべく何かに特化したテーマ性のあるブログとすること。ある分野に専門的に特化したブログには、その分野に興味のある人たちがアクセスしてくれます。
利用するブログサービスは独自ドメインのとれるWordPressがおすすめです。運営していくにはレンタルサーバー代やお名前.comなどでのドメイン取得料がかかりますが、合わせて数千円で済みます。
ドメインは早いもの勝ちのため、希望条件で取得できるかどうか、先にチェックしておきましょう。
人前で話すのが得意ならセミナー講師
誰かに何かを教えるだけの専門的な知識や資格がある。大勢の人の前で話すのが好き、世の中に広めたいことがある、という人であればセミナー講師やオンライン講師という選択肢もあります。
資金は、最初から知識や資格を持ち得ている場合は0円からでも開業可能。もし持っていない場合は資格を得るための勉強代が必要となってきます。
必要となる資格は対象によってさまざま。お金に関するセミナーや講座を開きたいならFPや税理士、公認会計士などの資格があれば有利ですし、キャリアに関してであればキャリアコンサルタントやキャリアカウンセラーの資格がほしいところです。
フリーランスとしての活動先は、企業や自治体、民間団体、各種協会など。確実に仕事をとるには講師派遣や講師紹介を行なっている企業に講師として登録すること。そうしたプラットフォーム経由でくる仕事をこなしていくうちに人気が出れば自分でも仕事がとれるようになります。
収入源はセミナーや講演会、教室での講座、オンライン講座、動画販売、教材販売など。年収は人によってさまざまですが、人気講師となると1,000万円以上は確実です。
また本業まではいかなくても、語学や趣味、学術、スポーツなどで人に教えるだけのスキルがあれば副業として講師業を始めることができます。
副業にもしやすい家庭教師
学生時代に家庭教師や塾講師のアルバイトをした経験がある人は少なくないでしょう。家庭教師のメリットは、個人で開業する場合は開業資金がほとんどいらないところです。最近、注目されているのはオンラインでの家庭教師。時間や場所(地域)を問わないため、参入する人が増えています。もちろん、従来の生徒の自宅に訪問してのマンツーマン授業も需要があります。どちらか得意な方を選ぶか、両方を兼ねるか、自分で判断して決めるといいでしょう。
家庭教師開業のポイントは特化する分野をつくることです。入試ならば「〇〇大学合格」や「医学部をめざす人向け」、通常のマンツーマン授業なら「算数に強くなる」「英語力アップ」など目的を明確にすればそれがセールスポイントや差別化となるし、集客の一助となります。
集客の際はもちろん学歴も武器となります。実際の社会では学歴よりも職歴が重要視されますが、家庭教師の世界ではやはり「〇〇大学卒」という学歴は信頼につながります。もし教員免許などを持っていれば鬼に金棒といったところです。むろん、有名大学を卒業していなくても生徒の志望校合格実績などがあれば信頼は得られます。
集客でいちばんの早道はマッチングアプリなどを利用すること。こうしたプラットフォームの他にもホームページやブログを開設、SNSで発信、告知するという方法があります。古典的な方法ですが、通える範囲内の地域でのポスティング、スーパーや公共施設などの掲示板を借りての告知も有効です。
開業資金があるのなら、フランチャイズに加盟するのもひとつの方法。「家庭教師は未経験」「家庭教師のノウハウがほしい」といった人は、加盟料や研修費などはかかりますが、体制の整ったフランチャイズを選ぶという選択肢もありです。
家庭教師の収入は時給換算で2,000~4,000円程度。オンラインの場合は一度に複数の生徒に教えることも可能なので時給×人数分の収入が得られます。またマンツーマン授業でも高校生相手の受験対策などでは相場より高い報酬額を設定できます。逆に時給を下げて、そのかわり回数を増やすことを提案するといった方法などもとれます。
本業にして毎日従事してもいいし、夜だけ、または土日だけといった副業方式でもできる。時間的な自由度の高さも家庭教師の魅力です。
ニーズの高い高齢者向け代行業
超高齢化の日本においてニーズが高まっているのが高齢者向けの家事代行や買物代行のサービスです。
とくに人口の多い団塊の世代が後期高齢者となるこれからの社会では家事代行は介護事業と並んで欠かせないサービスになるだろうと予測されています。
こうした背景からすでに多くの企業がサービスを立ち上げていますが、需要が多いだけにまだま新規参入の余地はあります。方法としてはハウスクリーニングや家庭教師と同じくフランチャイズを利用するといった手もありますが、初期費用や加盟料、手数料が発生するので、資金0円をめざすなら自力での開業に挑戦したいものです。
仕事の内容は、掃除や洗濯、料理、買物などの家事全般。収入は1時間につき1,500円~4,000円程度。1日かかるような大仕事であれば2~3万円、10分で済むようなものであれば500円というふうにある程度自分で料金を決めることができます。顧客と信頼関係が結べれば月単位での契約なども可能となります。
仕事の性格上、仕入れや在庫などにかかる経費は無用、店舗や事務所も不要なので家賃もなし。その気になれば本当に0円からの開業も可能です。そのうえで、もし可能ならほしいのはクルマ、バイク、自転車などの交通手段と運転免許です。クルマがバイクがあれば活動範囲が広がるし、遠方への買物を頼まれたときなどにも便利です。
