家族の死はとても悲しいものですが、悲しみとともに、面倒なことも多々発生します。昨今問題となっているのが、亡くなった方のサブスク処理。故人のサブスク処理の問題点と対処法についてお伝えします。
故人のサブスク解約に苦労する遺族
2024年の春頃、「故人の銀行口座からNHK受信料が引き落とされ続けている」ことに気づいた遺族が、解約に苦労したという話がインターネットで話題になりました。遺族が解約手続きを進めるには、契約している会社と解約方法を調査し、さまざまな書類を書くという手間がかかります。この問題は、NHKの受信料に限った話ではありません。
故人のサブスクリプション契約は、銀行口座の引き落としやクレジットカードの利用明細を確認しなければ分かりません。一方、サブスクリプションサービス提供元の会社は、契約者が亡くなったかどうかはわからないため、解約の連絡がない限り定期的に料金の引き落としを続けます。
故人のサブスク解約の問題点
故人のサブスク解約の問題点は、主に以下の3点です。
- 銀行口座やクレジットカードの履歴を見ただけではどの契約サービスが分かりにくい
- 1年に1回の引き落としがあるケースでは、契約中だと判明するまで時間がかかる
- サブスクの契約があるとクレジットカードを退会できないケースがある
サブスクの解約をする前に銀行口座の凍結やクレジットカードの退会を進める場合、料金の請求が発生し続けているケースがあります。このケースでは、現状故人の住所宛に料金の請求が来てから対応するしかありません。
故人のサブスク解約をする際の対処法
サブスクサービスの中には、NetFlixのように、しばらく利用履歴がなければ自動的に解約してくれるものもあります。しかし故人のサブスク解約をするには、2024年7月時点では、以下の順番で手続きを進めていく方法が現実的です。
- サブスクの引き落とし先となっている銀行口座やクレジットカードの履歴からサブスクの契約を特定
- 特定できたサブスク契約は個別に退会手続きや名義変更などを行う
- サブスク契約を終えた後に銀行口座の凍結やクレジットカードの退会手続きを実施
上記の手続きが終わった後も、年契約のサブスクなどが残るケースがあります。1~2年程度契約の続いているサブスクサービスから、料金請求の連絡がある可能性を念頭に置き、その都度対処するしかありません。
自分のサブスクを管理する方法
では逆に、自分が故人となったときに残された家族が困らないよう、自分のサブスクを管理する方法も確認しておきましょう。解約時に手がかりとなる情報は以下の通りです。
- 契約時の住所、氏名、電話番号、生年月日、メールアドレス
- 引き落とし先の情報(銀行口座・クレジットカード)
- 引き落とし時の履歴に表示される名称と対応するサブスクサービス
- 契約しているサービスへのログイン情報(ユーザーIDとパスワード)
- 本人確認の質問とその回答(あれば)
上記の情報をまとめたメモを家族に共有しておくと、家族が解約手続きを進める際の手間がかなり軽減されます。
契約しているサブスクを管理するアプリも、サブスク整理に便利です。うまく活用して不要なサブスクは解約しておくなど、自身でもサブスク契約を精査しておきましょう。
サブスク契約だけでなくデジタル遺品の整理が必要な時代に
故人の契約していたサブスクの解約を取り上げましたが、問題はサブスクだけではありません。パソコンやスマホに遺された写真などの個人データ、各種SNSの情報といったデジタル遺品や、ネット証券やFXの口座などのデジタル遺産も対応する必要があります、
自分自身のデジタル遺品・遺産をどうするのか、一度自分で整理することも、これからの時代には必要なのかもしれませんね。
文・小鳥遊 藍
ファイナンシャルプランナー。金融系ライターとして保険や不動産、投資など多くの記事を執筆。