集客は、高齢者が対象ということもあってネットだけに頼らず足で稼ぐことをおすすめします。ポスティングや高齢者向け施設などへの営業に加え、SNSやホームページ、ブログでの告知を行うといいでしょう。
求められるのはフレキシビリティーと人間性。お客様となる高齢者の中には認知症の症状が進んでいる人や体が思うように動かせない人もいます。ときにはオーダー以外の仕事をその場で頼まれたり、呼ばれて行ったのに「呼んでいない」などと言われたりすることもあったりします。そんなとき相手の立場になって対応できる優しさや忍耐力があるかどうか。そこが問われる仕事です。
また訪問先によっては利用者の家族はもちろん、同じように出入りしているヘルパーやケアマネージャー、訪問医、訪問看護師などと会う機会もあるはずです。お客様の生活の質や健康状態を守るために、ときにはそうした地域の福祉関係者や医療従事者、家族との情報交換や連携も求められます。
こうした点から見ても、お金だけを稼ぎたいという人には不向きな仕事かもしれません。地域のお年寄りの役に立てて、そこに喜びを見出せる人ならば、きっとビジネスもうまく回していけるでしょう。
気軽にスタートするにはフリマアプリ
最初の段階では仕事とは言えないかもしれませんが、気軽にスタートできるという意味ではフリマアプリは見過ごせません。
不要になった家具や小物、衣服、おもちゃ、自作の雑貨やアクセサリーなどをメルカリや楽天ラクマ、PayPayフリマなどのフリマアプリで売れば、そこそこの小遣い稼ぎが可能です。もしコンスタントかつ大量に売れるものがあるならばネットショップを立ち上げて本格的なビジネスにするといいでしょう。
ネットショップを開店する際、初心者におすすめなのはメルカリと同じように利用できるメルカリShopsです。通常のメルカリとの違いは「アカウントを使い分けできる」「まとめて出品・在庫管理ができる」「値下げ交渉なしで売れる」などで、成人であれば誰でも利用できるサービスとなっています(自家製食品、古物、自家製化粧品、自家製医薬部外品、ふぐ加工製品などは許認可証の取得と情報提供が必要)。出店料は無料。スマホやパソコンの操作に慣れている人なら最短3分でショップを開設できるという手軽さも大きなメリットです。
こうしたフリマアプリで経験を積んだら、オリジナルの販売サイトを立ち上げたり、楽天市場やYahoo!ショッピング、Amazonなどへの出店・出品など、より本格的なネットショップ立ち上げに舵を切るといいかもしれません。
資金0円で開業できる仕事はさがせば他にも見つけることはできます。発信力や表現力、Webマーケティングなどに自信があるのなら、インフルエンサーやユーチューバーという仕事もあります。いまや多くの人が挑戦するレッドオーシャンかもしれませんが、発信や表現が好きな人にとっては収入だけではない満足感や充実感、達成感が得られるはずです。
開業する前に当面の生活費は確保しておく
今回は、比較的誰でも参入できそうな仕事を紹介してみました。ここで一度、まとめておきましょう。
①自宅のパソコンでできるクリエイター系の仕事
・Webライター(門戸は広いが収入は低い)
・Webエンジニア(専門知識とスキルが必要だが相応の収入が得られる。スクールや職業訓練の受講がおすすめ)
・Webデザイナー(収入はWebエンジニアには及ばないが需要は同じくらいある。デザインセンスが求められる)
②ビジネス寄りで高収入
・コンサルタント(高収入でやりがいのある仕事が多い。コンサルファームや事業会社での経験や高度なスキルが求められる。継続して案件を受注できるかどうかが鍵)
③フランチャイズ
・ハウスクリーニング(加盟料や手数料が必要なフランチャイズの中では少額資金で始められる点が魅力。年収500万円以上が期待できる)
④ブログ執筆が得意、好きな人向け
・アフィリエイター(参入してもなかなかすぐには収益に結びつかないが、戦略性をもって根気よく続ければ月収100万円以上となる可能性も)
⑤人にものを教える仕事
・セミナー講師・オンライン講師(専門的な知識や資格が求められるが、人気が出れば年収は1,000万円以上。世の中に広めたいことがあったり、大勢の人の前で喋るのが好きという人が向いている)
・家庭教師(「○○大学合格」などの明確な目標があれば集客しやすい。オンライン家庭教師ならば複数の生徒を受け持つことも可能)
⑥超高齢社会で役立つ仕事
・高齢者向け代行サービス(高齢者にかわって家事や買物を代行する仕事。ニーズは高まるいっぽうだが、参入するには奉仕の精神や人間的な優しさが問われる)
⑦気軽に始められる
・フリマアプリ(手数料は差し引かれるが誰でも参加できる点が魅力。商品が大量にあったり、継続的に販売が可能ならネットショップも開店可能)
上記の仕事はいずれもその気になれば資金0円でスタートできるものです。
そうはいえ、いくら開業資金が0円でも、やはり仕事にはランニングコストがかかります。収益化するまでの生活費も必要です。独立・開業する前には、できれば1、2年は暮らせるお金を貯めておきましょう。
また仕事や自分の置かれている環境によっては国の補助金や助成金の交付対象となる可能性もあります。補助金、助成金については開業計画時に一度調べておくことをおすすめします。
文・中野渡淳一
文筆業者。著書に『怪しいガイドブック~トラベルライター世界あちこち沈没記』『漫画家誕生 169人の漫画道』。この他「仲野ワタリ」名義で『海の上の美容室』「猫の神さま」シリーズ、『最強戦国武将伝 徳川家康』等小説作品多数。『moneyscience』では生活者目線で最新トレンドの記事を中心に執筆。